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取締役会の役割と権限~会社法とコーポレート・ガバナンス・コード

Ⅰ.会社法における取締役会の権限

 

会社法は、取締役会の権限についての基本的な定めを第362条で行い、指名委員会等設置会社及び監査等委員会設置会社に関しては別途規程を設けています。

会社法第362条の規定を見てみましょう。

 

1.取締役会の構成

 

取締役会は、すべての取締役で組織します。

 

2.取締役会の権限

 

取締役会には、以下の権限があります。

 

・取締役会設置会社の業務執行の決定

 

・取締役の職務の執行の監督

 

・代表取締役の選定及び解職

 

3.業務執行の決定

 

取締役会は、次に掲げる事項を含む重要な業務執行の決定を取締役に委任することはできません。つまり、取締役会が決定しなければならない事項です。

 

・重要な財産の処分及び譲受け

 

・多額の借財

 

・支配人その他の重要な使用人の選任及び解任

 

・支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止

 

・社債に関する事項

 

・取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制と株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備

 

・取締役等の責任の免除

 

なお、大会社である取締役会設置会社においては、取締役会は、(6)に掲げる事項を決定しなければなりません。

 

 

Ⅱ.コーポレート・ガバナンス・コード

 

コーポレート・ガバナンス・コードでは、取締役会の主要な役割・責務を以下のように規定しています。

 

1.会社の目指すところ(経営理念等)を確立し、戦略的な方向付けを行うこと

 

2.経営陣幹部による適切なリスクテイクを支える環境整備を行うこと

 

3.独立した客観的な立場から、経営陣・取締役に対する実効性の高い監督を行うこと

 

 

(1)会社の目指すところ(経営理念等)を確立し、戦略的な方向付けを行うこと

 

・具体的な経営戦略や経営計画等について建設的な議論を行う

 

・重要な業務執行の決定を行う場合には、戦略的な方向付けを踏まえる

 

・取締役会自身として何を判断・決定し、何を経営陣に委ねるのかに関連して、経営陣に対する委任の範囲を明確に定め、その概要を開示する

 

・取締役会・経営陣幹部は、中期経営計画も株主に対するコミットメントの一つであるとの認識に立ち、その実現に向けて最善の努力を行う

 

・中期経営計画が目標未達に終わった場合には、その原因や自社が行った対応の内容を十分に分析し、株主に説明を行うとともに、その分析を次期以降の計画に反映させる

 

・会社の目指すところ(経営理念等)や具体的な経営戦略を踏まえ、最高経営責任者(CEO)等の後継者計画(プランニング)の策定・運用に主体的に関与する

 

・後継者候補の育成が十分な時間と資源をかけて計画的に行われていくよう、適切に監督を行う

 

(2)経営陣幹部による適切なリスクテイクを支える環境整備を行うこと

 

・経営陣からの健全な企業家精神に基づく提案を歓迎しつつ、説明責任の確保に向けて、そうした提案について独立した客観的な立場において多角的かつ十分な検討を行う

 

・承認した提案が実行される際には、経営陣幹部の迅速・果断な意思決定を支援する

 

・経営陣の報酬については、中長期的な会社の業績や潜在的リスクを反映させ、健全な企業家精神の発揮に資するようなインセンティブ付けを行う

 

・経営陣の報酬が持続的な成長に向けた健全なインセンティブとして機能するよう、客観性・透明性ある手続に従い、報酬制度を設計し、具体的な報酬額を決定する

 

・中長期的な業績と連動する報酬の割合や、現金報酬と自社株報酬との割合を適切に設定する

 

(3)独立した客観的な立場から、経営陣・取締役に対する実効性の高い監督を行うこと

 

・適切に会社の業績等の評価を行い、その評価を経営陣幹部の人事に適切に反映する

 

・適時かつ正確な情報開示が行われるよう監督を行う

 

・内部統制やリスク管理体制を適切に整備する

 

・経営陣・支配株主等の関連当事者と会社との間に生じ得る利益相反を適切に管理する

 

・経営陣幹部の選任や解任について、会社の業績等の評価を踏まえ、公正かつ透明性の高い手続に従い、適切に実行する

 

・CEOの選解任は、会社における最も重要な戦略的意思決定であることを踏まえ、客観性・適時性・透明性ある手続に従い、十分な時間と資源をかけて、資質を備えたCEOを選任する

 

・会社の業績等の適切な評価を踏まえ、CEOがその機能を十分発揮していないと認められる場合に、CEOを解任するための客観性・適時性・透明性ある手続を確立する

 

・コンプライアンスや財務報告に係る内部統制や先を見越したリスク管理体制の適切な構築や、その運用が有効に行われているか否かの監督に重点を置く

 

・個別の業務執行に係るコンプライアンスの審査に終始すべきではない

 

 

Ⅲ.会社法とコーポレート・ガバナンス・コードとの関係

 

会社法に規定されている取締役会の権限を行使する際の具体的な行動の指針としてコーポレート・ガバナンス・コードを考慮すべきと考えることができます。

記載内容の関係は、以下のようになっています。

 

 

1.重要な業務執行の決定(会社法)

 

(対応するコーポレート・ガバナンス・コード)

・具体的な経営戦略や経営計画等について建設的な議論を行う

 

・重要な業務執行の決定を行う場合には、戦略的な方向付けを踏まえる

 

・取締役会自身として何を判断・決定し、何を経営陣に委ねるのかに関連して、経営陣に対する委任の範囲を明確に定め、その概要を開示する

 

・経営陣からの健全な企業家精神に基づく提案を歓迎しつつ、説明責任の確保に向けて、そうした提案について独立した客観的な立場において多角的かつ十分な検討を行う

 

・承認した提案が実行される際には、経営陣幹部の迅速・果断な意思決定を支援する

 

2.取締役の職務の執行の監督(会社法)

 

(対応するコーポレート・ガバナンス・コード)

