公開企業の監査を行う監査法人の透明性に関するIOSCO 報告書 | 社外財務部長 原 一浩
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公開企業の監査を行う監査法人の透明性に関するIOSCO 報告書

公開企業の監査を行う監査法人の透明性に関するIOSCO 報告書

証券監督者国際機構(IOSCO)は、平成 27 年 11 月 6 日 に、最終報告書「公開企業の監査を行う監査法人の透明性」(以下、本報告書)を公表しました。

 

1.本報告書の内容

 

本報告書は「監査法人の透明性報告」を取り扱っており、投資家及びその他の利害関係者に対して監査法人自身の透明性に関する報告、とりわけ、監査法人のガバナンス及び財務諸表監査における品質管理体制に関する報告を行う上で、監査法人が採用する実務について検討しています。

 

2.本報告書の有益性

 

透明性報告は、監査法人内部での内省及び規律を高め、監査法人自身の監査品質に関する関心の向上を促進する可能性があり、投資家及びその他の利害関係者にとって有益であると考えられます。

監査契約の締結検討のために、監査法人間の比較をする場合、透明性報告は、各監査法人の監査品質の情報を提供することで、公開企業の監査人を選任する責任者の意思決定プロセスの一助となる可能性があります。

 

本報告書は、監査法人の透明性報告に関するステートメント(声明)と指針を含んでいます。当該指針は、優れた取組みを奨励するとともに、高品質な透明性報告に資するような枠組みとして機能することを意図したものです。

 

3.本報告書のための研究

 

本報告書公表のため、IOSCO は、当該分野について以下の方法によって研究を進めてきました。

 

(1)規制当局の観点による公開企業監査の品質に関する円卓会議の開催

(2)コンサルテーション・ペーパーの公表とそれに対して寄せられた 21 のコメントレターの分析

(3)複数の監査監督当局、その他公開企業の監査業務関与者からの意見聴取

(4)監査法人における現行の報告実務及び IOSCO 加盟国のうち数カ国における法令上の報告要求に関する調査実施

 

 

4.高品質な透明性報告の条件

 

IOSCO の研究結果及び証券規制というIOSCO の目的との整合性の観点から、IOSCO は、透明性報告に含まれる情報が、とりわけ以下のような要素を含んでいる場合には、当該報告は高品質たりうると考えています。

 

(1)監査法人の法的構造及びガバナンス構造

(2)監査品質を向上させるための監査法人の取組み

(3)監査法人内部における監査品質の指標

(4)監査法人外部の団体の取組みによって開発される監査法人の監査品質に関する指標

 

5.透明性報告に含まれる情報

 

監査法人がこれらの事項を記載するにあたって、IOSCOは、透明性報告に含まれる情報は、以下のような性質を備えているべきであるとしています。

 

(1)明瞭・有用であり、報告書に関する様々な想定利用者にとって有意義となるよう十分詳細に記述されている

(2)事実を基に記載し、誤解をまねく可能性がない

(3)偏りがなく、マーケティング又はサービスの売込みを指向するものではない

(4)簡潔かつ当該監査法人固有の内容を記載し、紋切り型の記述を避ける

(5)適時で、正確かつ完全

(6)監査法人の監査品質に係るアウトプット及びインプットの評価に関する記述のバランスが取れている

(7)監査法人間において比較可能性がない場合があるなどを含め、監査品質に関する指標の限界に関する十分な説明がなされている

 

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