任意の委員会についての分析~「コーポレート・ガバナンス白書2019」より | 社外財務部長 原 一浩
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任意の委員会についての分析~「コーポレート・ガバナンス白書2019」より

任意の委員会についての分析~「コーポレート・ガバナンス白書2019」より

「コーポレート・ガバナンス白書2019」(以下、本白書)が東京証券取引所から2019年5月に公表されました。本白書は、我が国企業を巡る近年のコーポレート・ガバナンス改革の進展も踏まえ、分析を行っています。本白書は、関係者が、変貌している我が国の上場会社のコーポレート・ガバナンスの取組状況を概観するための助けとなることを意図して作成されています。

 

1.任意の指名委員会・報酬委員会の設置

 

2015年のコーポレート・ガバナンス・コード導入以降、上場会社において任意の指名委員会及び報酬委員会(以下「任意の指名・報酬委員会」という。)の設置が進んでいます。

2018年6月のコーポレート・ガバナンス・コード改訂において、補充原則4-10①が改訂され、当該補充原則を実施とするためには任意の指名・ 報酬委員会の設置が必要となったことから、今後も、任意の指名・報酬委員会を設置する会社の数は引き続き増加していくものと思われます。

 

任意の指名・報酬委員会に対する資本市場の関心も高く、例えば、一部の株主から、上場会社に対し、対話や書簡、場合によっては株主提案等を通じて、任意の指名・報酬委員会の設置を求める動きが出てきており、また、大手機関投資家の一部でも、それら任意の指名・報 酬委員会の設置に関する株主提案に対し原則賛成するとの議決権行使方針を公表する会社が出てきています。

 

近年は、取締役の指名や報酬決定のプロセスに関連した企業不祥事も発生していることから、一般の投資者の間における関心も高まってきています。

 

一般的な任意の指名・報酬委員会の実態について整理すると、代表取締役や社外取締役、必要に応じて社外監査役等4〜5名が構成員となるケースが多いようです。

 

 

2.開催頻度

 

開催頻度ですが、経済産業省が行ったアンケートによると、年1〜3回の会社が多数派である一方で、年5回以上開催する会社も一定数存在します。

 

任意の指名・報酬委員会で何をどの程度まで審議するかによって開催頻度も大きく異なってくると考えられ、例えば、任意の指名委員会の開催回数が1回の場合は、株主総会に上程する取締役の選任議案について経営陣の策定した原案を確認するだけという会社も一定数あると推察されます。

 

一方で、社長・CEOの後継者計画や執行役員・主要子会社の経営陣等の指名を含めて指名委員会の審議範囲としている会社の場合は、自ずと開催頻度が多くなる傾向にあります。

報酬委員会についても同様で、報酬原案の確認だけでなく、他社の報酬動向等を踏まえたうえで、自社の報酬制度の見直し等を議論する場合には、年複数回の開催が必要となってきます。

 

コーポレート・ガバナンス・コード改訂により、「形」である任意の指名・報酬委員会の設置の普及が進み、その後、一段落すると、次は「中身」である具体的な活動内容に焦点があたると考えられます。

 

開催回数が1 回又は2回の会社が多いことを踏まえると、多くの上場会社で任意の指名・報酬委員会の運用実務は手探りの状況にあると推察されます。

 

 

3.活動状況の開示

 

2019年3月期以降の有価証券報告書においては、報酬決定プロセスについて有価証券報告書にてより詳細な開示が求められています。

 

また、東京証券取引所においても、2018年6月に公表された金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告書を踏まえ、コーポレート・ガバナンス報告書の記載要領を変更し、取締役会並びに指名委員会及び報酬委員会の活動状況(開催頻度、主な検討事項、個々の役員・委員の出席状況等)を記載することが望ましい旨を追加しています。

 

今後は、指名や報酬の考え方や決定プロセス等について、株主との対話を意識したより積極的な情報開示が求められると考えられます。。

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