金融庁が、我が国の企業会計の基準を定めることになっています。 財務会計基準機構の企業会計基準委員会が会計基準を設定しています。  " /> 我が国の一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行・基準 | 社外財務部長 原 一浩
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我が国の一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行・基準

我が国の一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行・基準

日本の会計制度は、公正なる会計慣行をさまざまな法律が利用することによって形成されています。

その主なものに金融商品取引法、会社法、税法があります。

例えば会社法は、株主及び債権者保護を目的として配当可能利益の算定を行うために、金融商品取引法は投資家保護を目的として投資判断に必要な経営成績や財政状態を開示するために、また税法は課税所得を算定するために、会計を利用しています。

このほか学校法人(私立学校振興助成法)、独立行政法人(独立行政法人通則法)、政治政党(政党助成法)などでもその法律の目的を達成するために、独自の規定を設けて会計を利用しています。

 

1.会計制度と法律の規定

(1)金融商品取引法の規定

金融商品取引法は、投資家保護を目的として、投資判断に必要な経営成績や財政状態の開示の方法を規定しています。

株式を公開している株式会社や一定額以上の有価証券を発行・募集する株式会社などを対象とし、会社法の計算書類とは別に「有価証券報告書」または「有価証券届出書」を作成して内閣総理大臣に提出することを定めています。

 

「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則 第一条」で、金融商品取引法の規定により提出される財務計算に関する書類(以下「財務書類」という。)のうち、財務諸表の用語、様式及び作成方法は、この規則の定めるところによるものとし、「この規則において定めのない事項については、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従うものとする。」としています。

 

(2)会社法の規定

会社法は、株主および債権者保護を目的として、配当可能利益の算定の方法を規定しています。

すべての会社を対象に営業上の財産及び損益の状況を明かにすることを求め、毎決算期において計算書類の作成を要請しています。

 

「会社法 第四百三十一条」で、「株式会社の会計は、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うものとする。」としています。

 

(3)法人税法の規定

法人税法は、課税の公平を基本理念とする税法の規定に基づき、法人の課税所得の算定の方法を規定しています。

課税所得は、会社法によって確定した決算をもとに税法特有の調整を行って算定します。

 

「法人税法 第二十二条第4項」で、「当該事業年度の収益の額及び損金の額は、別段の定めがあるものを除き、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算されるものとする。」としています。

 

(4)まとめ

金融商品取引法の「一般に公正妥当と認められる企業会計の基準」、会社法の「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行」、法人税法の「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」は、それぞれ文言は異なりますが、内容は同一のものといってよいでしょう。

 

2.一般に公正妥当と認められる企業会計の基準は、誰が決めるのか

 

それでは、一般に公正妥当と認めているのは、誰なのでしょうか。

 

「金融庁設置法 第四条」で、金融庁の役割を、以下のように定めています。

(中略)

十七 企業会計の基準の設定その他企業の財務に関すること。

(中略)

 

金融庁が、我が国の企業会計の基準を定めることになっています。

 

そして、「金融庁組織令 第二十四条」において、以下の定めがあります。

 

1 法律の規定により置かれる審議会等のほか、金融庁に、企業会計審議会を置く。

2 企業会計審議会は、企業会計の基準及び監査基準の設定、原価計算の統一その他企業会計制度の整備改善について調査審議し、その結果を内閣総理大臣、金融庁長官又は関係各行政機関に対して報告し、又は建議する。

 

 

「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」では、「金融庁組織令に規定する企業会計審議会により公表された企業会計の基準は、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に該当するものとする。」としています。

 

 

また、企業会計の基準についての調査研究及び作成を業として行う団体であって次に掲げる要件の全てを満たすものが作成及び公表を行った企業会計の基準のうち、公正かつ適正な手続の下に作成及び公表が行われたものと認められ、一般に公正妥当な企業会計の基準として認められることが見込まれるものとして金融庁長官が定めるものは、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に該当するものとしています。

 

(1)利害関係を有する者から独立した民間の団体であること。

(2)特定の者に偏ることなく多数の者から継続的に資金の提供を受けていること。

(3)高い専門的見地から企業会計の基準を作成する能力を有する者による合議制の機関(次号及び第五号において「基準委員会」という。)を設けていること。

(4)基準委員会が公正かつ誠実に業務を行うものであること。

(5)基準委員会が会社等(会社、指定法人、組合その他これらに準ずる事業体(外国におけるこれらに相当するものを含む。)をいう。以下同じ。)を取り巻く経営環境及び会社等の実務の変化への適確な対応並びに国際的収れん(企業会計の基準について国際的に共通化を図ることをいう。)の観点から継続して検討を加えるものであること。

 

我が国では、財務会計基準機構の企業会計基準委員会が該当します。

 

企業会計審議会が定めた会計処理の基準及び企業会計基準委員会が定めた会計処理の基準のうち金融庁長官が認めたものが、我が国における一般に公正妥当と認められる会計処理の基準を構成することになります。

 

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