・適切に会社の業績等の評価を行い、その評価を経営陣幹部の人事に適切に反映する

 

・適時かつ正確な情報開示が行われるよう監督を行う

 

・経営陣の報酬が持続的な成長に向けた健全なインセンティブとして機能するよう、客観性・透明性ある手続に従い、報酬制度を設計し、具体的な報酬額を決定する

 

・中長期的な業績と連動する報酬の割合や、現金報酬と自社株報酬との割合を適切に設定する

 

 

3.代表取締役の選定及び解職(会社法)

 

(対応するコーポレート・ガバナンス・コード)

・CEOの選解任は、会社における最も重要な戦略的意思決定であることを踏まえ、客観性・適時性・透明性ある手続に従い、十分な時間と資源をかけて、資質を備えたCEOを選任する

 

・会社の業績等の適切な評価を踏まえ、CEOがその機能を十分発揮していないと認められる場合に、CEOを解任するための客観性・適時性・透明性ある手続を確立する

 

会社機関の3形態と取締役の職務~監査役会設置会社、指名委員会等設置会社、監査等委員会設置会社

会社法における機関設計の類型は、多数ありますが、そのうち代表的と思われる3つの形態と取締役の職務について解説します。

3つの形態は、監査役会設置会社、指名委員会等設置会社、監査等委員会設置会社です。

 

1.機関設計に関する会社法の規程

 

会社法では、次に掲げる株式会社は、取締役会を置かなければならないとしています。

 

  • 公開会社

 

  • 監査役会設置会社

 

  • 監査等委員会設置会社

 

  • 指名委員会等設置会社

 

 

また、監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く取締役会設置会社は、監査役を置かなければなりません。

 

2.取締役会の権限

 

会社法は、取締役会の権限についての基本的な定めを第362条で行い、指名委員会等設置会社及び監査等委員会設置会社に関しては別途規程を設けています。

 

(1)取締役会の構成

 

取締役会は、すべての取締役で組織します。

 

(2)取締役会の権限

 

取締役会には、以下の権限があります。

 

  • 取締役会設置会社の業務執行の決定

 

  • 取締役の職務の執行の監督

 

  • 代表取締役の選定及び解職

 

取締役会は、次に掲げる事項を含む重要な業務執行の決定を取締役に委任することはできません。

 

  • 重要な財産の処分及び譲受け
  • 多額の借財
  • 支配人その他の重要な使用人の選任及び解任
  • 支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止
  • 社債に関する事項
  • 取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制と株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
  • 取締役等の責任の免除

 

なお、大会社である取締役会設置会社においては、取締役会は、ヘ)に掲げる事項を決定しなければなりません。

 

3.指名委員会等設置会社

(1)委員の選定等

 

① 構 成

 

指名委員会等設置会社とは、指名委員会、監査委員会、報酬委員会を持つ会社です。

指名委員会、監査委員会、報酬委員会の各委員会(以下、「各委員会」)は、委員三人以上で組織します。各委員会の委員の過半数は、社外取締役でなければなりません。

 

② 選 定

 

各委員会の委員は、取締役の中から、取締役会の決議によって選定します。

監査委員会の委員(以下、「監査委員」)は、指名委員会等設置会社若しくはその子会社の執行役若しくは業務執行取締役又は指名委員会等設置会社の子会社の会計参与若しくは支配人その他の使用人を兼ねることはできません。

 

(2)執行役の選任等

指名委員会等設置会社には、一人又は二人以上の執行役を置かなければなりません。

 

執行役は、取締役会の決議によって選任します。

 

執行役は、取締役を兼ねることができます。

 

(3)指名委員会の職務

 

指名委員会は、株主総会に提出する取締役の選任及び解任に関する議案の内容を決定します。

 

(4)監査委員会の職務

 

① 執行役等の職務の執行の監査及び監査報告の作成

 

② 株主総会に提出する会計監査人の選任及び解任並びに会計監査人を再任しないことに関する議案の内容の決定

 

(5)報酬委員会の職務

 

① 執行役等の個人別の報酬等の内容を決定します。

執行役が指名委員会等設置会社の支配人その他の使用人を兼ねているときは、当該支配人その他の使用人の報酬等の内容についても、同様に決定します。

 

② 報酬委員会は、執行役等の個人別の報酬等の内容に係る決定に関する方針を定めなければなりません。

 

③ 報酬委員会は、次の各号に掲げるものを執行役等の個人別の報酬等とする場合には、その内容として、以下の事項を決定しなければなりません。

 

額が確定しているもの:個人別の額

 

額が確定していないもの:個人別の具体的な算定方法

 

金銭でないもの:個人別の具体的な内容

 

(6)指名委員会等設置会社の取締役の権限

 

指名委員会等設置会社の取締役は、会社法又は会社法に基づく命令に別段の定めがある場合を除き、指名委員会等設置会社の業務を執行することができません。

 

(7)指名委員会等設置会社の取締役会の権限

 

① 指名委員会等設置会社の取締役会は、次に掲げる職務を行います。

 

a)次に掲げる事項並びに指名委員会等設置会社の業務執行の決定

イ経営の基本方針

ロ監査委員会の職務の執行のため必要なものとして法務省令で定める事項

ハ執行役が二人以上ある場合における執行役の職務の分掌及び指揮命令の関係その他の執行役相互の関係に関する事項

ニ取締役会の招集の請求を受ける取締役

ホ執行役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備

 

b)執行役等の職務の執行の監督

 

②指名委員会等設置会社の取締役会は、①に掲げた職務の執行を取締役に委任することができません。

 

③指名委員会等設置会社の取締役会は、その決議によって、以下に掲げる事項を除いて、指名委員会等設置会社の業務執行の決定を執行役に委任することができます。

 

