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経営陣への委任の範囲の分析~「コーポレート・ガバナンス白書2019」より

「コーポレート・ガバナンス白書2019」(以下、本白書)が東京証券取引所から2019年5月に公表されました。本白書は、我が国企業を巡る近年のコーポレート・ガバナンス改革の進展も踏まえ、分析を行っています。本白書は、関係者が、変貌している我が国の上場会社のコーポレート・ガバナンスの取組状況を概観するための助けとなることを意図して作成されています。

 

「経営陣への委任の範囲」に関する分析結果を見てみましょう。

 

1.経営陣に対する委任の範囲(補充原則4-1①)の概要

 

コーポレート・ガバナンス・コード原則4-1においては、取締役会は、「会社の目指すところ(経営理念等)を確立し、戦略的な方向付けを行うことを主要な役割・責務の一つと捉え、具体的な経営戦略や経営計画等について建設的な議論を行うべき」としています。

 

そのうえで、補充原則4-1①は、取締役会自身として何を判断・決定するのかに関連して、経営陣に対する委任の範囲を開示することを求めています。

 

(1)記載内容の分析

 

補充原則4-1①の実施率は99.6%(2,610社)となっています。

 

ほとんどの会社においては、取締役会規則や決裁権限規程等の社内規則において、取締役会自身での決議事項等を定めていて、同補充原則を実施しない会社はごく少数にとどまっています。

 

しかしながら、これまで我が国の会社の取締役会では、基本的な経営戦略や経営計画に関 する事項、監督機能に関する事項を十分に議論してこなかったとの指摘もあります。

 

同補充原則においては、会社の意思決定システムにおける取締役会の役割・責務を明確化することが求められています。

 

多くの会社が社外取締役の複数名選任を進めており、取締役会の経営陣に対する監督機能を今まで以上に強化していく中で、取締役会が果たすべき役割を明確化し、実行していくことの重要性が増しています。

 

(2)キーワード分析

 

同補充原則に基づく一般的な開示例としては、「当社は、取締役会規則を制定し、法令並び に定款に規定された事項のほか、業務執行上の重要な事項について、取締役会の決議により決定しています。」という旨のものが多くなっています。

 

実際にキーワード分析を行うと、「規則・規程等」については80.9%(2,112社)、「法令等」については66.4%(1,734社)、「定款」については51.7% (1,349社)の会社が記載しています。

 

その他にも、「職務権限」については31.9%(832社)、「決裁(決裁権限・決裁基準)」については21.4%(558社)、「付議基準」については5.9%(153社) で記載がみられました。

 

多くの会社が、法令や定款、各種規則、決定権限等に基づいて取締役会の役割・責務を明確化していることが伺えます。

 

また、執行役員制度や経営会議を設置している等として、取締役会と経営陣の役割分担を 明記している会社も一部でみられました。

 

「執行役員」というキーワードを含む会社は30.4%(793 社)、「会議(経営会議・執行役員会議等)」を含む会社は25.1%(655社)でした。

 

コーポレート・ガバナンス・コード上、取締役会において判断・決定すべき項目とされる「経営戦略」「経営計画」等をキーワードとして含めている会社数は、「戦略(経営戦略等)」が11.4%(297社)、「計画(経営計画・ 事業計画)」が18.2%(474社)でした。

 

法令や定款、各種規則等をキーワードとして含めている会社数に比べると少なく、取締役会の具体的な決定事項まで踏み込んだ記載を行っている会社は一部であることが伺えます。

 

2.個別の開示事例の分析

 

個別の開示事例をみていきますと、まず<事例1>は執行役員制度の導入による、監督と執行の分離について言及すると共に、取締役会が決定する事項について具体的に記載することで、取締役会の役割・責務が会社の全体的な考え方を含めて明確化されています。

 

<事例2>のように、経営会議について、設置の狙いや出席者の役職等について開示を行っている会社もあります。

 

<事例3>は具体的な社内規程を明記している事例です。

取締役会の決議事項、代表取締役等への委任事項について、金額基準を含めて詳細な基準を公表しています。

具体的な数字基準を明らかにすることで、株主・投資家等に対して取締役会と経営陣の役割分担を明確に示しているといえます。

 

<事例4>は取締役会において、経営戦略や長期ビジョン、あるいは経営全般に関わるテーマについて自由な意見交換を行う「戦略・ビジョン討議」を行っている旨を記載している事例です。

「ビジョン」に言及している会社は17社(0.7%)にとどまっていますが、そのなかでも、同社は積極的に経営戦略や長期ビジョン等について取締役会が関与していこうとする姿勢がみえる開示です。

 

<事例1>

当社は、執行役員制度を導入して監督と執行を分離することにより、取締役会は独立した客観的な立場から、実効性の高い監督を行います。

取締役会は、当社グループの持続的な成長と中長期の企業価値向上を達成するために、経営の基本方針、経営戦略、中期経営計画、年度経営計画、資本政策等の経営重要事項を決定し、経営陣に具体的な業務執行を委任します。

取締役会は、法令で定める事項および重要な業務執行の決定を除き、経営会議に対し、個別の業務執行についての決定を委任します。その区分については、社内規程によって明確にします。 (水産・農林業)

 

<事例2>

当社は、経営の意思決定・監督機関として株主から付託を受けた「取締役会」、取締役会の決定に基づき業務執行の意思決定を行なう「経営会議」、業務執行を行なう「執行役員制度」を設け、経営の意思決定・監督と業務執行の分離を行なっています。

当社取締役会は、取締役会の迅速かつ機動的な意思決定と企業経営の実現、取締役会による取締役等経営陣への監督強化を目的として、法令上取締役会による専決事項とされている事項以外の業務執行の決定の一部を取締役会から経営会議に委任しています。

当社経営会議は、業務執行上の機関として設置され、取締役会から委任を受けた上記事項につき、組織的かつ迅速な意思決定を行います。

経営会議は、取締役社長、在京の業務執行取締役、国際事業部長、工事統括部長、企画ユニット長、管理ユニット長により構成されます。 (建設業)

 

<事例3>

(中略)社内規程(稟議規程)においては、例えば、2億円超の建物設備の改築等、什器備品・車両の購入等、重要かつ多量の営業資産の購入・廃棄等、LPガス営業権の買収等については取締役会の決議事項、2億円以下のそれらの事項については金額に応じて代表取締役その他機関の決定事項としております。

また、3000万円以上の不良債権の償却整理・債務免除、補償及び損害賠償、債務保証・担保差入等については、取締役会の決議事項、3000万円以下のそれらの事項については、金額に応じて代表取締役その他機関の決定事項としております。 (卸売業)

 

<事例4>

取締役会は、当社の中枢的な意思決定機関として、当社グループの経営に係る基本方針と最重要案件の審議・決議を行っています。

取締役会は定例としては年10回程度適切な間隔を置き開催し、例えば、経営計画の策定や大型投資の決定、各事業年度の予算承認、四半期決算承認について決議を行っています。

また、経営戦略や長期ビジョン、あるいは経営全般に関わるテーマについて社外取締役・社外監査役を交えて自由な意見交換を行う「戦略・ビジョン討議」を行っています。

また、取締役会規程にて付議基準を定め、取締役会にて決議する範囲を定めています。(中略) (海運業)

 

組織形態の分析について~「コーポレート・ガバナンス白書2019」より

「コーポレート・ガバナンス白書2019」(以下、本白書)が東京証券取引所から2019年5月に公表されました。本白書は、我が国企業を巡る近年のコーポレート・ガバナンス改革の進展も踏まえ、分析を行っています。本白書は、関係者が、変貌している我が国の上場会社のコーポレート・ガバナンスの取組状況を概観するための助けとなることを意図して作成されています。

