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減損会計~IFRSの取扱と日本基準との比較

減損会計~IFRSの取扱と日本基準との比較

1.減損の定義

 

「資産の帳簿価額が回収可能価額を超えないよう資産の帳簿価額を回収可能価額まで減少させる手続き」をいいます。

 

2.減損の対象となる資産

 

有形固定資産

無形資産

投資不動産(原価モデル)

関連会社株式

など

 

3.減損手続きの流れ

 

以下の流れで行います。

 

(1)会計単位の決定

個別資産または資金生成単位

 

(2)減損の兆候の検討

 

(3)減損テスト

帳簿価額と回収可能価額の比較

 

(4)減損損失の認識

回収可能価額まで帳簿価額を減額

 

4.会計単位

 

個別資産のみでは独立したキャッシュ・インフローを生成しない場合は、概ね独立したキャッシュ・インフローを生成する最小の資産グループで減損の検討を行います。

 

5.減損の兆候

 

(1)外部の情報

市場価値の著しい下落

経営環境の著しい悪化

市場金利の上昇

PBR1倍割れ

など

 

(2)内部の情報

陳腐化

物的損害

遊休化

事業の廃止計画

営業損益の著しい悪化

など

 

(3)日本基準との比較

 

①日本基準

「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針11-17」により具体的な数値基準を用いています。

 

例:

営業活動から生じる損益又はキャッシュ・フローが継続してマイナス

市場価額が帳簿価額から50%程度以上下落

 

②IFRS

より広い意味合いを有する状況証拠であり、感応度が高いため、より早期に減損の兆候が把握される傾向にあります。

また、純資産の帳簿価額が、その企業の株式の時価総額を超過している場合も、 減損の兆候として認められる例の 1つとされています。

 

 

6.減損テスト

 

減損の兆候がある場合、減損テストを実施します。

 

(1)回収可能価額の算定

 

①処分コスト控除後の公正価値

資産の公正価値から資産の処分に直接起因するコストを控除したものになります。

 

②使用価値

将来キャッシュ・フローの見積額の割引現在価値になります。

 

③減損テストの頻度

減損の兆候がある資産は、減損テストを実施します。

 

耐用年数が確定できない無形資産やのれんが含まれる資金生成単位は、減損の兆候がなくても、年1回は減損テストを実施します。

 

(2)のれん

 

のれんは、企業結合のシナジーから便益を受けると見込まれる資金生成単位または資金生成単位グループに配分されます。

 

のれんを内部管理目的で監視している企業内の最小レベルで、かつ、事業セグメントより大きくない資金生成単位あるいは資金生成単位グループに配分されます。

 

(3)全社資産

 

①合理的で首尾一貫した基準により資金生成単位に配分できる場合

配分された全社資産を他の資産と同様に取り扱い減損手続きを行います。

 

②合理的で首尾一貫した基準により資金生成単位に配分できない場合

全社資産を含めずにそれぞれの資金生成単位について減損手続きを行います。

次に、減損後の資金生成単位グループに全社資産を加えて再度減損テストを行います。

 

7.減損損失の認識

 

(1)IFRS(IAS36.59)

 

減損の兆候が存在する場合には、回収可能価額を算定し、資産の帳簿価額がその回収可能価額を上回る場合に、その差額を減損損失として認識します。

 

回収可能価額は、処分費用控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い金額となります。

 

認識と測定を同時に行う「1段階アプローチ」と呼ばれています。

 

(2)日本基準

 

「固定資産の減損に係る会計基準(以下「基準」)二2,3」の定めにより、認識と測定を別個にこなう「2段階アプローチ」を行います。

 

減損の兆候が存在する場合には、 最初に減損の認識の判定(資産の帳簿価額を、使用及び最終的処分を通じて発生する割引前将来キャッシュ・フローの総額と比較する)を行います。

 

その結果、資産の帳簿価額が割引前キャッシュ・フローの総額よりも大きいため、回収不能と判断された場合、資産の帳簿価額を回収可能価額(正味売却価額と使用価値のいずれか高い金額)まで減額するように減損損失を認識します。

 

(3)のれんの減損

 

①IFRS(IAS36.10,11,80)

 

規則的な償却は行わないませんが、 減損の兆候が無くても毎期1回、減損の兆候がある場合には追加で、減損テストを行います。

 

②日本基準

 

のれんは、20年以内のその効果が及ぶ期間にわたって規則的に償却を行った上で、減損の兆候がある場合には、別途、減損テストを実施します。

 

8.減損損失の戻入れ

 

(1)IFRS(IAS36.110,117,124)

 

①のれんの減損損失の戻入れは禁止されています。

 

②他の資産については、 毎年、 戻入れの兆候について検討しなければなりません。

 

(例)

・外部の情報

市場価値の著しい増加

経営環境の著しい改善

市場金利の下落

 

・内部の情報

性能の改善または拡張

営業損益の著しい改善

 

③戻入れが必要な場合は、過年度に減損がなかったとした場合の(償却又は減価償却控除後の)帳簿価額を上限として、減損損失を戻し入れます。

 

(2)日本基準

 

あらゆる資産について禁止されています。



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