  1. 譲渡制限株式の指定
  2. 株主からの有償取得に関する事項の決定
  3. 新株予約権の決定
  4. 株主総会招集に関する事項の決定
  5. 株主総会に提出する議案の内容の決定
  6. 競業・利益相反取引の承認
  7. 取締役会を招集する取締役の決定
  8. 委員の選定及び解職
  9. 執行役の選任及び解任
  10. 指名委員会等設置会社を代表する者の決定
  11. 代表執行役の選定及び解職
  12. 取締役等の責任の免除
  13. 計算書類の承認
  14. 剰余金の配当に関する事項の決定
  15. 事業譲渡の内容の決定
  16. 合併契約の内容の決定
  17. 吸収分割契約の内容の決定
  18. 新設分割計画の内容の決定
  19. 株式交換契約の内容の決定
  20. 株式移転計画の内容の決定

4.監査等委員会設置会社

(1)監査等委員会設置会社の取締役会の権限

 

① 監査等委員会設置会社の取締役会は、次に掲げる職務を行います。

 

a)次に掲げる事項並びに監査等委員会設置会社の業務執行の決定

イ経営の基本方針

ロ監査等委員会の職務の執行のため必要なものとして法務省令で定める事項

ハ取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備

 

b)取締役の職務の執行の監督

 

c)代表取締役の選定及び解職

 

②監査等委員会設置会社の取締役会は、次に掲げる事項を含む重要な業務執行の決定を取締役に委任することはできません。

 

  1. 重要な財産の処分及び譲受け
  2. 多額の借財
  3. 支配人その他の重要な使用人の選任及び解任
  4. 支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止
  5. 社債に関する事項
  6. 取締役等の責任の免除

 

③前述の②にかかわらず、監査等委員会設置会社の取締役の過半数が社外取締役である場合には、監査等委員会設置会社の取締役会は、その決議によって、定められた事項以外の重要な業務執行の決定を取締役に委任することができます。

 

④また、監査等委員会設置会社は、取締役会の決議によって②の事項を除く重要な業務執行の決定の全部又は一部を取締役に委任することができる旨を定款で定めることができます。

 

SDGs に取り組む地域の中堅・中小企業等を後押しするための新たな仕組み(支援モデル)」の例示について

関東経済産業局他2団体は、2019年 2 月 6 日に、自治体等が SDGs に取り組む地域の中堅・中小企業等を後押しするための支援策を検討する際の参考ツールとして支援モデルを取りまとめました。

 

1.公表の背景及び趣旨

 

SDGs (Sustainable Development Goals)は、経済面、社会面、環境面の幅広い課題の統合的な解決を目指すものであり、持続的な社会の実現のために、民間セクターの積極的な関与が求められていますが、中小企業へのSDGs の浸透は、まだ、限定的であると分析しています。

 

関東経済産業局他2団体はSDGs を活用した地域中小企業等の企業価値向上・競争力強化を促進するため、地域 SDGs コンソーシアムで検討を重ねてきた「SDGs に取り組む地域の中堅・中小企業等を後押しするための新たな仕組み(支援モデル)」を取りまとめ、自治体等に向けた参考ツールとして公表しました。

 

本支援モデルの活用を促進しながら、引き続き、SDGs 達成を通じた中小企業等の企業価値向上・競争力強化に向けた取組を推進するためのものです。

 

SDGsへの取組を通じた地域中小企業等の価値向上・競争力強化に向けた支援策等を検討 している自治体等に向けて、本支援モデルを展開し、引き続き各地での自発的なモデルの 創発を後押しするとしています。

 

2.支援モデルの概要

 

(1)地域の中堅・中小企業がSDGs達成に取り組む重要性

 

消費者ニーズや国際社会の規範意識等の変化も相まって、世界や地域社会・生活環境における課題やニーズを踏まえ、そこから経営や商品開発のコンセプトを規定し、付加価値ある商品・サービスをイノベートしていくというアプローチの重要性が高まっています。

 

SDGsには様々な社会課題が示されているため、企業の「経営資源を磨く砥石」として効果的に活用していくことで、経営リスクを回避するとともに、課題やニーズを起点としたビジネス創出・新市場獲得や経営改革等を実現することが可能ではないか、としています。

 

下記の攻めと守りにより、企業価値の向上、競争力強化、地域内外のパートナーとの連携強化を図ることができるとしています。

 

①ビジネス機会の増大(攻め)

 

・社会課題解決型の新商品・新サービスの開発等を実現する。

・SDGsを意識した既存の取組の棚卸や効果的なPR・自社ブランディングを行うことで、取引先の拡大(BtoB)や新たなファン層(BtoC)の獲得を実現する 等

 

②リスク管理・組織力強化(守り)

 

・大手企業や外資系企業からの要請があった際に、先んじて対応できるよう、SDGsにコミットして持続可能経営を行うことで取引上等のリスク低減を図ること。

・SDGsを活用して自社の経営資源を見つめ直し、持続可能な経営を行うため、未来志向型の生存戦略を考えること。

・人材確保面でのアドバンテージ、人材育成への活用を行う 等

 

(2)中小企業・自治体の現状・課題、課題解決に向けた方向性

 

新たにSDGsに取り組む企業や既にSDGsに 取り組んでいるが気付いていない企業に対 するプレイアップ・気付きやアクションを促すための参考ツール(地域SDGs推進企業応援制度(仮称)骨子)を例示。

 

※地域ごとに社会課題は異なるため、各地域の実情に応じたSDGs推進とSDGs達成を通じた企業価値向上を実現していくことが重要です。

地域(自治体等)が主体となり、ローカライズしながら本ツールを活用することが期待されます。

 

※SDGsに取り組む地域企業向けに、地域におけるインセンティブ(入口~出口まで)も合わせて検討することも重要です。

 

(3)支援モデル(地域SDGs促進企業応援制度(仮称))の例示

 

①【目的】

・SDGsの理念に基づき、バックキャストの手法による持続可能な経営の在り方について検討するきっかけを提供すること

・SDGs・ESGの潮流を受けて、企業経営における非財務情報が重要視されているので、本制度骨子の活用を通じて、中小企業に非財務情報(人的資本、自然資本等)の重要性の気付きを促し、企業価値向上に向けた後押しを行うこと