 

組織形態に関する分析結果をみてみましょう

 

1.組織形態の概要

 

組織形態をみると、東証上場会社全体の73.3%(2,635社)が監査役会設置会社であり、続いて2015年の会社法改正で導入された監査等委員会設置会社が24.7%(888社)、指名委員会等設 置会社は2.0%(71社)となっています。

 

市場区分別にみても、各市場ともに監査役会設置会社の占める割合が一番高く、次に監査 等委員会設置会社、指名委員会等設置会社と続くことに変わりはありません。

 

なお、JPX日経400構成会社では指名委員会等設置会社の比率が比較的高く、8.8%を占めています。

 

また、市場第二部においては、監査等委員会設置会社が31.5%とやや高くなっています。

 

外国人株式所有比率でみると、比率が高くなるにつれて、指名委員会等設置会社の比率が 高くなっており、外国人株式所有比率が30%以上の会社では7.0%の会社が指名委員会等設置会社となっています。

 

2.現状のコーポレート・ガバナンス体制の概要

 

コーポレート・ガバナンス報告書の「現状のコーポレート・ガバナンス体制の概要」欄においては、業務執行、監査・監督の方法など、取締役会をはじめとするガバナンス機構に関する現状の体制について、その概要や、業務執行、監督機能等の充実に向けた追加的な施策の内容等を具体的に記載することとなっています。

 

(1)監査役会設置会社

 

監査役会設置会社(2,635社)においては、迅速な意思決定を行うための取締役会以外の体 制として、「経営会議」に言及する会社は48.1%(1,268社)、「常務会」に言及する会社は6.7%(176社)でした。

 

また、監督と執行の分離を進めていくために「執行役員制度」の導入に言及している会社は52.2%(1,375社)でした。

 

この他、「コンプライアンス」、「リスクマネジメント」等の内部統制関連の委員会の設置に言及している会社は19.5%(515社)でした。

 

(2)監査等委員会設置会社

 

監査等委員会設置会社(888社)においては、「経営会議」に言及している会社は46.6%(414社)、 「常務会」に言及している会社は6.0%(53社)、「執行役員制度」に言及している会社は47.4%(421社)でした。

 

また、「コンプライアンス」、「リスクマネジメント」等の内部統制関連の委員会を設置していることに言及している会社は、19.9%(177社)であり、監査役会設置会社と比率に大きな差異はみられませんでした。

 

(3)指名委員会等設置会社

 

指名委員会等設置会社(71社)においては、「経営会議」に言及している会社は43.7%(31社)であるのに対し、「常務会」に言及している会社は存在しませんでした。

 

指名委員会等設置会社においては法定の執行役制度がありますが、執行役のほか、「執行役員制度」に言及している会社は22.5%(16社)でした。

 

また、「コンプライアンス」、「リスクマネジメント」等の内部統制関連の委員会を設置していることに言及している会社は19.7%(14社)であり、監査役会設置会社や監査等委員会設置会社と比率に大きな差異はみられませんでした。

 

(4)監査役会設置会社の監査役による監査

 

監査役会設置会社の監査役による監査に関しては、「監査体制」に言及している会社は12.1% (319社)であり、社内と社外監査役、常勤監査役の人数などが記載されています。

 

また、「監査方針」に言及している会社は17.8%(469社)、「監査基準」に言及している会社は7.1%(186社)であり、監査役監査基準に準拠した監査を行っている旨の記載が多くありました。

 

この他、監査役会の開催状況や、各監査役の活動状況として、重要会議への出席、書類の閲覧、子会社への往査等について言及している会社もありました。

 

また、監査役業務の充実及び実効性の向上を図るため監査役室を設置しているという記載や、監査方針及び監査基準に基づき監査を実施しているという記載もみられました。

 

(5)監査等委員会設置会社における監査等委員会による監査

 

監査等委員会設置会社における監査等委員会による監査に関しては、「監査体制」に言及している会社は8.2%(73社)、「監査方針」に言及している会社は14.0%(124社)、また、「監査基準」に言及している会社は1.9%(17社)でした。

 

(6)指名委員会等設置会社における監査委員会による監査

 

指名委員会等設置会社における監査委員会による監査に関しては、「監査体制」に言及している会社は15.5%(11社)、「監査方針」に言及している会社は15.5%(11社)、また、「監査基準」に言及している会社は5.6%(4社)でした。

 

(7)監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社の監査体制

 

監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社の監査体制は、監査等委員会/監査委員会の社内と社外取締役の人数等の構成を記載するものが多く、各監査(等)委員は監査等委員会 /監査委員会で定めた監査方針、監査基準に基づき、取締役会をはじめとする重要な会議に出席するほか、取締役の業務の執行状況を監査するといった記載が多くみられました。

 

また、監査機能の強化のために監査等委員会事務局に専任のスタッフを配置するといった記載もみられました。

 

3.現状のコーポレート・ガバナンス体制を選択している理由

 

コーポレート・ガバナンス報告書は、組織形態が監査役会設置会社、監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社のいずれであるか、監査役会設置会社については社外取締役を選任しているか否かに区分して、取締役会をはじめとするガバナンス機構の構成に関して、現状の体制を採用している理由について記載することを求めています。

 

⑴ 監査役会設置会社の場合

 

①概要

監査役会設置会社であって社外取締役を選任している会社(2,553社)は、各社の現状に照らして当該体制を採用している理由を記載すること及び各社における社外取締役の役割や機能を記載することを求められています。

 

社外取締役の役割や機能として、経営陣から独立した立場で、取締役の業務執行の監督、意思決定の適正性を確保するための助言を担っている等の趣旨の記載が多くみられました。

 

②社外取締役

監査役会設置会社であって社外取締役を選任していない会社にも、各社の現状に照らして当該体制を採用している理由を記載することを求めており、上場会社が会社法上の大会社である場合、社外取締役を置くことが相当でない理由を記載することとなっています。

 

監査役会設置会社であって社外取締役を選任していない会社は82社あり、これは監査役会設置会社形態をとっている上場会社の3.2%を占めています。

 

社外取締役を選任していない場合の記載内容としては、要件を満たす適任者の選定が困難、 会社規模からして現取締役会が効率的で意思決定も迅速、取締役相互の牽制が十分、コンプ ライアンス・リスクマネジメント委員会等の内部統制に関する委員会での強化といったものがみられました。

 

この他、業界に対する深い知識や経営に対する識見が十分でない社外取締役を選任した場合、実情に適さない意思決定で取締役会の機能を低下させ無用なコストを及ぼすというような理由もありました。

 

⑵ 監査等委員会設置会社の場合

 

監査等委員会設置会社が当該組織形態を採用した理由の具体的な記載内容として、記載要領では、意思決定の迅速化、経営の透明化、海外投資家の支持率の向上等について、監査役会設置会社形態の時と比較評価することや、これらの機能等を強化するために現在導入を検討している施策の概要、社外取締役の役割や機能を記載することを例示しています。

 

監査等委員会設置会社(888社)が同制度を選択している理由について、「社外」に言及している会社は66.4%(590社)であり、社外取締役による監督機能の強化への言及が多くみられました。

 

一方、意思決定の迅速化(「決定」に言及している会社は50.9%(452社))、権限委譲に伴う業務執行の迅速化(「権限」に言及している会社は11.1%(89社))、監督と執行の分離を明確化(「分離」に言及している会社は9.1%(81社))、執行機能の強化(「執行機能」に言及している会社は4.4%(39社))といった事項への言及は指名委員会等設置会社に比較すると少なくなっています。

