会計監査に関する情報提供の充実について | 社外財務部長 原 一浩
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限定付適正意見、意見不表明又は不適正意見を出した時の監査人の対応~会計監査に関する情報提供の充実について

限定付適正意見、意見不表明又は不適正意見を出した時の監査人の対応~会計監査に関する情報提供の充実について

 

「会計監査に関する情報提供の充実について ― 通常とは異なる監査意見等に係る対応を中心として ― 」が、平成 31 年1月 22 日 に、「会計監査についての情報提供の充実に関する懇談会」から公表されました。

 

「会計監査の在り方に関する懇談会」の提言

平成 28 年 3 月、「会計監査の在り方に関する懇談会」において、 会計監査の信頼性確保に向けた提言が以下のようにとりまとめられています。

 

会計監査の透明性の向上を通じて、企業の株主によって監査人の評価が適正に行われるようになり、高品質と認められる会計監査を提供する監査法人等が評価され、企業がそのような評価に基づいて監査を依頼するようになることが期待される。これにより、より高品質な監査を提供するインセンティブの強化や、そのような監査に株主や企業が価値を見出すことによる監査法人等の監査報酬の向上等を通じて、市場全体における監査の品質の持続的な向上につながっていく好循環が確立されることが望まれる。

 

会計監査に関する情報提供充実の取組み

こうした考え方や会計監査をめぐる国際的な動向を踏まえ、これまで、会計監査に関する情報提供の充実を図る観点から、「監査法人の組織的な運営に関する原則(監査法人のガバナンス・コード)」の策定(平成 29 年 3 月)や、「監査報告書の透明化」(平成 30 年 7 月監査基準改訂)などの取組みが進められてきました。

 

財務諸表の作成と開示に関する第一義的な責任は企業にあり、監査人は、株主・投資家等の財務諸表利用者に対し、財務諸表の適正表示に関する意見を監査報告書を通じて表明します。

 

監査報告書には、監査意見のほか、経営者及び監査役等の責任や監査人の責任等を標準化された文言で簡潔に記載することとされています。

 

監査報告書に関しては、監査意見に至る監査のプロセスに関する情報が十分に提供されず、監査の内容が見えにくいとの指摘等を背景に、これまでの基本的な枠組みは維持しつつ、監査プロセスの透明性向上を図るための取組みが国際的に進展しています。

 

我が国においても、「監査報告書の透明化」の取組みとして、平成 30 年 7 月の監査基準改訂において、監査報告書に「監査上の主要な検討事項」の記載等を求めることとされました。これにより、監査意見やその根拠とは別に、監査人が当年度の監査の過程で着目した会計監査上のリスクに関する情報の記載が求められることとなりました。

 

会計監査に関する説明

監査人が、会計監査の最終的な受益者である株主・投資家等の財務諸表利用者に対し、自ら行った監査に係る説明を行うことは、監査人の職責に含まれるものであり、会計監査の品質向上・信頼性確保に向けた自律的な対応の一環として、監査人は、自らの説明責任を十分に果たしていくことが求められます。

 

近年、「監査報告書の透明化」に向けた制度面の整備も進み、監査人による個々の会計監査に関する説明・情報提供へのニーズが高まる中、それに応じて、より一層の会計監査に関する説明・情報提供の充実が求められています。

 

特に、限定付適正意見、意見不表明又は不適正意見(以下「通常とは異なる監査意見等」という)が表明された場合は、監査人の判断の背景や根拠となった事情が財務諸表利用者の意思決定に対してより重大な影響を与え得るため、監査人からの説明・情報提供が一層重要となります。

 

また、監査人の交代理由など、財務諸表利用者の関心が高い事象についての適切な説明・情報提供も重要な課題と考えられます。

 

しかしながら、従前、こうした場合において、監査人の財務諸表利用者に対する説明責任が十分に果たされていなかったのではないか、との指摘がなされています。

 

具体的には、

・ 監査報告書の除外事項の記載において、具体的な影響額が示されず、また、示されないことについての合理的根拠が十分説明されていない

 

・ 意見不表明の場合に、その理由が十分説明されていない

 

・ 監査報告書の記載のみでは十分な情報が得られない場合があるが、株主総会の場を含め、監査人からの追加的な説明を受ける機会がない

 

・ 監査人の交代に関する開示書類において、実質的な交代理由が記載されていない

 

等の事例があるとの指摘があり、こうした場合は監査人からの充実した説明・情報提供への要請が特に高いと考えられます。

 

こうした説明・情報提供の充実の要請に適切に応えることにより、財務諸表利用者にとって個々の会計監査の有用性が高まるとともに、広く会計監査に対する理解が深まり、財務諸表利用者による監査の品質に対する評価がより適正に行われるようになることが期待されます。

 

これらが、会計監査の品質の向上、ひいては、会計監査の信頼性確保にもつながるものといえます。

 

通常と異なる監査意見等

懇談会においては、以上のような問題意識の下、特に、通常とは異なる監査意見等についての説明・情報提供の在り方に関し、会社法を含む関係法令や監査基準等を踏まえつつ、検討を行っています。

 

監査人が、会計監査の最終的な受益者である株主・投資家等の財務諸表利用者に対し、自ら行った監査に係る説明を行うことは、監査人の職責に含まれるものであり、会計監査の品質向上・信頼性確保に向けた自律的な対応の一環として、監査人は、自らの説明責任を十分に果たしていくことが求められます。

 

 

通常とは異なる監査意見等(限定付適正意見、不適正意見、意見不表明)についての説明・情報提供

1.監査報告書の記載

現 状:監査報告書において、監査意見に至った理由が不十分。

・限定付適正意見の場合になぜ不適正ではないと判断したかの説明が不十分

 

対 応:監査報告書において、意見の根拠を十分かつ適切に記載する。

・ 限定付適正意見: なぜ不適正意見ではないと判断したか

・ 意見不表明:なぜ意見表明できないという極めて例外的な状況に至ったのか

 

2.監査報告書以外での追加的な説明

現 状:監査報告書以外に、監査人からの追加的な説明を受ける機会がない。

・株主総会での会計監査人の意見陳述という会社法上の枠組みが活用されていない

 

対 応:監査人は、株主総会での意見陳述の機会を活用し、追加的な説明を行う。

  • 企業側も、株主総会の議事運営にあたり、監査人の意見陳述の機会を尊重する。
  • 四半期決算など株主総会の機会を活用できない場合であっても、適切な説明の手段を検討する。
  •  監査役等は、監査人による追加的な説明を促す。
  • 監査人が株主等に対して必要な説明・情報提供を行うことは、公認会計士法上の「正当な理由」に該当し、守秘義務違反とならないことを明確化する。

 

 

監査人の交代に関する説明・情報提供

監査人の交代理由の開示

現 状:監査人の交代に際し、実質的な交代理由が開示されていない。(単なる「任期満了」との記載が概ね半数以上)

対 応:企業及び監査人は、監査人の交代理由について、実質的な内容を記載する。

・監査報酬や会計処理に関する見解の相違等がある場合はその内容

 

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