» 【自分の会社の中味をしっかりと把握するための方法】セグメント情報とは?
 » 【自分の会社の中味をしっかりと把握するための方法】セグメント情報とは?

社外財務部長 原一浩の公式サイト

【自分の会社の中味をしっかりと把握するための方法】セグメント情報とは?

【自分の会社の中味をしっかりと把握するための方法】セグメント情報とは?

セグメント情報とは、どのようなものか?

 

経営者の視点で企業を理解できる情報を財務諸表に開示することによって財務諸表利用者により有用な情報を提供することができると判断したことから、わが国のセグメント情報開示にマネジメント・アプローチが導入されています。

 

マネジメント・アプローチに基づくセグメント情報の長所と短所

長 所

①財務諸表利用者が経営者の視点で企業を見ることにより、経営者の行動を予測し、その予測を企業のキャッシュ・フローの評価に反映することが可能になる。

②当該セグメント情報の基礎となる財務情報は、経営者が利用するためにすでに作成されており、企業が必要とする追加的費用が比較的少ない。

③実際の企業の組織構造に基づく区分を行うため、その区分に際して恣意(しい)性が入り込みにくい。

 

短 所

①企業の組織構造に基づく情報であるため、企業間の比較を困難にし、また、同一企業の年度間の比較が困難となる。

②内部的に利用されている財務情報を基礎とした情報の開示を要求することは、企業の事業活動の障害となる可能性がある。

 

1.マネジメント・アプローチ

マネジメント・アプローチとは、経営上の意思決定および業績評価のために経営者が企業を事業の構成単位に分別した方法を基礎としてセグメント情報の開示を行う方法です。

セグメント情報等の開示は、セグメント情報の開示に当たって基本原則が定められており、財務諸表利用者が企業の過去の業績を理解し将来のキャッシュ・フローの予測を適切に評価できるように企業が行うさまざまな事業活動の内容およびこれを行う経営環境に関して適切な情報を提供するものであることを求めています。(セグメント会計基準4項)。

セグメント会計基準で採用されたマネジメント・アプローチは、国際財務報告基準や米国基準で採用されている方法と同様の方法で次のような特徴があります(セグメント会計基準45項)。

 

①最高経営意思決定機関が経営上の意思決定を行い、また、企業の業績を評価するために使用する事業部、部門、子会社または他の内部単位に対応する企業の構成単位に関する情報を提供します。

②最高経営意思決定機関が業績を評価するために使用する報告において、特定の金額を配分している場合にのみ、当該金額を構成単位に配分します。

③セグメント情報を作成するために採用する会計方針は、最高経営意思決定機関が資源を配分し、業績を評価するための報告の中で使用するものと同一にします。

 

※最高経営意思決定機関とは、企業の事業セグメントに資源を配分しその業績を評価する機能を有する主体のことをいいます。具体的には、取締役会、執行役員会議といった組織上の会議体である場合や、最高経営責任者(CEO)あるいは最高執行責任者(COO)といった特定の個人である場合などが考えられています。

 

2.セグメント会計基準で開示する内容

マネジメント・アプローチでは、セグメントの区分方法あるいは測定方法が特定の方法に限定されておらず、経営者の意思決定や業績評価に使用されているありのままの情報を開示することを求めています。

セグメント情報として報告される利益は、経営者が実際に意思決定で利用している利益であり、必ずしも従来の会計基準で開示している営業利益、経常利益とは限りません。

 

3.事業セグメントの識別

(1) マネジメント・アプローチの考え方

マネジメント・アプローチでは、経営者が経営上の意思決定を行い、また、業績を評価するために、企業の事業活動を区分した方法に基づいて、単一の区分方法によるセグメント情報を連結財務諸表または個別財務諸表に開示することにしています。

セグメント会計基準では、当該目的で経営者の設定する企業の構成単位を「事業セグメント」といいます(セグメント会計基準6項、61項)。「事業セグメント」は、企業の構成単位で、次の要件のすべてに該当するものをいいます

(セグメント会計基準6項)。

 