 

⑶ 指名委員会等設置会社の場合

 

指名委員会等設置会社が当該組織形態を採用した理由の具体的な記載内容としても、監査 等委員会設置会社と同様、監査役会設置会社形態の時との比較評価等を記載要領において例示しています。

 

指名委員会等設置会社(71社)が同制度を選択している理由をみますと、監査等委員会等設置会社と比べて、監督と執行の分離に関する記載の比率が高くなっています。

 

意思決定の迅速化(「決定」に言及している会社は67.6%(48社))、社外取締役による監督機能の強化(「社外」に言及している会社は66.2%(47社))、監督と執行の分離を明確化(「分離」に言及している会社は64.8% (46社))、権限委譲に伴う業務執行の迅速化(「権限」に言及している会社は31.0%(22社))、執行機能の強化(「執行機能」に言及している会社は21.1%(15社))といったものが多くみられました。

 

4.取締役会の議長の属性

 

コーポレート・ガバナンス報告書においては、取締役会の議長について、設置の有無及び設置している場合はその属性について、⑴社長、⑵会長52、⑶会長・社長以外の代表取締役、⑷社外取締役、⑸その他の取締役、又は⑹なし、から選択することとなっています。

 

東京証券取引所上場会社全社が取締役会の議長を設置しており、その属性の傾向をみると、社長の比率が最も高く、83.1%を占めました。

 

また、会長の比率は15.0%であり、両者の合計は 98.1%と、ほぼすべての上場会社において、社長又は会長のいずれかが取締役会の議長を務めています。

 

なお、会長が取締役会の議長を務めている比率は、市場第一部では21.9%、JPX日経 400構成会社では、40.1%となっており、会社の規模が大きくなるほど、会長が務めている比率が多くなっているといえます。

 

取締役会における議論の活性化や監督と執行を分離し取締役会の監督機能を強化する観点 から、取締役会の議長を社外取締役とすることを求める投資家の声も増してきているものの、今回の調査では社外取締役が議長を務めている比率は0.8%にとどまっており、今後の課題の1 つといえます。

 

なお、JPX日経400構成会社においては、社外取締役が議長を務めている比率が4.0%と他の会社よりも多くなっています。

 

 

コーポレート・ガバナンスに関する分析について~「コーポレート・ガバナンス白書2019」より

1.コーポレート・ガバナンス・コードの概要

 

コーポレート・ガバナンス・コードは、実効的なコーポレート・ガバナンスの実現に資する原則を、東京証券取引所として取りまとめたものです。

 

基本原則:5原則、原則:31原則、補充原則:42原則の全78原則から構成されています。

 

市場第一部・第二部の上場会社は、上場規程において、全78原則の「コンプライ・オア・エクスプレイン」の状況をコーポレート・ガバナンス報告書において開示することが義務付けられています。

 

2018年6月には、コーポレート・ガバナンス改革をより実質的なものへと深化させていくため、コーポレート・ガバナンス・コードを改訂し、1原則・4補充原則が新設、5原則・4補充原則が改訂されています。

東京証券取引所では、上場会社の改訂後のコードを踏まえたコーポレート・ガバナンス報告書の提出が一巡した2018年12月31日時点で、市場第一部・第二部の2,621社の改訂後のコードへの対応状況を集計しました。

 

「コンプライ・オア・エクスプレイン」(原則を実施するか、実施しない場合には、その理由を説明するか)の手法を採用しており、コードの各原則(基本原則・原則・補充原則)の中に、各社の個別事情に照らして実施することが適切でないと考える原則があれば、それを「実施しない理由」を十分に説明することにより、一部の原則を実施しないことも想定しています。

 

 

2.コーポレート・ガバナンス・コードの取組状況の概要

 

(1)市場全体

 

市場第一部・第二部全体では、全78原則を実施しているとした会社は15.0%でした。

コード改訂前にあたる2017年7月時点で全73 原則を実施しているとした会社の比率が25.9%であったことを踏まえると、全原則を実施する会社の比率が大きく低下しています。

 

これは新設・改訂された一部の原則において、より高い水準の取組が求められる中で、会社が従来の「実施」から「説明」に対応を切り替えている事が背景にあると考えられます。

 

(2)市場区分別

 

市場区分別にみると、市場第一部(2,128社)のうち、全原則を実施している会社は18.1%、 90%以上実施している会社が67.3%でした。

 

一方、市場第二部(493社)では、全原則を実施している会社が1.2%、90%以上実施している会社が60.2%となっていて、市場第一部の方が市場第二部よりも実施している原則の数が多い傾向となっています。

 

JPX日経400構成会社においては、全原則を実施している会社の割合は市場第一部・第二部合計を大きく上回る43.9%となっています。

 

時価総額別の状況としては、おおむね、時価総額が大きい会社ほど実施している原則が多い傾向となっています。

 

(3)業種別

 

業種別にみると、全原則を実施している会社の比率が最も高かったのは銀行業(45.8%)で 、次に保険業(44.4%)、石油・石炭製品(33.3%)、医薬品(29.3%)と続いています。

 

(4)新設・改訂された原則

 

今回のコード改訂により新設・改訂された原則の実施率を、コーポレート・ガバナンス・コード改訂前の2017年7月時点と比較しますと、補充原則4-1③(後継者計画)や補充原則4-10①(任意の指名委員会・報酬委員会)、原則4-11(取締役会の多様性等)等の原則で実施率が低下しています。

 

今回新設・改訂の対象となった原則は、従来から上場会社と投資家との間で、必要と考える取組の水準にギャップのあったものが中心であり、改訂に伴い、追加的な取組が求められる中で、対応の検討に時間がかかっている上場会社も一定程度あると推察しています。

 

例えば、補充原則4-10①については、従来は、任意の指名委員会・報酬委員会の設置を、独立社外取締役の適切な関与・助言を得るための1つの「例示」としており、指名委員会・報酬委員会を設置していない会社においても独立社外取締役の適切な関与・助言が得られていれば「実施」としている場合がありましたが、今回のコード改訂により、指名委員会・報酬委員会などの独立した諮問委員会の設置がない会社は「説明」が求められることとなりました。

 

原則4-11については、 取締役会の多様性において「ジェンダーや国際性」が明記されたことで取締役会に女性や国際経験のある人材がいない会社においては従来の「実施」から「説明」に変更している例が多くみられます。

 

なお、コーポレート・ガバナンス・コード策定の目的が、機関投資家との建設的な対話を通じて、上場会社の中長期的な 企業価値の向上、持続的な成長のための積極的な経営判断を後押しすることにあることを踏まえれば、形式的な「実施」よりも、上場会社各社の事情を踏まえた慎重な検討と質の高い「説明」が期待されます。

 

会社の解散・清算について~法務・税務・会計の視点から

会社の解散・清算を行うためには、会社法・税務・会計の知識が必要となります。

Ⅰ 会社法の取扱

 

1.清算の開始及び流れ

 

会社法では会社の解散事由を定めています。もっとも一般的な事由は、株主総会の決議によるものでしょう。

会社が解散した場合には、清算しなければなりません。

解散決議をすると会社は清算会社となり、清算会社は、清算の目的の範囲内で、清算が結了するまでは、存続するものとみなされます。

 

解散及び清算手続きの流れは、以下のようになります。

 

