SDGs に取り組む地域の中堅・中小企業等を後押しするための新たな仕組み(支援モデル)」の例示について | 社外財務部長 原 一浩
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SDGs に取り組む地域の中堅・中小企業等を後押しするための新たな仕組み(支援モデル)」の例示について

SDGs に取り組む地域の中堅・中小企業等を後押しするための新たな仕組み(支援モデル)」の例示について

関東経済産業局他2団体は、2019年 2 月 6 日に、自治体等が SDGs に取り組む地域の中堅・中小企業等を後押しするための支援策を検討する際の参考ツールとして支援モデルを取りまとめました。

 

1.公表の背景及び趣旨

 

SDGs (Sustainable Development Goals)は、経済面、社会面、環境面の幅広い課題の統合的な解決を目指すものであり、持続的な社会の実現のために、民間セクターの積極的な関与が求められていますが、中小企業へのSDGs の浸透は、まだ、限定的であると分析しています。

 

関東経済産業局他2団体はSDGs を活用した地域中小企業等の企業価値向上・競争力強化を促進するため、地域 SDGs コンソーシアムで検討を重ねてきた「SDGs に取り組む地域の中堅・中小企業等を後押しするための新たな仕組み(支援モデル)」を取りまとめ、自治体等に向けた参考ツールとして公表しました。

 

本支援モデルの活用を促進しながら、引き続き、SDGs 達成を通じた中小企業等の企業価値向上・競争力強化に向けた取組を推進するためのものです。

 

SDGsへの取組を通じた地域中小企業等の価値向上・競争力強化に向けた支援策等を検討 している自治体等に向けて、本支援モデルを展開し、引き続き各地での自発的なモデルの 創発を後押しするとしています。

 

2.支援モデルの概要

 

(1)地域の中堅・中小企業がSDGs達成に取り組む重要性

 

消費者ニーズや国際社会の規範意識等の変化も相まって、世界や地域社会・生活環境における課題やニーズを踏まえ、そこから経営や商品開発のコンセプトを規定し、付加価値ある商品・サービスをイノベートしていくというアプローチの重要性が高まっています。

 

SDGsには様々な社会課題が示されているため、企業の「経営資源を磨く砥石」として効果的に活用していくことで、経営リスクを回避するとともに、課題やニーズを起点としたビジネス創出・新市場獲得や経営改革等を実現することが可能ではないか、としています。

 

下記の攻めと守りにより、企業価値の向上、競争力強化、地域内外のパートナーとの連携強化を図ることができるとしています。

 

①ビジネス機会の増大(攻め)

 

・社会課題解決型の新商品・新サービスの開発等を実現する。

・SDGsを意識した既存の取組の棚卸や効果的なPR・自社ブランディングを行うことで、取引先の拡大(BtoB)や新たなファン層(BtoC)の獲得を実現する 等

 

②リスク管理・組織力強化(守り)

 

・大手企業や外資系企業からの要請があった際に、先んじて対応できるよう、SDGsにコミットして持続可能経営を行うことで取引上等のリスク低減を図ること。

・SDGsを活用して自社の経営資源を見つめ直し、持続可能な経営を行うため、未来志向型の生存戦略を考えること。

・人材確保面でのアドバンテージ、人材育成への活用を行う 等

 

(2)中小企業・自治体の現状・課題、課題解決に向けた方向性

 

新たにSDGsに取り組む企業や既にSDGsに 取り組んでいるが気付いていない企業に対 するプレイアップ・気付きやアクションを促すための参考ツール(地域SDGs推進企業応援制度(仮称)骨子)を例示。

 

※地域ごとに社会課題は異なるため、各地域の実情に応じたSDGs推進とSDGs達成を通じた企業価値向上を実現していくことが重要です。

地域(自治体等)が主体となり、ローカライズしながら本ツールを活用することが期待されます。

 

※SDGsに取り組む地域企業向けに、地域におけるインセンティブ(入口~出口まで)も合わせて検討することも重要です。

 

(3)支援モデル(地域SDGs促進企業応援制度(仮称))の例示

 

①【目的】

・SDGsの理念に基づき、バックキャストの手法による持続可能な経営の在り方について検討するきっかけを提供すること

・SDGs・ESGの潮流を受けて、企業経営における非財務情報が重要視されているので、本制度骨子の活用を通じて、中小企業に非財務情報(人的資本、自然資本等)の重要性の気付きを促し、企業価値向上に向けた後押しを行うこと

 

②【要件1】 三側面のターゲットへのコミット

 

【要件イメージ】 SDGsの『経済』『社会』『環境』の三側面それぞれのターゲットについて、以下の3点を宣言することが要件イメージです。

 

・ SDGs達成に向けた取組

・取組に対する2030年に向けた目標

・目標に対する進捗測定方法

 

③【要件2】SDGsの観点で市場・社会から期待される基本的な事項(非財務情報等)

 

【要件イメージ】  SDGsの観点で市場・社会から期待される基本的な事項について、チェックリストに基づき、自社の取組内容を確認・提出(自己申告・エビデンス提出等)するイメージ。

 

※チェックシートへの記載を通じて、自社経営に対する振り返りや SDGsとの関係の気付きを提供することもねらいです。

※例示する計40程度の項目を参考指標として、地域の実情に応じた制度設計が行われることに期待しています。

 

(4)要件1の基本的な考え方

 

「経済・社会・環境の三側面」それぞれにおいて、将来のあるべき姿から現在を振り返り、持続可能な経営の在り方や社会課題解決起点でのアクション・ビジネス等の検討を促すことをねらいとしています。

SDGsはルールや義務ではなく、社会課題解決に向けた新たなアクションに取り組むための指標となるものです。

そのため、SDGs達成を意識した「新しい取組」や「現況の改善」等、新たな価値創造に向けた意欲的な内容を宣言することが推奨されています。

 

(5)要件2の基本的な考え方

 

SDGs・ESGの潮流を受けて、企業経営における非財務情報が重要視されています。

「要件2」では、中小企業に非財務情報(人的資本(労働、人権等)、社会・関係資本(組織体制、社会貢献等)、自然資本(環境等)、知的資本(製品サービス、事業慣行等)等)の重要性の気付きを促し、企業価値向上に向けた後押しを行うこととしています。

 

「要件2」で例示する取組項目と自社の企業経営の取組を照らし合わせることで、改めて自社の経営資源を見つめ直すとともに、既存の自社事業とSDGsの関係性に気付くことねらいとしています(=埋もれていた価値を高めるチェックリスト)。

 

例示された取組項目の中で未達のものがあった場合は、今後新たに取り組む必要性が高い企業活動として気付きを促すこともねらいとしています。

 

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