①収益を稼得し、費用が発生する事業活動にかかわるもの(同一企業内の他の構成単位との取引に関連する収益および費用を含む)

②企業の最高経営意思決定機関が、当該構成単位に配分すべき資源に関する意思決定を行い、また、その業績を評価するために、その経営成績を定期的に検討するもの

③分離された財務情報を入手できるもの

 

事業セグメントの要件を満たすセグメントの区分方法が複数ある場合の取り扱いとして、企業は各構成単位の事業活動の特徴、それらについて責任を有する管理者の存在および取締役会等に提出される情報などの要素に基づいて企業の事業セグメントの区分方法を決定するものとします(セグメント会計基準9項)。

また、連結財務諸表上、持分法を適用している関連会社(および非連結子会社)であっても企業の事業セグメントを構成することがあります。この場合にセグメント情報として開示する額は、当該企業の中で最高経営意思決定機関に報告されている金額の取り扱いに従って、連結損益計算書に計上されている持分法投資利益(または損失)の金額、持分法適用会社の財務情報の金額または当該財務情報の金額に持分割合を乗じた金額により行うことになります(セグメント適用指針4項)。

 

(2) 固定資産のグルーピングとの関係

事業セグメントを識別した結果、当該セグメントの範囲が固定資産のグルーピング単位に影響を及ぼす可能性があることに留意が必要です。

 

① 固定資産の減損に係る会計基準の適用指針第73項との関係

「連結財務諸表における資産グループは、どんなに大きくても、事業の種類別セグメント情報における開示対象セグメントの基礎となる事業区分よりも大きくなることはないと考えられる」としています。資産グループは、管理会計上の区分や投資に意思決定単位で行うことができると考えられていますが、大小関係に留意すべきです。

 

② 固定資産の減損に係る会計基準の適用指針第74項との関係

セグメントに当該資産グルーピングについては、事実関係の変化した場合を除き、翌期以降の会計期間においても同様に行うとされており(減損会計適用指針 7項、74項)、事実関係が変化した場合の例示として、セグメンテーションの方法等の変更などが挙げられています。

 

4.集約基準

複数の事業セグメントが次の要件を満たす場合、企業は当該事業セグメントを一つの事業セグメントに集約することができます(セグメント会計基準11項)。

(1) 基本原則(セグメント会計基準4項)と整合していること

 

(2) 経済的特徴がおおむね類似していること

 

(3) 次のすべての要素がおおむね類似していること

①製品およびサービスの内容

②製品の製造方法または製造過程、サービスの提供方法

③製品およびサービスを販売する市場または顧客の種類

④製品およびサービスの販売方法

⑤銀行、保険、公益事業等のような業種に特有の規制環境

 

5.量的基準

会計基準では、報告セグメントを決定する際に考慮すべき一定の基準値を定めています。企業は、次の量的基準のいずれかを満たす事業セグメントを報告セグメントとして開示しなければならないとされています(セグメント会計基準12項)。

(1)事業セグメント間の内部売上高または振替高を含む売上高がすべての事業セグメントの売上高の合計額の10%以上

 

(2)利益または損失の絶対値が、①利益の生じているすべての事業セグメントの利益の合計額、または②損失の生じているすべての事業セグメントの損失の合計額の絶対値のいずれか大きい額の10%以上

 

(3)資産がすべての事業セグメントの資産の合計額の10%以上

 

6.「その他」の区分について

報告セグメントの外部顧客への売上高の合計額が連結損益計算書または個別損益計算書(以下、損益計算書)の売上高の75%未満である場合には、損益計算書の売上高の75%以上が報告セグメントに含まれるまで、報告セグメントとする事業セグメントを追加して識別しなければなりません。従来のセグメント情報の開示では、「その他」として一括されたセグメントを除く開示の対象になった売上高合計額が連結損益計算書の50%以下である場合には、その理由を明らかにするとともに「その他」として一括されたセグメントについて一定の事項を開示していましたが、この扱いと比較しますと開示されるセグメントの対象範囲が広がったといえると考えます。

 

関連記事

無料相談

おススメの記事