 

②【要件1】 三側面のターゲットへのコミット

 

【要件イメージ】 SDGsの『経済』『社会』『環境』の三側面それぞれのターゲットについて、以下の3点を宣言することが要件イメージです。

 

・ SDGs達成に向けた取組

・取組に対する2030年に向けた目標

・目標に対する進捗測定方法

 

③【要件2】SDGsの観点で市場・社会から期待される基本的な事項(非財務情報等)

 

【要件イメージ】  SDGsの観点で市場・社会から期待される基本的な事項について、チェックリストに基づき、自社の取組内容を確認・提出(自己申告・エビデンス提出等)するイメージ。

 

※チェックシートへの記載を通じて、自社経営に対する振り返りや SDGsとの関係の気付きを提供することもねらいです。

※例示する計40程度の項目を参考指標として、地域の実情に応じた制度設計が行われることに期待しています。

 

(4)要件1の基本的な考え方

 

「経済・社会・環境の三側面」それぞれにおいて、将来のあるべき姿から現在を振り返り、持続可能な経営の在り方や社会課題解決起点でのアクション・ビジネス等の検討を促すことをねらいとしています。

SDGsはルールや義務ではなく、社会課題解決に向けた新たなアクションに取り組むための指標となるものです。

そのため、SDGs達成を意識した「新しい取組」や「現況の改善」等、新たな価値創造に向けた意欲的な内容を宣言することが推奨されています。

 

(5)要件2の基本的な考え方

 

SDGs・ESGの潮流を受けて、企業経営における非財務情報が重要視されています。

「要件2」では、中小企業に非財務情報(人的資本(労働、人権等)、社会・関係資本(組織体制、社会貢献等)、自然資本(環境等)、知的資本(製品サービス、事業慣行等)等)の重要性の気付きを促し、企業価値向上に向けた後押しを行うこととしています。

 

「要件2」で例示する取組項目と自社の企業経営の取組を照らし合わせることで、改めて自社の経営資源を見つめ直すとともに、既存の自社事業とSDGsの関係性に気付くことねらいとしています(=埋もれていた価値を高めるチェックリスト)。

 

例示された取組項目の中で未達のものがあった場合は、今後新たに取り組む必要性が高い企業活動として気付きを促すこともねらいとしています。

 

2019年版中小企業白書・小規模企業白書の骨子、要点

2019年4月に中小企業白書・小規模企業白書(以下、本白書)が中小企業庁から公表されました。

 

Ⅰ 2019年版中小企業白書・小規模企業白書の骨子

1.「令和時代の中小企業・小規模事業者の活躍に向けて」のサブタイトルがつけられ、以下の点を指摘しています。

 

(1)中小企業・小規模事業者にとって、人口減少・少子高齢化が最大の課題としています。

 

(2)今回は、新時代を視野に入れ、①経営者の世代交代と、②中小企業・小規模事業者に期待される自己変革に焦点を当てています。

 

①経営者の世代交代については、事業承継・経営資源の一部承継、多様な創業について分析・解説をしています。

 

②自己変革については、構造変化に対応する挑戦やそれを支えるステークホルダーとの互恵関係について分析・ 解説をしています。

 

2.経営者の世代交代に絞って、その骨子を見てみましょう。

 

(1)経営資源の引継ぎ

①全部継承:

親族内外の類型を網羅した総合的な支援施策を活用し、多くの質の高い事業承継を早めに実現しました。

 

②一部継承:

仮に廃業する場合でも、人材や設備等の貴重な経営資源を意欲の高い次世代の経営者に引き継ぐことが期待されます。

 

(2)創業

①経営資源の譲受け:

初期費用の低い創業の促進が期待されます。

 

②副業・フリーランス:

クラウド等のICT技術の発展や働き方改革が進展し、リスクやコストの低い創業も容易になりつつあります。

 

 

Ⅱ 2019年版中小企業白書・小規模企業白書の要点

 

経営者の世代交代に焦点を当てて本白書の要点を見てみましょう。

 

 

1.親族内承継の支援措置は大幅に前進。親族外承継により新事業の展開も期待される。

 

(1)これまで、法人向け、個人事業者向けに、贈与税や相続税の負担をゼロにする事業承継税制を措置してきました。親族内承継の支援措置は、大幅に前進しました。

 

(2)今後は、親族外承継も一層推進することが重要です。旧経営者の負担が軽減されるほか、新経営者による新たな事業展開も期待されます。

 

2.廃業時に経営資源を引き継ぐことは、旧経営者・起業家の双方にとって有益。

 

(1)やむを得ず廃業する場合でも、経営資源の一部を有償で譲渡すれば、経営者は、廃業費用の一部を賄うことが可能となります。

 

(2)事業を素早く立ち上げようとする場合、他者から経営資源を引き継ぐ形での起業は有効ですが、実際に引き継げた者は限定的です。

 

(3)起業促進の観点からも、部分的な事業承継として、経営資源の引継ぎを進めることが必要です。

 

3.比較的簡単に起業できるフリーランス・副業による創業を促進することも重要。

 

(1)クラウドなどのIT技術の発展や働き方改革の進展によって、フリーランスや副業など創業の裾野が広がるなど、個人が比較的簡単に創業できるチャンスが到来しています。

 

(2)まずはフリーランス・副業で起業し、その後、事業を拡大するような事例も存在しています。

起業の一形態として、フリーランス・副業による創業を促進することも重要です。

 

※ここでの「フリーランス」とは、特定の組織に属さず、雇用・店舗なし、技術技能の提供で成り立つ事業を営む者、「副業」とは、雇用される傍ら、事業を営むことをいっています。

 

無形資産の評価~M&Aにおける評価と取得原価の配分

1.無形資産の価値評価の流れ

 