(1)通常の事業年度

(2)解散の株主総会決議及び清算人の選出

(3)解散・清算人登記(登記所):解散の日から2週間以内

(4)解散の届け出(税務署)

(5)解散日の財産目録・貸借対照表の作成・承認:清算人就任後、遅滞なく

(6)債権者に対する公告等:解散日後遅滞なく、2か月間の債権申し出期間

(7)解散年度の確定申告(税務署):2か月以内

(8)会社の財産・債務の整理

(9)(清算事業年度の確定申告)

(10)残余財産の確定

(11)最終事業年度の確定申告(税務署):1か月以内

(12)残余財産の分配

(13)決算報告書の作成と株主総会の承認

(14)清算結了登記(登記所):株主総会後2週間以内

(15)清算結了の届け出(税務署)

 

 

2.清算株式会社の機関

 

清算株式会社には、一人又は二人以上の清算人を置かなければなりません。

清算株式会社は、定款の定めによって、清算人会、監査役又は監査役会を置くことができます。

 

3.清算人の就任及び解任並びに監査役の退任

 

(1)清算人の就任

清算株式会社の清算人は、定款で定める者、株主総会の決議によって選任された者が就任します。このようなものがいない場合には、取締役が清算人となります。

 

(2)清算人の解任

清算人は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができます。

重要な事由があるときは、裁判所は、総株主の議決権または発行済株式の百分の三以上の議決権を六箇月前から引き続き有する株主(一定の株主を除く)の申立てにより、清算人を解任することができます。

 

(3)監査役の退任

清算株式会社の監査役は、当該清算株式会社が次に掲げる定款の変更をした場合には、当該定款の変更の効力が生じた時に退任します。

 

監査役を置く旨の定款の定めを廃止する定款の変更

監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めを廃止する定款の変更

 

 

4.清算人の職務等

 

(1)清算人は、次に掲げる職務を行います。

現務の結了

債権の取立て及び債務の弁済

残余財産の分配

 

 

(2)業務の執行

清算人は、清算株式会社の業務を執行し、清算株式会社を代表します。

 

(3)財産目録等の作成等

清算人は、その就任後遅滞なく、清算株式会社の財産の現況を調査し、法務省令で定めるところにより、解散日における財産目録及び貸借対照表(以下、「財産目録等」という。)を作成しなければなりません。

清算人は、財産目録等を株主総会に提出し、又は提供し、その承認を受けなければなりません。

清算株式会社は、財産目録等を作成した時からその本店の所在地における清算結了の登記の時までの間、当該財産目録等を保存しなければなりません。

 

(4)貸借対照表等の作成及び保存

清算株式会社は、法務省令で定めるところにより、各清算事務年度(解散日の翌日又はその後毎年その日に応当する日(応当する日がない場合にあっては、その前日)から始まる各一年の期間をいう。)に係る貸借対照表及び事務報告並びにこれらの附属明細書を作成しなければなりません。

清算株式会社は、貸借対照表を作成した時からその本店の所在地における清算結了の登記の時までの間、当該貸借対照表及びその附属明細書を保存しなければならなりません。

 

 監査役設置会社においては、貸借対照表及び事務報告並びにこれらの附属明細書は、法務省令で定めるところにより、監査役の監査を受けなければなりません。

 

(5)貸借対照表等の備置き及び閲覧等

清算株式会社は、各清算事務年度に係る貸借対照表及び事務報告並びにこれらの附属明細書を、定時株主総会の日の一週間前の日からその本店の所在地における清算結了の登記の時までの間、その本店に備え置かなければなりません。

 

(6)貸借対照表等の定時株主総会への提出等

清算株式会社においては、清算人は、貸借対照表及び事務報告を定時株主総会に提出し、又は提供しなければなりません。監査役設置会社の場合には、監査を受ける必要があります。

提出され、又は提供された貸借対照表は、定時株主総会の承認を受けなければなりません。

清算人は、提出され、又は提供された事務報告の内容を定時株主総会に報告しなければなりません。

 

5.残余財産の分配

 

清算株式会社は、残余財産の分配をしようとするときは、清算人の決定によって、次に掲げる事項を定めなければなりません。

 

(1)残余財産の種類

(2)株主に対する残余財産の割当てに関する事項

 

なお、株主の有する株式の数に応じて残余財産を割り当てることを内容とするものでなければなりません。

 

6.清算事務の終了等

 

清算株式会社は、清算事務が終了したときは、遅滞なく、法務省令で定めるところにより、決算報告を作成しなければなりません。

清算人は、決算報告を株主総会に提出し、又は提供し、その承認を受けなければなりません。

 

7.帳簿資料の保存

 

清算人は、清算株式会社の本店の所在地における清算結了の登記の時から十年間、清算株式会社の帳簿並びにその事業及び清算に関する重要な資料(以下、「帳簿資料」という。)を保存しなければなりません。

 

Ⅱ 税務、会計の取扱

 

平成22年度税制改正により、清算会社の課税所得計算が改正され、平成22年10月1日以降に解散された解散法人の税務は、通常の税務とほぼ同一の取り扱いがされることになりました。

ただし、解散・清算法人特有の取り扱いがあります。

 

1.解散事業年度の法人税等

 

(1)解散事業年度の青入り欠損金の繰り戻し還付の特例

すべての法人に、「その事業年度または解散等の日前1年以内に終了したいずれかの事業年度において生じた欠損金額について、解散等の日以後1年以内に繰り戻し還付の請求をすることができる」という特例があります。これは、法人税のみの規定です。

 

 

2.清算途中事業年度の法人税等

 

(1)通常の事業年度と異なり、特別償却の一部及び特別税額控除、圧縮記帳、準備金の一部、収容の特別控除などは適用されません。

 

(2)残余財産がないと見込まれる場合の期限切れ欠損金の損金算入をすることができます。

 

 

3.清算最終事業年度の法人税等

 

清算最終事業年度には、以下の特例があります。

 

(1)最終事業年度の事業税の損金算入

 

(2)引当金の繰り入れ不適用

 

(3)一括償却資産等の全額損金算入

 

(4)残余財産がないと見込まれる場合の期限切れ欠損金の損金算入

 

事業計画分析~意義、計画の検討、全体的評価について~財務デュー・デリジェンスの視点から

1.事業計画分析の意義

 

事業計画は、将来キャッシュ・フローの前提となるもので、企業価値評価においては、非常に重要なものです。

 

企業価値を算定するDCF法では、株式価値について将来キャッシュ・フローをもとにして算出するので、事業計画には、損益計画、貸借対照表計画、キャッシュ・フロー計画が必要になります。

 

事業計画は、ビジネスデュー・デリジェンスと財務デュー・デリジェンスに分けることができます。

事業面は、ビジネスデュー・デリジェンス、計数面は、財務デュー・デリジェンスを行い、事業計画を検討することになります。

 

 

2.事業計画の検討

 

(1)留意事項

 

事業計画作成の際の前提について、どの範囲まで検討するかを依頼者と合意し、調査範囲を明確にしておく必要があります。

特に、事業計画分析といっても財務諸表の要修正事項のみなのか、キャッシュ・フロー分析も含む事業計画全体の分析かによって、調査結果報告が異なりますので、留意が必要です。

 

(2)主要な前提

 

事業計画は、様々な前提を置いて作成されます。

事業計画の前提を把握し理解することは、重要な手続きとなります。

前提の例としては、以下の項目が挙げられます。

 

①市場の状況

②マーケット・シェア

③売上推移

④仕入れの状況

⑤人員の状況

⑥設備投資計画

⑦マーケティング手法

⑧法規制

 

