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特別目的の財務諸表の監査~「監査基準委員会報告書800」より

特別目的の財務諸表の監査~「監査基準委員会報告書800」より

 

1.「監査基準委員会報告書800」の目的

(1)「監査基準委員会報告書800」(以下、本報告書)は、特別目的の財務報告の枠組みに準拠して作成された財務諸表の監査において、 他の監査基準委員会報告書を適用する際に特に考慮すべき事項について、実務上の指針を提供するものです。

監査基準委員会報告書805「個別の財務表又は財務諸表項目等に対する監査」は、個別の財務表又は財務諸表項目等を対象として監査を実施する場合において特に考慮すべき事項について、実務上の指針を提供するものです。

 

なお、本報告書において定められていない事項及び定義等については、他の監査基準委員会報告書が適用されます。

 

2.適用の前提

(1)本報告書は、監査の対象が特別目的の財務報告の枠組みに準拠して作成された完全な一組の財務諸表であることを前提として記載されています。

 

(2)本報告書は、他の監査基準委員会報告書の要求事項に加えて適用されることを前提としています。

また、本報告書は、個々の監査業務に関連して特に考慮すべき事項を網羅的に提供するものではありません。

 

3.監査人の目的

本報告書における監査人の目的は、特別目的の財務報告の枠組みに準拠して作成された財務諸表の監査において他の監査基準委員会報告書を適用する際に、以下に関連して特に考慮すべき事項に適切に対処することです。

 

(1) 監査契約の締結

(2) 監査の計画と実施

(3) 意見の形成と監査報告

 

4.本報告書における用語の定義

 

 (1) 「特別目的の財務諸表」

特別目的の財務報告の枠組みに準拠して作成される財務諸表をいいます。

なお、監査基準では、「特別目的の財務諸表は、特定の利用者のニーズを満たすべく特別の利用目的に適合した会計の基準に準拠して作成された財務諸表」と説明されています。

 

 (2) 「特別目的の財務報告の枠組み」

特定の利用者の財務情報に対するニーズを満たすように策定された財務報告の枠組みをいいます。

監査基準委員会報告書200「財務諸表監査における総括的な目的」第12項(13)において、 財務報告の枠組みには、適正表示の枠組みと準拠性の枠組みがあることが記載されています。

 

監査基準委員会報告書200「財務諸表監査における総括的な目的」より抜粋

(13) 「適用される財務報告の枠組み」-財務諸表の作成と表示において、企業の特性と財務諸表の目的に適合する、又は法令等の要求に基づく、経営者が採用する財務報告の枠組みをいう。

 

「適正表示の枠組み」は、その財務報告の枠組みにおいて要求されている事項の遵守が要求され、かつ、以下のいずれかを満たす財務報告の枠組みに対して使用される。

 

財務諸表の適正表示を達成するため、財務報告の枠組みにおいて具体的に要求されている以上の開示を行うことが必要な場合があることが、財務報告の枠組みにおいて明示的又 は黙示的に認められている。

 

財務諸表の適正表示を達成するため、財務報告の枠組みにおいて要求されている事項か らの離脱が必要な場合があることが、財務報告の枠組みにおいて明示的に認められている。 このような離脱は、非常に稀な状況においてのみ必要となることが想定されている。

 

「準拠性の枠組み」は、その財務報告の枠組みにおいて要求される事項の遵守が要求され るのみで、上記①及び②のいずれも満たさない財務報告の枠組みに対して使用される。

 

(3)「財務諸表」

本報告書において、財務諸表とは、関連する注記を含む完全な一組の特別目的の財務諸表を意味します。

関連する注記は、通常、重要な会計方針の要約及びその他の説明情報から構成されます。

財務諸表の様式と内容及び完全な一組の財務諸表が何により構成されているかは、適用される財務報告の枠組みによって定められています。

 

5.特別目的の財務諸表の例

 

(例1)

①監査対象:会計監査人設置会社以外の会社が作成する完全な一組の財務諸表に対する任意監査

②利用者:銀行取引約定書に基づき金融機関が利用

③会計の基準:中小企業の会計に関する基本要領に基づいて策定した会計の基準

④財務諸表の構成:BS、PL、株主資本等変動計算書並びに個別注記表並びにその附属明細書

⑤特別目的:財務諸表の利用者のニーズを念頭において、会計処理の方法を選択している

⑥準拠性:会社計算規則に基づいている

 

(例2)

①監査対象: 融資を受けるために、金融機関からの要請に基づいた任意監査

②利用者:金融機関

③会計の基準: 金融機関との合意に基づく基準

④財務諸表の構成:BS、PL、重要な会計方針及びその他の注記

⑤特別目的:企業会計の基準に従っているが、表示および開示項目は、金融機関により指定されている。

⑥準拠性:注記は、指定項目のみ

 

(例3)

①監査対象: 会社法の大会社が、取引先との契約において定められている取り決めに基づいて作成された財務諸表に対する任意監査

②利用者:取引先

③会計の基準: 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準

④財務諸表の構成:BS、PL、株主資本等変動計算書、キャッシュ・フロー計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細書

⑤特別目的:会社計算規則と財務諸表等規則の組み合わせ

⑥適正表示:BS、PL、株主資本等変動計算書は会社計算規則、キャッシュ・フロー計算書は財務諸表等規則

 

 

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