事業性評価とは何でしょうか?
「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律(以下、円滑化法)」終了後、政府は、中小企業の経営支援に向けた各種取組を行っていて、金融機関による「事業性評価」もその中の重点施策となっています。
1.定義
事業性評価とは、「金融機関の融資判断において、対象企業の現在から将来に渡る定性的情報を評価すること」とされています。広義には、定性的情報と定量的情報を組み合わせて融資・支援などに活用するところまで含まれます。
2.目的
金融機関が、企業の事業内容を「知り」、「整理し」、「評価する」ことによって、従来の財務分析や担保評価では難しかった融資可能性を見いだし、金融機関内で情報共有することにより、企業支援などにその評価を活用することが必要と考えられています。
企業側からも、金融機関の事業性評価により融資の蓋然性が増加する効果があります。
3.事業性評価の流れ
事業性評価は、「知り」、「整理し」、「評価し」、「活用する」の流れになります。
知る:決算書等の定量情報、定性的情報のヒアリング、市場・業界調査
整理:フレームワーク(3C分析、5フォース分析等)、ローカルベンチマーク
評価:事業内容・成長可能性(SWOT分析等)
活用:融資判断、経営課題解決、事業計画等
4.事業性評価(融資審査)のポイント
事業性評価のポイントを、経営に必要な「ヒト」、「モノ」、「カネ」の観点から見てみましょう。
(1)ヒト
信頼性、謙虚さ、決断力・責任感、計数観念
中小企業は、経営者がすべてであるといえます。
(2)モノ
製品・商品力、技術力、サービス、販路
決算書に表われない強みが必要です。
(3)カネ
売上高、利益、自己資本、借入金、貸付金・仮払金等
このほか、現状分析が出来ているか、収支改善への取組と効果、早期に着手しているか などがポイントになります。
5.金融機関における事業性評価の活用
融資判断:事業性評価を融資判断につなげようとする仕組みを金融機関は取り入れようとしています。例えば、以下のような例があります。
事業性評価の点数化の仕組みづくり
信用格付けの定性面の調整根拠として事業性評価を利用
本部内に「事業性評価チーム」を立ち上げて各支店をサポート
本業支援策・課題解決策の提案:事業性評価によって得た情報をもとに、販路拡大の提案、ビジネスマッチングのほか、事業承継やM&Aの提案も行うことが考えられます。
6.企業側の対応
企業側としては、事業性評価を受動的に受けるだけではなく、事業性評価における自社の分析手法を用いて事業計画や中期計画を積極的に作成することは、金融機関からの信頼を勝ち取る一助になると思います。