「すべての企業が持続的に発展するために - 持続可能な開発目標(SDGs)活用ガイド - エスディージーズ」が環境省より平成 30 年 6 月に公表されました。
以下は、活用ガイドの「はじめに」からの要約です。
SDGs(エスディージーズ、持続可能な開発目標)は、2015年に国連が採択した先進国を含む国際社会全体の2030年に向けた環境・経済・社会についてのゴールです。 同年 12 月に採択された地球温暖化対策としての「パリ協定」と両輪になって、今、世界を大きく変える道しるべとなっています。
このSDGsは、政府や⾃治体だけでなく、⺠間企業においても取り組む気運が国内外で高まっています。 環境課題や社会課題の解決を通して儲ける、環境課題や社会課題に配慮していないと儲けられない、そんな時代が来ようとしています。
本ガイドは⺠間企業がSDGsを取り入れる際に経営者から担当者までの幅広い関係者が使いやすいように整理した構成となっています。新しい時代の経営の形がそこにはあります。
活用ガイドの目的と特徴
本ガイドの目的や特徴として、以下の説明がされています。
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目 的
本ガイドは、持続可能な開発目標(SDGs)について、これまで特段の取組を行っていない企業が活用することにより、SDGs に係る取組の進展に寄与することを目的としています。また、既に何らかの取組を行っている企業も本ガイドを参照し、さらなる取組の充実・発展のために活用することが期待されています。
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対 象
本ガイドの対象は、SDGs に関心を持ち、何か取組を始めてみようと考えている、中小規模の企業・事業者を主な対象としています。
このため、地域経済を⽀さえ、地域の活力の中心となって活動しているこれらの方々の目線で眺め、使いやすい内容となることを意図して構成されています。
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特 徴
SDGsには17のゴールがありますが、本ガイドにおいては、環境保全と関係の深いゴールや取組を中心とした内容となっています。
例えば、4(教育)、6(水・衛生)、7(エネルギー)、11(都市)、12(持続可能な消費と生産)、13(気候変動)、14(海洋)、15(陸域生態系・生物多様性)、17(実施手段・パートナーシップ)です。
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構 成
本ガイドには、この冊子の他に資料編が付属しています。
本冊子では、企業を取り巻く社会の変化やSDGsを巡る国内外の動きなどを紹介するとともに、SDGsに取り組むための具体的な方法を示していて、SDGs への理解を深めるところから実践へとつなげるものとなっています。
資料編では、SDGsに取り組むにあたり、活用しやすいツールや参考情報、取組事例などをまとめたものとなっています。
活用ガイドの概要
なぜ、SDGsなのか︖
その理由として、以下のことが挙げられています。
・パリ協定やESG投資など世界の潮流が変わり始めていること
・日本でも、政府による自治体SDGsの推進、経団連の企業⾏動憲章の改定、持続可能な調達ニーズの高まりなど、機が熟しつつあること
・社会課題解決の新しいプレーヤーとして企業が注目されていること
大企業や自治体では、社会課題解決に向けた戦略的な取組が創発され、そして取引のあるすべての企業もその取り組みを行うことが期待されています。
SDGsが示した潜在的マーケット
SDGsは全世界が合意した2030年の未来像を⽰めすものであり、未来像と現在のギャップを埋めるためには、イノベーションが必要となります。
SDGsが掲げる169のターゲットは、今後、変化が起きる領域でもあり、ビジネスにおいても新たな需要があるとみることができるものです。
このように、SDGsによって、⾜らないものが⾒えるようになり、世界には巨大な潜在的マーケットがあることが⽰されました。
今、世界中の各国政府、NGO、NPO、研究機関、大学などとともに、企業もSDGsの達成に向けて動き始めており、それがビジネスのあり方にも大きな影響を与えています。
これからの企業に必要なこととは︖
企業はこれまで、消費者のため、地域社会のため、そして生活環境の維持のために求められる製品やサービスを提供してきました。
しかし、昨今の少子高齢化による人材不⾜や消費者ニーズの多様化等により、売上拡大や事業承継において課題を抱える企業が多くなってきています。
企業が将来にわたって継続し、より発展していくために必要となるものは、⻑期的な視点で社会のニーズを重視した経営と事業展開です。
そこで、今、ビジネスの世界では、経営リスクを回避するとともに、新たなビジネスチャンスを獲得して持続可能性を追求するためのツールとして、SDGsの活用が注目を集めています。
「企業経営の道しるべ」となるSDGs
SDGsとは、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」のことです。
社会が抱える問題を解決し、世界全体で2030年を目指して明るい未来を作るための17のゴールと169のターゲットで構成されています。
SDGsの根幹にある「持続可能な開発」とは、「将来世代のニーズを損なわずに、現代世代のニーズを満たす開発」のことをいいます。
SDGsにはあらゆる分野における社会の課題と⻑期的な視点でのニーズがつまっているということです。
2017年には、GPIF(年⾦積⽴⾦管理運用独⽴⾏政法人)がESG投資に1兆円規模の投入を決めました。これは、環境問題や社会問題を視点として経営に取り入れることにより、将来的なリスクを軽減できる、課題解決のために生まれる新規市場に参入できる、といった評価が市場においてなされているからです。
ビジネスでは、SDGsが「共通言語」に
SDGsは国連で採択されたものですが、すでにビジネスの世界での「共通言語」になりつつあります。
そして、これらのゴールを達成するために、個別の企業においても取組が広がってきています。特に、世界を相手に事業を展開する大企業では、バリューチェーン全体の⾒直しを始めており、関連するサプライヤーにも影響が広がると考えられています。
SDGsの普及とともに、市場のニーズ、そして取引先からのニーズとして、SDGsへの対応が求められるようになってきています。
実際、投資の条件として、収益だけではなく、SDGsに取り組んでいるかどうかもみられる時代になってきているのです。
SDGsと持続可能な企業
SDGsのゴール・ターゲットをみると、自社の取組とのつながりに気づきます。
そこから、自社の強みは何であるかを改めて⾒直したり、SDGsに⽰めされた課題を解決できる自社の潜在能⼒に気づくことができたりします。
持続可能な会社にするためには、今の社会のニーズだけでなく、将来のニーズも満たすような事業展開が必要です。
SDGsを掲げた企業経営によって、持続可能な企業へと発展していきましょう。
SDGsの活用による社会課題への対応、企業イメージの向上、新たな事業機会の創出
SDGsには社会が抱えている様々な課題が網羅されていて、今の社会が必要としていることが詰まっています。
これらの課題への対応は、経営リスクの回避とともに社会への貢献や地域での信頼獲得にもつながります。
取組をきっかけに、地域との連携、新しい取引先や事業パートナーの獲得、新たな事業の創出など、今までになかったイノベーションやパートナーシップを生むことにつながります。
SDGsへの取組をアピールすることで、多くの人に「この会社は信用できる」、「この会社で働いてみたい」という印象を与え、より、多様性に富んだ人材確保にもつながるなど、企業にとってプラスの効果をもたらします。
取引先のニーズの変化や新興国の台頭など、企業の生存競争はますます激しくなっています。今後は、SDGsへの対応がビジネスにおける取引条件になる可能性もあり、持続可能な経営を行う戦略として活用できます