(3)事業計画の重要な前提の評価にあたっての留意事項

 

事業計画の検証は、過去の実績値の検証と将来の計画の前提を結び付けながら将来の事業計画を検討していくことになります。

 

①過去の事業計画の達成度

 

過去の事業計画の達成度を確認することは、事業計画の達成可能性を判断する材料になります。

 

②過去の業績推移

 

今後の事業計画と過去の業績推移の傾向が整合しているかを確認する必要があります。

過去の事業計画が保守的なものかどうかや、将来の事業計画が楽観的なものかどうかは、過去の業績推移をみることにより、判断することができます。

 

3.事業計画の全体的評価

主な全体評価手続きは、以下のようになります。

 

(1)事業計画の作成と会計基準との整合性

 

会計基準に準拠していない処理がある場合、事業計画において見直すべきか検討する必要があります。

 

(2)事業計画の作成方法

 

事業計画の作成プロセスと承認プロセスを確認し、全社的に整合性がとれたものであることを確認しておく必要があります。

 

(3)損益計画以外の計画との整合性

 

事業計画には、損益計画、貸借対照表計画、キャッシュ・フロー計画が含まれますので、これらの計画が連動していることを確認する必要があります。

 

4.損益計画分析

損益計画分析は、事業計画分析の柱となるものです。

 

(1)売上高分析

 

事業計画における売上計画は最も重要なものです。

 

①会社の属する事業や製品等の市場規模等の推移と会社の過去の業績との相関関係の分析

②既存事業の動向と新規事業の実現可能性

③売上単価と数量の前提、返品・値引き等

 

(2)売上原価分析

 

①材料費、労務費、経費等の推移、比率分析

②材料単価推移、人員計画、昇給率等

③棚卸資産の評価減

 

(3)販売費及び一般管理費分析

 

①売上との連動

②人員計画、設備投資計画との連動

③管理可能費と管理不能費の区別

 

 

5.キャッシュ・フロー計画分析

 

将来のキャッシュ・フローが合理的に算定されているかがポイントとなります。

 

(1)フリー・キャッシュ・フロー

 

フリー・キャッシュ・フローは、「税引き後営業利益+減価償却費±運転資本増減-設備投資」となるので、損益計画、設備投資計画等との整合性に留意します。

 

(2)税金費用

 

税引き後営業利益を算出するためには、税金費用の算定が重要になります。

税引き前営業利益に実効税率を乗じて税金費用を算定する場合には、一時差異とならない税務と会計の差異がある場合には留意する必要があります。

 

(3)減価償却費・設備投資額

 

設備投資計画と減価償却費との整合性を検討します。

 

(4)運転資本の増減

 

将来の運転資本の増減を見積もる場合には、フローとストックの整合性がとれているかに留意します。

 

(5)資金調達計画

 

営業キャッシュ・フロー、運転資本の増減、設備投資を考慮した資金調達計画になっているかに留意します。

 

 

6.貸借対照表計画分析

(1)他の計画との整合性

 

貸借対照表計画は、売上や仕入れなどの損益計画に債権債務の回転期間を想定して作成します。

また、設備投資計画に基づいた固定資産残高の見積もりも行います。

各種の前提と貸借対照表計画の整合性に留意する必要があります。

 

(2)純資産額

 

税金計算や剰余金の処分計画がおろそかになっている場合がありますので、留意する必要があります。

 

(3)非事業用資産

 

非事業用資産の処分について、その内容や処分の可能性を検討しておく必要があります。

 

キャッシュ・フロー分析の目的、対象、方法、内容~財務デュー・デリジェンスより

1.キャッシュ・フロー分析の目的

財務デュー・デリジェンスにおけるキャッシュ・フロー分析の目的は、対象会社の資金収支の状況や運転資本の状況を把握することです。

 

2.キャッシュ・フロー分析の対象

対象会社が、「キャッシュ・フロー計算書」を作成していれば、それを利用します。

 

作成していない場合には、資金繰り表を用いたり、簡便な方法でキャッシュ・フロー計算書を作成したりします。

 

3.キャッシュ・フロー分析の方法

(1)上場会社の場合

公表されている「キャッシュ・フロー計算書」を利用することができます。

メリットは、データの収取が容易であること、データの信頼性があげられます。

 

(2)将来のフリー・キャッシュ・フローの獲得能力を見込んで分析する方法

過去のフリー・キャッシュ・フローを分析し、将来のフリー・キャッシュ・フローの予測を行うことにより、買収後の獲得フリー・キャッシュ・フローを評価するものです。

 

4.キャッシュ・フロー分析の内容

(1)年次及び月次のキャッシュ・フロー分析

年次分析では、「キャッシュ・フロー計算書」や資金繰り表などを使用して、年度ごとの推移を把握します。

月次分析は、月次の資金繰り表や資金計画表を用いて行います。

 

(2)資本的支出分析

資本的支出分析とは、設備投資支出の分析です。

新規投資と取替投資に分けて分析します。

大規模修繕が予想される場合には、留意が必要です。

 

(3)運転資本分析

①運転資本の意義

運転資本とは、事業に関連した短期的な投下資本の純額を指します。

 

「売上債権+棚卸資産-仕入債務±その他の流動資産・負債」として計算されます。

ただし、運転資本の範囲は、対象会社により異なりますので、対象会社の業種や事業活動を勘案して、その範囲を決定する必要があります。

 

キャッシュ・インとキャッシュ・アウトの時間的ずれは、会社にとってのリスクであり、運転資本分析は重要なものです。

 

②運転資本の分析

財務数値をもとにした分析において、臨時的・非経常的な項目を除外して正常運転資本分析を行うことは、本質的なトレンドを理解するうえで有益です。

 

正常運転資本分析では、正常収益力分析における調整項目や、収益計画・キャッシュ・フローケ計画の影響も考慮しなければなりません。

 

運転資本分析の主なアプローチは、回転期間分析と月次運転資本分析になります。

 

a)回転期間分析

各運転資本項目の回転期間分析を実施することで売り上げや収益力の傾向との整合性を分析します。

異常が生じている場合には、その原因を把握し、必要に応じて正常化調整を行います。

 

b)月次運転資本分析

期末時点でなく、月次運転資本分析を行うことにより、運転資本の季節性を把握し、資金需要の傾向と変動幅を検証します。買収後の資金需要や資金調達の必要性を検討することができます。

 

中小企業向けの施策 時間外労働等改善助成金等の働き方サポートについて

1.時間外労働等改善助成金(時間外労働上限設定コース)

時間外労働の上限規制に円滑に対応するため、時間外労働の上限設定に取り組んだ際に、その実施に要した費用の一部が助成されます。

 

(1)対象となる方

月80時間を超える等の特別条項付き36協定を締結し、現に当該時間を超える時間外労働を複数月行った労働者がいる(単月に複数名が行った場合を含む)中小企業事業主

 

(2)支援内容

 

①支給対象となる取り組み

ア)就業規則・労使協定等の作成・変更

イ)労務管理担当者や労働者に対する研修(業務研修を含む)、周知・啓発

ウ)外部専門家によるコンサルティング

エ)労務管理用ソフトウェア、労務管理用機器の導入・更新

オ)労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新 など

 

②支給対象の取り組みは、以下の成果目標の達成を目指して実施します

ア)平成 31 年度(又は平成 32 年度)に有効な 36 協定において、時間外労働時間数で月45 時間以下かつ年 360 時間以下

イ)あるいは、休日労働時間数を含めた時間外労働時間数が月80時間又は月60時間以下かつ年720 時間以下の上限設定を行い、労働基準監督署に届出すること など

 

