セグメント会計とは
事業を多角化している場合、それぞれの事業の業績を知るために事業ごとの損益計算書を作成します。
これを「セグメント会計」といいます。
セグメントとは、組織区分で、事業部や社内カンパニーが代表例ですが、工場やブランドごとでも可能です。
セグメント会計では、損益計算書は作成しますが、貸借対照表やキャッシュフロー計算書は、通常作成されません。
セグメント会計の目的
セグメント会計は、事業ごとに業績を測定することで、どの事業に経営資源を集約するのか、どの事業から撤退すべきかなどの、事業ごとの管理を徹底するという目的があります。
セグメント会計は、組織内部の会計情報ですが、上場企業の場合には、セグメント情報として、一定の開示が行われています。
セグメント別損益計算書
セグメント会計では、事業部に直接に紐付け可能な売上と費用を集計し、事業部の利益(貢献利益)から本社費を一括して控除して、損益計算書を作成します。
費用の分類
費用の分類は、以下のように行います。
- 事業部の観点から、直接費と間接費(本社費)に分類します。
- 直接費を、変動費と固定費に分類します。
- 固定費を、管理可能固定費と管理不能固定費に分類します。
損益計算書は、以下の流れになります。
売上高(A)
事業部変動費(B)
限界利益(C)=(A)-(B)
管理可能固定費(D)
管理可能利益(E)=(C)-(D)
管理不能固定費(F)
事業部利益(貢献利益)(G)=(E)-(F)
本社費(H)
純利益(I)=(G)-(H)
限界利益と貢献利益
上の式で見たように、限界利益と貢献利益を違う意味で使っています。
限界利益とは、売上高に比例して増加する利益で、売上高と変動費との関係に注目しています。
貢献利益とは、事業部で稼得した利益で、固定費を回収して全社利益を創出するための利益、ということが出来ます。
本社費の配賦
事業部制組織では、事業部の他に本社部門があって、事業部に対してサービスを提供したり、全社的な方針を策定したりしています。
本社費の回収が必要な利益水準を事業部の目標にする場合には、本社費を配賦することになりますが、本社費を事業部に配賦すべきかは、いろいろな見解が有り、決着はついていません。
本社費を事業部に配賦する基準としては、売上、利益、資産、従業員数などがあります。また、本社費の内容によって配賦基準を変える場合もあります。いずれの基準をとるにせよある程度の恣意性が入ることは否めません。