無形資産の価値評価は、以下の流れで行われます。

 

(1)まず、企業価値を算定します。

 

株式価値+有利子負債(時価)=企業価値

 

(2)つぎに、広義の「のれん」を算定します。

 

企業価値±運転資本(時価)-有形資産(時価)=のれん(広義)

 

(3)広義の「のれん」から、無形資産(時価)を控除し「のれん」(狭義)を算定します。

 

2.無形資産評価の手続き

 

無形資産を評価する手続きは、「識別」と「測定」に分けられます。

 

識別とは、対象会社がどのような無形資産を保有しているかを把握する手続きです。

 

測定とは、把握された無形資産の金額を算定する手続きです。

 

(1)一般的なスケジュール

 

①情報収集

M&Aの目的・背景、対象会社の事業内容・財務内容・業界等を把握します。

 

②無形資産の識別

買い手側の目的を明確化し、分離して譲渡可能な無形資産があるかどうかを識別します。

 

③無形資産の測定

識別した無形資産について、適切な評価方法を選択します。

 

④会計監査人によるレビュー

無形資産およびのれんの評価は、会計処理を行うために必要なものなので、無形資産の評価結果は、会計監査人のレビューを受けることになります。

 

(2)無形資産の識別

受け入れた資産に法律上の権利など分離して譲渡可能な無形資産が含まれている場合には、

当該資産は識別可能なものとして取り扱うことになります。

評価は、企業結合日時点の時価を基礎とすることになっています。

 

識別可能な無形資産として、以下の例があります。

 

①マーケティング関連

商標、商号、役務標章、団体標章、トレードドレス(独自の色・形、パッケージデザイン等)

 

②顧客関連

顧客リスト、顧客との契約、受注残

 

③芸術関連

演劇、書籍等の著作権、楽曲、絵画、写真、動画

 

④契約に基づくもの

ライセンス、ロイヤルティ、リース契約、建設許認可、フランチャイズ契約、営業許可、利用権

 

(3)無形資産の測定

無形資産の測定には、以下の三つの評価方法があります。

 

①ネット・アセット・アプローチ(コスト・アプローチ)

a)概要

同一の効用または機能を有する無形資産を代替取得する場合のコストに基づいて評価する方法です。

一般的に、人的資産や社内マニュアル等の評価に適しており、商標権や特許権の評価には適していないとされています。

 

b)具体的な評価方法

・複製原価法

評価対象である無形資産と全く同じ複製を現時点で製作する場合のコストに基づいて評価する方法です。

 

評価対象の無形資産は、下記の計算式で算定されます。

 

無形資産の価値=新規複製コスト-修復不能な機能的陳腐化及び技術的陳腐化

 

・再調達原価法

評価対象の無形資産と全く同じ効用を有する無形資産を現時点で製作するコストに基づいて評価する方法です。

 

評価対象の無形資産は、下記の計算式で算定されます。

 

無形資産の価値=新規再調達コスト-物理的陳腐化-経済的陳腐化-修復可能な機能的陳腐化及び技術的陳腐化

 

②マーケット・アプローチ

a)概要

無形資産の売買が活発に行われており、合理的な市場価格が形成されている場合に、効果的な評価方法です。

 

b)具体的な評価方法

・売買取引比較法

評価対象の無形資産と類似の無形資産の実際の売買取引に基づいて評価する方法です。

 

・ロイヤルティ免除法

評価対象である無形資産の所有者が、その使用を第三者から許可されたと仮定して、第三者に支払う無形資産のライセンス料によって算出されるロイヤルティコストの現在価値により評価する方法です。

 

・利益差分比較法

無形資産を使用して事業を行っている企業と無形資産を使用しないで事業を行っている企業を選定し、無形資産を使用して事業を行っている企業が達成した利益と無形資産を使用しないで事業を行っている企業が達成した利益の差額に資本還元率を適用して無形資産を評価する方法です。

 

・概算法

ある業界において無形資産の売買にあたりよく使用される一定の経営指標がある場合、当該経営指標と類似する無形資産の取引金額を用いて評価する方法です。

 

・市場取替原価法

無形資産に関する外部の専門家によって、一般市場での無形資産の再調達原価から無形資産を評価する方法です。

 

③インカム・アプローチ

a)概要

将来における収益獲得能力を無形資産の評価額に反映する方法です。

無形資産評価の多くの場合に、適用することが可能です。

 

b)具体的な評価方法

・利益差分法

評価対象である無形資産がある場合の収益、費用、利益と評価対象である無形資産がない場合の収益、費用、利益とを比較して、その利益差額の割引現在価値によって評価する方法です。

 

・利益分割法

評価対象である無形資産が使用されている事業部門全体の利益、キャッシュ・フロー等に対して当該無形資産の寄与割合を見積もり、評価する方法です。

 

・企業価値残存法

評価対象である無形資産が使用されている事業の価値を算定し、評価額から当該事業のために使用されている有形資産およびその他の無形資産の時価を控除して評価する方法です。

 

無形資産の価値=無形資産を使用している事業部門の事業価値-運転資本の時価-事業用有形資産の時価-他の無形資産の時価

 

・超過収益法

企業または事業全体の利益から無形資産に寄与する利益を抽出して、それを資本還元する方法です。

 

評価対象の無形資産が寄与する利益=企業または事業部門の利益-運転資本の時価×当該運転資本に対する期待収益率-事業用の有形固定資産の時価×当該有形固定資産に対する期待収益率-評価対象以外の無形資産時価×当該無形資産に対する期待収益率

 

グリーンボンドの基礎知識~定義、意義、仕組

2019年7月12日に、日本公認会計士協会から、「グリーンボンドの基礎知識-公認会計士の関わり方-」が公表されました。その内容を見てみましょう。

 

1.グリーンボンドとは

 

グリーンボンドとは、「資本市場から地球温暖化対策や環境プロジェクト等の資金を調達するために発行される、調達資金の使途が環境改善に限定されている債券」を言います。

 