③ 成果目標を達成した場合に、支給対象となる取組の実施に要した経費の一部が支給されます。

 

(3)助成率

3/4

常時使用する労働者数が 30 名以下かつ、労働能率の増進に資する設備・機器等の経費が 30 万円を超える場合、当該経費の補助率は4/5となります。

 

(4)上限額

150万円 など

更に、週休2日制にした場合、その度合いに応じて上限額に加算します。

4 週当たり 4 日増 100 万円、3 日増 75 万円、2 日増 50 万円、1日増 25 万円 上限額と加算額の合計は、200万円までとします。

 

(5)利用方法

①「時間外労働等改善助成金交付申請書 」を計画書等の必要書類とともに都道府県労働局雇用環境・均等部 (室 )に提出し、交付決定を受けます。

②提出した計画に沿って取組を実施します。

③労働局に支給申請を行います。

 

2.時間外労働等改善助成金(勤務間インターバル導入コース)

過重労働の防止及び長時間労働の抑制に向け勤務間インターバルの導入に取り組んだ際に、 その実施に要した費用の一部が助成されます。

 

(1)対象となる方

勤務間インターバルを導入していない事業場などを有する中小企業事業主

 

(2)支援内容

①支給対象となる取り組み

ア)就業規則・労使協定等の作成・変更

イ)労務管理担当者や労働者に対する研修(業務研修を含む)、周知・啓発

ウ)外部専門家によるコンサルティング

エ)労務管理用ソフトウェア、労務管理用機器の導入・更新

オ)労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新 など

 

②支給対象の取り組みは、以下の成果目標の達成を目指して実施します。

事業主が事業実施計画において指定したすべての事業場において、休息時間数が 9 時間以上11時間未満又は11時間以上の勤務間インターバルを導入すること など

 

③成果目標を達成した場合に、支給対象となる取組の実施に要した経費の一部が支給されます。

 

(3)助成率

3/4

常時使用する労働者数が 30 名以下かつ、労働能率の増進に資する設備・機器等の経費が 30万円を超える場合、当該経費の補助率は4/5です。

 

(4)上限額

インターバル時間数等に応じて、 9 時間以上 11 時間未満 80万円、 11 時間以上 100万円 など

 

(5)利用方法

①「時間外労働等改善助成金交付申請書 」を計画書等の必要書類とともに都道府県労働局雇用環境・均等部(室 )に提出し、交付決定を受けます

②提出した計画に沿って取組を実施します。

③労働局に支給申請を行います。

 

3.時間外労働等改善助成金(職場意識改善コース)

年次有給休暇の取得促進、所定外労働時間の削減に取り組んだ際に、その実施に要した費用 の一部が助成されます。

 

(1)対象となる方

前年における労働者の月間平均所定外労働時間数が10時間以上である中小企業事業主

 

(2)支援内容

 ①支給対象となる取り組み

ア)就業規則・労使協定等の作成・変更

イ)労務管理担当者や労働者に対する研修(業務研修を含む)、周知・啓発

ウ)外部専門家によるコンサルティング

エ)労務管理用ソフトウェア、労務管理用機器の導入・更新

オ)労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新 など

 

②支給対象の取り組みは、以下の成果目標の達成を目指して実施します。

ア)特に配慮を必要とする労働者に対する休暇の付与等の規定を整備する。

イ)労働者の月間平均所定外労働時間数(所定外労働時間数)を5時間以上削減させる。

 

③成果目標を達成した場合に、支給対象となる取組の実施に要した経費の一部が支給されます。

 

(3)助成率

3/4 など

常時使用する労働者数が 30 名以下かつ、労働能率の増進に資する設備・機器等の経費が 30万円を超える場合、当該経費の補助率は4/5です。

 

(4)上限額

100万円 など

特に配慮を必要とする労働者に対する休暇の付与等の規定整備が未実施の場合及び所定外労働時間数の状況が全く改善されない場合は、支給されません。

 

(5)利用方法

①「時間外労働等改善助成金交付申請書 」を計画書等の必要書類とともに都道府県労働局雇用環境 ・均等部 (室 )に提出し、交付決定を受けます。

②提出した計画に沿って取組を実施します。

③労働局に支給申請を行います。

 

中小企業向けの施策 経営承継円滑化法、事業承継補助金について

1.経営承継円滑化法による総合的支援

 

後継者に事業を承継する場合などに、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律 (経営承継円滑化法)」に基づき、事業承継の円滑化に向けた支援を受けることができます。

 

(1)対象となる方

【遺留分特例】

相続による自社株式等の散逸を防止したい中小企業の後継者

 

【金融支援】

事業承継に伴い多額の資金ニーズが発生している中小企業とその後継者

 

【事業承継税制】

相続税・贈与税の納税猶予・免除の適用を受けようとする中小企業の後継者

 

(2)支援内容

【遺留分に関する民法の特例】

一定の要件を満たす後継者 (親族外も対象)が、遺留分権利者全員との合意及び所要の手続 (経済産業大臣の確認、家庭裁判所の許可 )を経ることにより、以下の民法の特例の適用を受けることができます。

 

遺留分とは、配偶者や子など(遺留分権利者)に民法上保障される最低限の資産承継の権利です。

後継者への生前贈与により、相続時に他の遺留分権利者が実際に得られた相続財産が「遺留分」に足りない場合に、後継者が、他の遺留分権利者から「遺留分」を取り戻すための請求 (遺留分減殺請求)を受けるおそれがあります。

 

①生前贈与株式を遺留分の対象から除外

贈与株式を遺留分減殺請求の対象外とすることで、相続に伴う株式分散を未然に防止できます。

②生前贈与株式の評価額を予め固定

後継者の貢献による株式価値上昇分を遺留分減殺請求の対象外とすることで、企業価値の向上を心配することなく経営に集中できます。

 

【金融支援】

事業承継に伴う多額の資金ニーズ(自社株式や事業用資産の買取資金、相続税の納税資金等 )や信用力の低下による取引・資金調達等への支障が生じている場合に、都道府県知事の認定を受けることを前提として、

①信用保険の別枠化による信用保証枠の実質的な拡大、

②株式会社日本政策金融公庫等による代表者個人に対する融資制度を利用することができます。

 

【事業承継税制】

事業承継税制は、都道府県知事から経営承継円滑化法の認定を受けた場合、相続税・贈与 税の納税が猶予・免除される制度です。

 

法人版事業承継税制は、事業継続要件等の一定の要件を満たす場合に、後継者が取得した 自社株式等に係る相続税・贈与税の納税が猶予・免除されます。

2018年度の税制改正により、2027年までの10年間に限った特例措置が設けられています。(2023年3月末までに特例承継計画を提出した事業者に限ります。)

 

また、2019年度税制改正において、2028年までの時限措置として個人版事業承継税制が創設されました。

個人事業者が事業用資産を承継した際に課される相続税・贈与税の納税が猶予・免除されます。(2014年3月末までに特例計画を提出した者に限ります。)

 

2.事業承継補助金

 

事業再編、事業統合を含む経営者の交代を契機として経営革新等を行う事業者に対して、その取組に要する経費の一部が補助されます。

 

(1)対象となる方

 【後継者承継支援型】

事業承継(事業再生を伴うものを含む)を行う個人及び中小企業・小規模事業者等であり、 以下の①~③の要件を満たすこと。

後継者承継支援型には事業譲渡や株式譲渡等による承継は含みません。

 

