経営改善のためには、
- 会社の現状把握
- 問題点の抽出
- 解決策の策定
- 実行
- 結果測定・分析
- 改善
というサイクルが必要です。いわゆる、PDCAサイクルです。
経営改善のための会計
会社の現状把握を、会計の面から見てみましょう。
まずは、中小会計要領等に従った会社決算が必要です。月次決算は必須になります。
正しいルールに拠った会計処理によって、決算数値の信頼性が増します。
また、迅速な対応・意思決定のためには、月次決算が不可欠であり、遅くとも翌月半ばまでには、月次決算が行われるようにしなければなりません。
月次決算
月次決算が遅い場合には、何がネックになっているかを分析し、解決策を策定しなければなりません。
管理会計
管理会計とは、経営に役立つ情報を提供する会計です。
帳簿作成のために入力したデータを管理会計用に加工することになります。
直接原価計算、変動損益計算書
管理会計の多くの手法では、費用を変動費と固定費に分解します。
直接原価計算では、売上高から変動費を控除して限界利益を計算し、固定費については製造に係る固定費も含めて期間費用として取り扱います。
直接原価計算の手法で作成した損益計算書が、変動損益計算書です。
費用の分解方法
変動費と固定費に分解する方法は、主に4つです。
- 勘定科目法
- スキャッターチャート法
- 高低点法
- 最小自乗法
これらの中では、最小自乗法が最も理論的とされていますがある程度のデータ数が必要となりますので、簡単ではありません。
中小企業の実務として、簡便かつ有効性が高い方法は、勘定科目法でしょう。
これは、勘定科目ごとに変動費か固定費かを判断する方法です。通常は、売上高を基準に考えます。
勘定科目によっては、両方の性格を有するものがありますので、ある程度の仮定が必要でしょう。
変動損益計算書
変動損益計算書の特長として、以下の点が上げられます。
- 損益分岐点の把握
- 限界利益の把握
限界利益と固定費が同額となる点を損益分岐点といいます。収支トントンとなる売上高を簡単に計算できるようになります。
売上の増減によって、利益がどのくらい変動するのかがすぐわかります。
商品や製品あたりの限界利益も計算できるので、数量ベースでの増減による利益の変動もすぐにわかります。
限界利益と固定費
限界利益は、「売上数量✕売上単位あたり限界利益」です。自社の製品・商品やサービスが、どの程度、顧客や市場に支持されたかが表されます。
限界利益から固定費を控除すると経常利益となります。
注意しなければならないことは、固定費は、決して管理不能費ではないことです。
例えば、試験研究費などは、予算によるコントロールが可能です。人件費や家賃なども同様です。
経営改善のための変動損益計算書
経営改善のための変動損益計算書について考慮すべき5つの事項です。
- 売上高
- 限界利益率
- 固定費
- 労働分配率
- 経常利益
1.売上高
- 販売数量、販売単価を前年と比べる
- 部門別に比べる
- 目標・予算と比べる
- 生産性を比べる
2.限界利益
- 前年と比べる
- 他社と比べる
3.固定費
- 前年と比べる
- 限界利益と比べる
- 増減の理由を調べる
- 部門ごとに比べる
4.労働分配率
- 前年と比べる
- 他社と比べる
- 一人あたり人件費と比べる
5.経常利益
- 前年と比べる
- 部門ごとに比べる
- 目標・予算と比べる
- 当期の着地点を予想する