2.グリーンボンド規格のガイドライン

 

(1)国際的なガイドラインである「グリーンボンド原則」(GBP)は、2014年に投資銀行から成るコンソーシアムによって策定され、国際資本市場協会(ICMA)が事務局として管理しています。

 

①GBPは、業界初の自主ガイドラインで、以下の要素を満たす必要があるとしています。

 

・調達資金の使途

・プロジェクトの評価と選定のプロセス

・調達資金の管理

・レポーティング

 

適格なプロジェクトの事業区分として10区分が例示されています。

・再生可能エネルギー

・エネルギー効率

・汚染防止及び抑制

・生物自然資源および土地利用に係る環境持続型管理

・陸上及び水生生物の多様性の保全

・クリーン運送

・持続可能な水資源および廃水管理

・気候変動への対応

・高環境効率商品、環境適応商品、環境に配慮した生産技術及びプロセス

・地域、国または国際的に認知された標準や認証を受けたグリーンビルディング

 

②外部機関によるレビューガイドラインは、レビューを実施する外部機関の職業的倫理基準や、組織、作成するレポートの構成、内容および開示に関する自主的な指針を提供するものです。

 

(2)環境省は、2017年3月に、「グリーンボンドガイドライン」を策定しています。

 

本ガイドラインは、基本的事項(「べきである」と表記される項目)と推奨事項(「望ましい」と表記される項目)と例示解釈を示す項目に大別されます。

基本的事項以外は、任意とされています。

 

①グリーンボンドガイドラインの内容

 

以下の5項目があり、基本的事項は、GBPの記載内容と整合するように策定されています。

GBPでは、ⅰからⅳの基本事項をすべて満たす必要がありますが、本ガイドラインでは、必ずしもそれらを満たすことは要請していません。

 

ⅰ:調達資金の使途

ⅱ:プロジェクトの評価及び選定のプロセス

ⅲ:調達資金の管理

ⅳ:レポーティング

ⅴ:外部機関のレビュー

 

②環境省では、グリーンボンドの発行促進のために、グリーンボンド発行促進体制度整備支援事業を通じて、補助金の交付を行っています。補助金の支給には、対象グリーンボンドの要件と準拠要件があります。

 

3.グリーンボンド発行の意義(メリット)

 

(1)発行体にとっての意義

 

発行体にとってのグリーンボンド発行のメリットは、投資家層の多様化、投資家層との関係強化、発行体の行っている環境関連活動に関する認知度向上などが挙げられます。

 

(2)投資家のとっての意義

 

投資家にとってのグリーンボンドへの投資のメリットは、ESG投資の観点からの社会的支持、中長期的に安定したリターンを実現できる可能性などが挙げられます。

 

(3)社会的意義

 

パリ協定で合意した水準に達する低炭素社会のインフラ投資には、多額の資金が必要とされ公的資金のみでは資金需要を賄えないため、グリーンボンドはそのための重要な役割を果たすと期待されています。

 

 

4.グリーンボンドのしくみ

 

(1)GBPでは、下記の4項目をすべて満たしていないものは、グリーンボンドとはみなしていません。

 

①調達資金の使途

グリーンボンドにおいて重要な点は、調達した資金がグリーンプロジェクトに活用されているかであり、調達した資金により明確な環境改善効果が得られることを発行体は示す必要があります。

 

②プロジェクトの評価と選定のプロセス

発行体は、投資家に以下の3点を明示する必要があります。

・環境面の持続可能性に係る目標

・発行体が、調達資金の使途で示したグリーンプロジェクトに該当すると判断するプロセス

・関連する適切性についての規準

 

また、プロジェクトの選定にあたり参照する環境的基準または認証についても情報開示することが推奨されています。

 

③調達資金の管理

 

グリーンボンドで調達した資金を調達資金以外の資金と区別して管理することが要請されています。

 

④レポーティング

 

発行体は、資金使途に関する最新の情報を容易に入手可能な形で開示し、年1度の更新、また、重要な事象は生じた場合には、随時開示が求められます。

 

GBPは、定性的なパフォーマンス指標及び可能な場合には定量的なパフォーマンス指標を開示し、前提となる主要な方法論や仮定の開示と併せて使用することを奨励しています。

 

 

(2)GBPにおける外部機関によるレビュー

 

①グリーンボンドがGBPの主要な要素に準拠していることを確認するために、発行体は独立した外部機関によるレビューを活用することが推奨されています。

外部機関によるレビューの類型として、GBPは4類型を例示しています。

 

・セカンド・パーティ・オピニオン

GBPとの適合性の査定を行います。

 

・検証

ビジネスプロセス及び(または)環境基準に関連する一定のクライテリアに照らした独立した検証を取得することができます。

 

・認証

フレームワークまたは調達資金の使途について、一般に認知された外部のグリーン規準または分類表示への適合性に係る認証を受けることができます。

 

・グリーンボンドスコアリング/格付け

フレームワークまたは資金使途のような鍵となる要素について、専門的な調査機関や格付け機関等の資格を有する第三者機関のスコアリング/格付け手法をもとに評価または査定を受けることができます。

 

②外部機関のレビューを受けた場合には、その結果または少なくともその要約を公表することをGBPでは推奨しています。

 

廃業を考えている経営者の方へ~会社のたたみ方

1.廃業とはどういうことか

 

経営者が経営者であることをやめるための方法は二つです。

 

一つ目は、いわゆる事業承継で、経営権を後継者に譲る方法です。会社の場合には、株式を譲るケースが多いと思います。

なお、ここでは、親族や社内の後継者に経営権を譲る事業承継ではなく、第三者に経営権を譲ることについて解説します。

 

もう一つは、会社の解散、あるいは、個人の場合は事業を廃止することで、事業そのものを消滅させることです。

いわゆる、廃業で、この場合には、資産・負債はすべて整理する必要があります。

 