①事業承継を契機として、経営革新等に取り組む、または、事業転換に挑戦する者であること。

 

②産業競争力強化法に基づく認定市区町村又は認定連携創業支援事業者により特定創業 支援事業を受ける者など、一定の実績や知識などを有している者であること。

 

③地域の需要や雇用を支える者であり、地域の需要や雇用を支えることに寄与する事業を行う者であること。

 

【事業再編・事業統合支援型】

事業再編・事業統合等を行う個人及び中小企業・小規模事業者等であり、その後に以下の 例のような新しい取組を行うこと

 

対象となる取組例:

合併/会社分割/事業譲渡/株式交換・株式移転/株式譲渡など

 

(2)支援内容

【後継者承継支援型】

①事業転換なし

補助率:

個人事業主を含む小規模企業者 2/3 (補助上限200万円)

上記以外 1/2 (補助上限150万円)

 

②事業転換あり

補助率:

個人事業主を含む小規模企業者 2/3 (補助上限500万円)

上記以外 1/2 (補助上限375万円)

 

小規模企業者とは、中小企業基本法第2条第5項に規定する従業員20人以下(商業・サービス業は5人以下)に事業者を指します。

 

【事業再編・事業統合支援型】

①事業転換なし

補助率:

採択上位 2/3 (補助上限600万円)

上記以外 1/2 (補助上限450万円)

 

②事業転換あり

補助率:

採択上位 2/3 (補助上限1,200万円)

上記以外 1/2 (補助上限900万円)

 

 

中小企業向けの施策 事業承継税制の概要(法人版、個人版)

事業承継円滑化のために様々な税制措置が取られています。

 

1.事業承継税制の概要

中小企業・小規模事業者の非上場株式等に係る相続税・贈与税が納税猶予・免除されます。 (法人版事業承継税制)

 

個人事業者も事業用資産を承継する際に課される相続税・贈与税が納税猶予・免除されま す。(個人版事業承継税制)

  • 非上場株式等を相続又は贈与により取得した後継者
  • 一定の事業用資産を相続又は贈与により取得した個人事業者
  • 特定小規模宅地を相続した個人事業者・後継者

 

 2.非上場株式を相続又は贈与により取得した後継者【法人版事業承継税制】

 

(1)非上場株式等についての『相続税』の納税猶予・免除制度

後継者(親族外も対象)が、相続又は遺贈により、非上場会社の株式等を先代経営者(被相続人)から取得し、経営承継円滑化法に係る都道府県知事の認定を受け、その会社を経営していく場合には、その後継者が納付すべき相続税のうち、その株式等に係る相続税の納税が猶予され、後継者が死亡した場合などには、猶予税額が免除されます。

 

(2)非上場株式等についての『贈与税』の納税猶予・免除制度

後継者 (親族外も対象 )が、贈与により、非上場会社の株式等を先代経営者から全部又は一定以上取得し、経営承継円滑化法に係る都道府県知事の認定を受け、その会社を経営していく場合には、その後継者が納付すべき贈与税のうち、その株式等に対応する贈与税の納税が猶予され、後継者が死亡した場合などには、猶予税額が免除されま す。

 

(3)法人版事業承継税制の特例措置

2018年4月1日から、法人版事業承継税制の特例措置が創設されました。

2018年4月1日から2023年3月31日までの5年以内に経営承継円滑化法に基づく「特例 承継計画」を都道府県知事に提出したうえで、2018年1月1日から2027年12月31日までの 10年間に行われた非上場株式の贈与・相続が対象となります。

従前の措置も一般措置として存在していますが、特例措置については一般措置と比べて以下の点で大きく優遇される内容が拡充されています。

 

①経営環境変化に対応した減免制度を導入

後継者が自主廃業や売却を行う際、経営環境の変化により株価が下落した場合でも、承継時の株価を基に贈与 ・相続税が納税されていましたが、売却時や廃業時の評価額を基に納税額を再計算することになりました。これにより、承継時の株価を基に計算された納税額との差額が減免されます。

 

②対象株式数の上限撤廃、猶予割合を100%に拡大

納税猶予の対象になるのは、発行済議決権株式総数の2/3までであり、さらに相続税の納税猶予割合は80%でしたが、対象株式数の上限を撤廃し、納税猶予割合も100%に拡大することになりました。これにより、事業承継時の贈与税・相続税の支払い負担はゼロとなります。

 

 ③雇用要件の抜本的見直し

事業承継税制の適用後5年間で平均8割以上の雇用を維持できなければ猶予された税額の全額を納付しなければなりませんでしたが、人手不足の現状を受け、雇用要件を弾力化し、5年平均8割が未達成の場合でも猶予を継続可能といたします(経営悪化等が理由の場合は、認定支援機関の指導助言が必要となります。)。

 

④対象者の制限の大幅な緩和

一人の先代経営者から一人の後継者に対して贈与・相続される株式のみが対象でしたが、親族外を含む複数の株主から、代表者である後継者(最大3人まで)への承継も対象となります。

 

(4)都道府県知事の認定を受けるための主な要件

① 中小企業者であること。

②資産保有型会社等に該当しないこと。

③先代経営者が会社の代表者であったこと。

④先代経営者及びその同族関係者が発行済株式総数の50%超を保有し、かつ、先代経営者がその同族関係者(後継者を除く)の中で筆頭株主であったこと。

⑤後継者及びその同族関係者が発行済株式総数の50%超を保有し、かつ、後継者がその同族関係者の中で筆頭株主であること。

⑥後継者が相続開始の直前に会社の役員であったこと(先代が60歳以上である場合の み)。贈与の場合は、贈与の3年前から引き続き役員に就任していること。 等

 

2.一定の事業用資産を相続又は贈与により取得した個人事業者【個人版事業承継税制】

 

2019 年 4 月 1 日から、個人事業者が先代から事業用資産を相続又は贈与により取得した際に課される相続税・贈与税が納税猶予・免除される特例措置が創設されました。

法人版事業承継税制と類似の制度設計となっており、2019年4月1日から2024年3月31日までの5年以内に経営承継円滑化法に基づく「特例承継計画」を都道府県知事に提出したうえで、2019年1月1日から2028年12月31日までの10年間に行われた一定の事業用資産の贈与・相続が対象となります。

 

その他、主なポイントは以下のとおりです。

(1)対象となる事業用資産に係る贈与税・相続税を100%猶予することができます。

また、法人版と同様に承継後の経営悪化によって廃業等をした場合は納税が減免されるほか、個人版独自措置として、承継をした個人事業者が一定の身体障害等に該当した場合の免除などが講じられます。

 

(2)事業用の宅地(400㎡まで)・建物(800㎡まで)、機械・器具備品等の幅広い事業用資産が対象です。

 

(3)親族外への承継も対象になります。

 

(4)相続時精算課税制度との併用は可能です。

ただし、個人版事業承継税制と小規模宅地特例(事業用)とは選択適用となります。

 

3.特定小規模宅地等を相続した個人事業者・中小企業の後継者

 

(1)小規模宅地等(特定事業用宅地等・特定同族会社事業用宅地等)の特例(相続税)

 

特定事業用宅地等(事業を継続する等の要件があります。)は、400㎡を限度として、相続 税の課税価格に算入すべき価額の80%が減額となる課税の特例を受けることができます。 特定事業用宅地等は、個人版事業承継税制と選択適用になります。

 

(2)その他、事業承継に際して活用可能な制度

 

①相続時精算課税制度(贈与税・相続税)

