監査基準委員会報告書は、日本公認会計士協会監査基準委員会が作成した監査実務に関する指針で、監査人は遵守することが求められます。
「監査基準委員会報告書(序)」(以下、本報告書)の内容は、以下のようになっています。
Ⅰ 目 次
1.本報告書の目的
2.監査基準委員会報告書を含む監査実務指針の位置付け
3.監査基準委員会報告書の体系
4.監査基準委員会報告書における参照方式
5.監査業務に関連する用語
6.不正リスク対応基準に関連する指針
付録1: 監査基準委員会報告書の体系
付録2: 用語集
付録3: 不正リスク対応基準に準拠して監査を実施する場合の要求事項及び適用指針を含む監査基準委員会報告書の一覧
Ⅱ 内 容
1.本報告書の目的
本報告書は、監査基準委員会報告書の体系及び用語法について明確にすることにより、監査基準委員会報告書の全体的な理解に資することを目的としています。
2.監査基準委員会報告書を含む監査実務指針の位置付け
(1)監査基準の体系
我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に関しては、平成22年に改訂された監査基準の「前文二1」において、「我が国の監査の基準の体系としては、平成3年の監査基準の改訂において、監査基準では原則的な規定を定め、監査基準を具体化した実務的・詳細な規定は日本公認会計士協会の指針(監査実務指針)に委ね、両者により我が国における一般に公正妥当と認められる監査の基準とすることが適切」と示されています。
ここで示されている「監査実務指針」は、監査及び監査に関する品質管理に関して、日本公認会計士協会に設置されている各委員会が報告書又は実務指針の名称で公表するものが該当し、我が国における一般に公正妥当と認められる監査の基準の一部を構成しています。
監査基準委員会報告書は、企業会計審議会が公表する監査基準(法令により準拠が求められている場合は、監査における不正リスク対応基準を含む。)を実務に適用するために具体的・詳細に規定したものであり、監査実務指針の中核となるものです。
(2)実務指針の適用
監査実務指針を実務に適用するに当たっては、日本公認会計士協会が公表する監査に関する研究報告や研究資料、及び一般的に認められている監査実務慣行が参考になることがあります。
これらは、監査実務指針の適用上の留意点や具体的な適用の方法を例示し、実務上の参考として示すものであることから、監査実務指針を構成するものではありません。
3.監査基準委員会報告書の体系
監査基準委員会報告書には公表順に付す番号の他に、監査基準委員会報告書の基になった国際監査基準(ISA)との関連性を明確にするため、ISAの体系に沿った以下の報告書番号を付しています。
相当するISAがない我が国独自の監査基準委員会報告書は、900番台としています。
200-299 監査全般にわたる基本的事項と責任
300-499 リスク評価及び評価したリスクへの対応
500-599 監査証拠
600-699 他者の作業の利用
700-799 監査の結論及び報告
800-899 特殊な監査業務
900-999 その他の考慮事項
4.監査基準委員会報告書における参照方式
監査基準委員会報告書間における相互参照には、前述の報告書番号を用いています。
また、相互参照に略称を用いる場合がありますが、それぞれ以下を指しています。
品基報 : 品質管理基準委員会報告書
監基報 : 監査基準委員会報告書
監基研 : 監査基準委員会研究報告
監保報 : 監査・保証実務委員会報告
監保実 : 監査・保証実務委員会実務指針
監保研 : 監査・保証実務委員会研究報告
保証実 : 保証業務実務指針
5.監査業務に関連する用語
品質管理基準委員会報告書、監査基準委員会報告書及び関連する監査実務指針並びに保証業務実務指針の「定義」に含まれる用語に、その他、監査の基本的な用語や使用頻度が高く報告書の理解を促進するために必要と考えられる用語を追加して、用語集を示しています。用語集には、ISAで用いられている英文表記を含めて作成しています。
用語集の利用にあたっては、備考欄に記載している品質管理基準委員会報告書及び監査基準委員会報告書等の本文を参照の上、理解されなければなりません。
6.不正リスク対応基準に関連する指針
監査基準委員会報告書の一部には、監査における不正リスク対応基準に準拠して監査を実施する際に遵守が求められる要求事項と関連する適用指針(項番号の冒頭に(F)が付されています。)が含まれています。