この二つの方法は、ある程度の収益力や技術力があること、財政状態が良好であることが前提となります。

資産・負債を時価評価した結果、債務超過になっている場合は、将来の収益獲得能力によって負債の返済が可能である場合を除いて、破産ということになります。

 

 

2.経営者をやめるための方法

 

(1)経営者であることをやめるための具体的方法は株式譲渡と会社の解散の二つです。

 

①株式譲渡

株式の売却により事業を売却するということです。

会社の経営権、資産・負債などが新経営者に移転します。従業員の雇用も守ることができます。

 

②会社の解散

会社法の規定により、会社を解散し、清算する手続きを取ります。

資産を整理する過程で、営業譲渡や知的財産などの無形資産の売却を行うことも可能です。

 

 

(2)株式譲渡と営業譲渡

 

売却対象が、株式か営業権かという違いはありますが、どちらも、第三者に対して売却することは同じです。

 

それぞれ、株式譲渡と営業譲渡の違いを売却側と購入側で見てみましょう。なお、売却の税務に関しては、後述します。

 

①株式譲渡

a)売却側

すべてのリスクを移転できる

従業員の雇用を守る

 

b)購入側

許認可の引継ぎが可能

簿外債務のリスクがある

 

②営業譲渡

a)売却側

売却後に会社の整理が必要

売りたい事業のみ売却できる

 

b)購入側

リスクを限定できる

許認可は再取得が必要

 

 

(3)売り手と買い手を探す方法

 

最近では、新興企業や新規開業した会社が、売り手を探している場合も多いと聞いています。

 

買い手を探す方法には、いくつかあります。

 

①上場しているM&A仲介業者

②公的機関:事業承継市場など

③中小企業向け仲介業者

 

それぞれ、強み・弱みがあります。

 

上場している仲介業者は、一定規模以上の会社が仲介の対象となっていて、仲介手数料の最低金額もそれなりの金額になっています。

 

公的機関は、県や市、あるいは税理士会などが行っていますが、初めてから日が浅く、今後の体制整備が課題のようです。

 

中小企業向け仲介業者も最近出てきています。最低仲介手数料は、大手仲介業者よりも低く設定されています。売買希望の登録は、無料の場合もあります。

 

 

(4)株式の評価

 

中小企業の場合には、純資産に営業権をプラスして評価額を算定する場合が多いようです。

 

(5)営業権の評価

 

譲渡対象の事業から得られる利益をもとに係数をかけて算定する場合が多いようです。

 

3.経営者にとっての税務

 

(1)株式譲渡

 

株式の譲渡は、申告分離課税となっていて、一般株式と上場株式に区別されています。

中小企業の非上場株式は、一般株式に分類され、他の所得とは区分されて、課税されます。

 

 

(2)営業譲渡・解散

 

会社の資産・負債を整理して余剰金が出た場合には、配当として株主に分配します。

非上場会社の剰余金の配当は、株主の配当所得として他の所得と合わせて総合課税となります。

 

なお、営業譲渡は、営業権や営業用の資産・負債の売却となります。

営業権等を持っていた会社の収入となり、法人税の課税対象となります。

取締役の多様性の分析~「コーポレート・ガバナンス白書2019」より

「コーポレート・ガバナンス白書2019」(以下、本白書)が東京証券取引所から2019年5月に公表されました。本白書は、我が国企業を巡る近年のコーポレート・ガバナンス改革の進展も踏まえ、分析を行っています。本白書は、関係者が、変貌している我が国の上場会社のコーポレート・ガバナンスの取組状況を概観するための助けとなることを意図して作成されています。

 

取締役の多様性に関する分析結果を見てみましょう。

 

1.取締役会の多様性等に関する考え方(補充原則4-11①)

 

コーポレート・ガバナンス・コード原則4-11では、「取締役会は、その役割・責務を実効的に果たすための知識・経験・能力を 全体としてバランス良く備え、ジェンダーや国際性の面を含む多様性と適正規模を両立させる形で構成されるべきである。」とされており、補充原則4-11①においては、取締役会における知識・経験・能力のバランス、多様性及び規模に関する考え方の開示が求められています。

 

コーポレート・ガバナンス・コード改訂において、原則4-11は、ジェンダーや国際性の要素が「多様性」という言葉に含まれることを明確にしたうえで、そうした多様性と適正規模を両立させる形で取締役会を構成することを求めるものとしています。

 

こうした改訂を踏まえ、原則4-11の実施率は、68.9%(1,806 社)と、2017年7月時点の96.5%(2,451社)から、27.6ポイント減少しています。

 

補充原則4-11①については、取締役会の現状を述べることが求められている原則であり、その実施率は、96.1%(2,519社)と、2017年7月時点の98.7%(2,506社)と比較して大きな変動はありません。

 

 

2.多様性に関するキーワード

 

①専門

取締役の知識・経験・能力のバランス、多様性に関する主なキーワードとしては「専門(専 門性・専門的等)」が40.4%(1,018社)の会社において記載されています。

 

具体的な専門性として、「財務・会計」が20.2%(509社)、「経営者・会社経営・経営経験」が12.3%(311社)、「グロー バル・国際・海外」が11.5%(289社)、「法律」が3.3%(82社)の会社においてみられました。

 

また、「事業」が36.6%(921社)、「管理」が14.4%(363社)、「営業・販売」が9.5%(239社)、「生産・ 製造」が6.4%(162社)など、出身部門への言及もみられました。

 

②ダイバーシティ

デモグラフィック(人口統計学的属性)なダイバーシティについて、コーポレート・ガバナンス・コード改訂により明確化された「ジェンダー」や「国際性」と関連するキーワードである「女性」や「外国人(国 籍)」について記載している会社は、それぞれ7.8%(196 社)、8.2%(207社)と前回調査の4.1% (92社)、1.0%(23社)から増加しているものの、少数にとどまっています。

 