贈与税の申告時に、「相続時精算課税選択届出書」など必要な書類を添付することで、下記のとおり、贈与時に軽減された贈与税を納付して、相続時に相続税で精算する課税制度を選択することができます。

なお、平成30年度税制改正により、事業承継税制の適用を受ける場合には、現行制度に加えて60歳以上の贈与者から、20歳以上の後継者への贈与を相続時精算課税制度の対象とすることとなりました。(贈与者の子や孫でない場合でも適用可能。)

 

a)(贈与時) 申告を前提に、60歳以上の親又は祖父母から20歳以上の子又は孫への贈与につき、2,5 00万円の非課税枠(限度額まで複数回使用可)があり、これを超える部分については税率一律20%で課税します。

 

b)(相続時) 贈与時の時価で贈与財産を相続財産と合算して相続税額を計算し、精算します。

 

②相続により取得した非上場株式を自社に売却した場合の課税の特例(所得税等)

非上場株式を相続した個人が、相続税の申告期限から3年以内に発行会社に相続株式を売却した場合、a)みなし配当課税の特例、b)取得費加算の特例を適用することができます。

 

a)みなし配当課税(最高55.945%の累進課税)でなく、譲渡所得課税(20.315%の分離課税)が適用されます。

 

b)また、この場合の非上場株式の譲渡による譲渡所得金額を計算するにあたり、その非上場 株式を相続等により取得したときに課された相続税額のうち、その株式の相続税評価額に 対応する部分の金額を取得費に加算(譲渡所得から控除)することができます。

中小企業向けの施策 地方拠点強化税制、商業・サービス業等活性化税制

1.地方拠点強化税制

地方において企業の拠点強化を行った場合に税制上の特例措置を受けることができます。

 

(1)対象となる方

青色申告書を提出する法人で令和2年3月31日までの間に企業の地方拠点強化に関する計画について、道府県から認定を受けた方

 

(2)措置の内容

①地方にある企業の本社機能を拡充する場合【拡充型 】

 

本社機能とは、「調査 ・企画部門 」、「情報処理部門 」、「研究開発部門 」、「国際事業部 門 」、「その他管理業務部門 」のいずれかを有する事務所または、研究所、研修所であって重要な役割を担う事業所をいいます。

 

a)オフィス減税

オフィス等に係る建物等で、一定規模以上のものの取得等をして、その事業の用に供した場合には、その取得価額の15%の特別償却あるいは4%の税額控除を受けることができます。

建物及びその附属設備並びに構築物の取得価額の合計額が2,000万円以上(中小企業者 にあっては、1,000万 円以上)のものが対象です。

 

b)雇用促進税制

適用要件を満たす場合、以下の区分により税額控除を受けることができます。

 

【適用要件】

地方事業所において、適用事業年度中に、雇用保険一般被保険者の数を2人以上増加させること(無期雇用又はフルタイムでない新規雇用者を除く)

適用事業年度及びその前事業年度中に事業主都合による離職者がいないこと

適用事業年度における支払給与額が、前事業年度における支払給与額よりも一定以上増加すること 等 です。

 

ア)地方事業所において、適用事業年度中に新たに雇用された無期雇用かつフルタイムの雇用保険一般被保険者 (以下「一般被保険者」という。)の人数について、1人当たり60万円を税額控除。法人全体の一般被保険者増加率が8%(移転型においては5%)未満の場合には30万円 。

 

イ)地方事業所において、適用事業年度中に新たに雇用された一般被保険者の人数(以下「新規雇用者数 」という。)からアの人数を控除した人数(新規雇用者数の4割が上限)について、1人当たり50万円を税額控除。

法人全体の一般被保険者増加率が8%(移転型においては5%)未満の場合には20万円 。

 

ウ)地方事業所における一般被保険者増加数(法人全体の一般被保険者増数が上限)から、地方事業所の新規雇用者数を控除した人数について、1人当たり50万円を税額控除

 

 

②東京23区から地方へ企業の本社機能を移転する場合 【移転型 】

a)オフィス減税

オフィス等に係る建物等で、一定規模以上のものの取得等をして、その事業の用に供した場合には、その取得価額の25%の特別償却あるいは7%の税額控除を受けることができます。

 

b)雇用促進税制

ア)【拡充型 】の<雇用促進税制>と同様に税額控除を受けることができます。

 

イ)東京23区からの移転者を含む当該地方事業所の一般被保険者増加数一人当たり30万円をアに上乗せして税額控除(最大3年間 )。

 

2.商業・サービス業・農林水産業活性化税制

 

商業・サービス業者等が、経営の改善に資する設備を導入した場合、特別償却又は税額控除の 適用を受けることができます。

 

(1)対象となる方

青色申告書を提出する、資本金又は出資金の額が1億円以下の法人等又は常時使用する従業員の数が1,000人以下の個人

 

資本金又は出資金の額が1億円以下の法人等であっても、次の法人等は本税制の適用を受けることができません。

 

①大規模法人(資本金又は出資金の額が1億円超の法人、大法人の100%子法人等)から2分の1以上の出資を受ける法人

大法人とは、資本金5億円以上の法人、相互法人・外国相互会社(常時使用する従業員が1,000人超のもの)又は受託法人をいいます。

 

②2以上の大規模法人から3分の2以上の出資を受ける法人

 

③適用を受けようとする事業年度における平均所得金額(前3事業年度の所得金額の平均)が年15億円を超える法人

 

④認定経営革新等支援機関等に該当する者

 

 

(2)対象となる設備

認定経営革新等支援機関等から、経営の改善に資するものであるとの指導を受け、売上高又は営業利益の伸び率が年2%以上となる見込みであることについて確認を受けて取得した器具備品(1台3 0万円以上)、建物附属設備(1台60万円以上)であって、指定事業の用に供するものが対象になります。

中古品、貸付の用に供する設備は対象外です。

 

 (3)指定事業

卸売業、小売業、情報通信業 、一般旅客自動車運送業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、こん包業、損害 保険代理業、不動産業 、物品賃貸業 、専門サービス業、広告業 、技術サービス業、宿泊業 、飲食店業、洗濯・理容・美容・浴場業、その他の生活関連サービス業、社会保険 ・社会福祉・介護事業、映画業 、サービス業 (教育・学術支援業 、 協同組合、他に分類されないサービス業 (廃棄物処理業、自動車整備業、機械等修理業、職業・労働者派遣業、その他事業サービス業 )、農業、林業、漁業、水産養殖業

 

注)風俗営業に該当するものは、①料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する飲食店業で生活衛生同業組合の組合員が営むもの、②宿泊業のうち旅館業、ホテル業で風俗営業の許可を受けているもの、以外は指定事業から除かれます。また、性風俗関連特殊営業に該当するものも指定事業から除かれます。

 

(4)措置の内容

取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除の適用を受けることができます

ただし、資本金又は出資金の額が3千万円を超える法人は、特別償却の適用のみ受けることができます。

なお、所有権移転外ファイナンス・リース取引により導入した設備は、税額控除の適用のみ受けることができます。

 

(5)手続の流れ

①税制の適用を受けるためには、認定経営革新等支援機関等(認定経営革新等支援機関 、商工会議所、商工会、都道府県中小企業団体中央会、商店街振興組合連合会 等 )から、経営の改善に関する指導及び助言を受けた旨を明らかにする書類の交付を受ける等の手続きが必要です。

 

②確定申告書等に必要事項を記載し、経営の改善に関する指導及び助言を受けた旨を明らかにする書類の写しを添付した上で最寄りの税務署に申告します。

 

(6)適用期間

令和3年3月31日まで