事業性評価における定性分析 | 社外財務部長 原 一浩
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事業性評価における定性分析

事業性評価における定性分析

企業の将来性、技術力を的確に評価し、事業価値を見極め、経営課題を発見・把握するための手法として、定性分析と定量分析があります。

 

1、定性分析とは

定性分析とは、金額では表すことのできない企業情報を多面的にとらえるための手法です。

 

定性的情報とは、業種、業態、事業内容、株主構成、役員構成、沿革、経営者の資質、経営理念、商製品・サービス、顧客、調達先、競合他社、外部環境などが挙げられます。

 

2.定性分析の手法

定性分析における内部環境分析の手法として、ビジネスモデル俯瞰図、4P分析があげられます。

 

外部環境分析の手法としては、PEST分析、5フォース分析があげられます。

 

SWOT分析は、内部環境分析・外部環境分析の両方に用いられます。

 

(1)ビジネスモデル俯瞰図

企業の事業活動を高い視点から図解することで企業の儲けのしくみを明らかにするものです。

企業のサプライチェーンの位置づけがわかるように、仕入先、顧客、株主構成、借入、売上やコストの推移などの情報を記載し、企業の全体感を把握できるようにすることが必要です。

 

(2)4P分析

企業のマーケティング戦略を把握するために、製品、価格、流通チャネル、販売促進の4つを分析する手法です。

 

Product製品:種類、品質、デザイン、ブランド、サービス、特徴

Price価格:価格、値引き、支払

Place流通チャネル:販路、立地、在庫、配送

Promotion販売促進:広告、営業部隊、セールス・プロモーション、PR、マーケティング

 

(3)PEST分析

PEST分析とは、企業の外部環境、特に、企業自身でコントロールできないマクロ環境を把握するための手法です。

 

Political政治:政治方針、法規制、税制、公共投資、裁判

Economic経済:景気、物価、株価、金利、為替

Social社会:社会規範、人口、年齢構成、価値観、流行、治安、労働、健康

Technological技術:特許、技術革新、資源

 

(4)5フォース分析

企業が属する業界の競争環境を把握するために、影響の大きい5つの要因を分析する手法です。

 

①既存競合他社間の競争環境

同業者の数、製品差別化、市場規模及び成長

②新規参入の脅威

参入障壁(必要資本、規模、チャネル等)

③代替品の脅威

スイッチングコスト、コストパフォーマンス、技術の進歩

④買い手の交渉力

集中、スイッチングコスト、情報力、収益力

⑤売り手の交渉力

仕入先、重要な顧客製品の品質・差別化

 

(5)SWOT分析

企業の内部環境(強み・弱み)と企業の外部環境(機会・脅威)の二つの軸から現状を分析し、今後とるべき戦略を立案するための分析手法です。

 

企業の強み・弱みは、ビジネスモデル俯瞰図や4P分析が、機会と脅威はPEST分析や5フォース分析が参考になります。

SWOT分析の最終目標は、内部環境と外部環境を理解したうえで、今後とるべき戦略を立案することです。現状分析は、戦略立案のために必要となります。

SWOT分析で候補にあがった戦略のなかから、効果の高い戦略を選定し、実行することになります。

 

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