ただし、原則4-11を説明している市場第一部の会社の開示を分析すると、女性取締役の選任を検討中としている会社は、約半分となっており、今後、ジェンダーや国際性の面での多様性はより進んでいくものと考えられます。

 

③取締役会の規模

取締役会の規模に関する主なキーワードとしては「員数(定款)」があります。

「員数もしくは 定款」のキーワードを記載している会社は実施会社の36.5%(920社)で、定款上の取締役人数 の上限(員数)に言及している会社が多くなっています。

 

また、「意思決定」が28.2%(710社)、「監督」が 25.0%(629社)、「議論」が12.3%(309社)で記載がみられ、現在の取締役会の規模が「意思決定」や「監督」といった役割を果たすために適切であると述べています。

 

 

3.個別事例

 

<事例1>は自社の事業内容を踏まえつつ、社内取締役、社外取締役、常勤監査役、社外監査役について、それぞれに求める資質等を記載しています。

 

<事例2>は、自社の経営課題を意識した取締役会にしている旨を明記しています。経営戦略とコーポレート・ガバナンスの一体化という観点で取締役会の構成を考えています。

 

<事例3>、<事例4>及び<事例5>は、多様性に関する記載事例です。

 

<事例3> は既に女性取締役を選任している会社であり、自社の事業にとって女性の視点が重要と考えている旨を記載しています。

 

<事例4>は女性の登用について、候補者の育成についても言及し、前向きに検討している事例です。

 

<事例5>はグローバル展開していることを踏まえ、外国人の取締役を選任している事例です。

 

 

<事例1>

上記●記載の指名方針に従い、以下の通り取締役会全体としての知識・経験・能力のバランスと多様性を確保します。

また、取締役会の規模については、適正配置した執行役員への権限委譲を前提として、事業の拡大等に対応した意思 決定の迅速化を図るための取締役会の簡素化と適切な審議、執行の監督を行うために必要な多様な人財のバランスを勘案し、適切な規模とします。社内取締役については、適切な経営戦略等の立案、審議等に必要なグローバルな運営を含む、よきモノづくりに関わる研究開発、マーケティング、販売及び生産等の部門の運営及びこれらの部門を支援するコーポレート機能に関する部門の運営経験並びに当社を取り巻く事業環境及びこれに対応するための当社の強み・課題に対する理解を重視して指名します。

社外取締役については、経営戦略等の審議等に当たって、社内取締役だけでは得られない多様な、例えば、グローバルな経験を含む当社と異なる分野の製品・サービスを提供する会社の経営経験者及びコンサルタントや学識経験者等が有する経験並びにこれらの経験から得られる知識及び高い見識を有していることを重視し、あわせて独立性にも配慮して指名します。

また、社外取締役は、取締役会の多様性及び発言力の確保のため取締役の約半数を目途とします。

常勤監査役については、社内より、会計財務等の会社管理、事業等の運営、研究開発・生産から販売までのサプライチェーン及び海外経験等の各人のこれまでの業務経験及びこれらから得た知見等のバランス及び海外業務の経験や業務執行者からの独立性を確保できる資質を重視して指名します。

社外監査役については、監査に必要とされる会計財務や法律に関する高い専門性と見識、それを生かすことができる豊富な経験、及びプロフェッショナルとしての高い倫理観を有していること、そして法令上の社外性、独立性に関する適格性を重視して指名します。

また、監査役会の独立性、中立性を高めるため、監査役会の過半数を独立基準を満たす社外監査役とします。

監査役についても、経営戦略等の審議等に必要な経験、資質、専門性等を有しているかを指名の際に重視します。

また、知識・経験・能力だけでなく、性別、人種、国籍等のダイバーシティから生まれる多角的な視点が事業の推進 やグローバル拡大、適切な監督や監査に資するとの認識に立ち、これらの多様な人財の役員への登用を進めます。(略) (化学)

 

<事例2>

当社定款に定める取締役の員数は7名以下、監査役は4名以下としております。

現在、取締役は6名を選任しており、少人数による議論が可能な体制を維持しつつ、当社の事業に関する深い知見を備える取締役や、独立的な立場から取締役会の適切な意思決定に対する助言・経営陣に対する実効性の高い監督など コーポレート・ガバナンスの充実に資することのできる社外取締役を選任するなど、専門知識や経験等のバックグラウンドが異なる構成としております。

取締役はそれぞれ、当社の経営課題である「既存事業の成長」「商品力強化」「海外事業展開の加速」「新規事業領域 の拡大」への対応に必要な資質と多様性を備えており、取締役会における独立社外取締役の人数比率は3分の1となっていることから、独立性と客観性をより一層確保できる体制であると考えております。

監査役は4名選任しており、うち3名が社外監査役(うち1名が女性)となっており、独立的立場から取締役の職務の執行状況を監視しております。 (食料品)

 

<事例3>

(略) 当社は、1名の海外勤務経験のある業務執行取締役を選任しています。

また、1名の女性社外取締役を選任しています。

当社のインテリア、住生活に関連する事業の特性から女性の視点で経営・事業をチェックできるよう、これからも内外から女性の登用をいっそう進めたいと考えています。 (卸売業)

 

<事例4>

(略) 女性取締役は現在選任されておりませんが、将来の取締役候補育成に向けた職場環境の改善、制度の構築等の働き方改革を実践し、女性が経営者を目指す環境を整え、ジェンダー面における多様性の改善を検討してまいります。 (化学)

 

<事例5>

取締役については、取締役会全体としての知識・経験・能力の多様性を確保するとともに、その機能が効果的・効率 的に発揮されるよう人員の最適化を図っています。

2018年度は、グローバルで展開する当社グループの安定的な事業活動の基盤をさらに強化するため、外国人取締役を1名を新たに選任し、取締役会における、国際性を含めた多様性を確保しています。

監査役については、財務・会計に関する相当程度の知見を有する人材を1名以上選任し、法務に関する知識を有する人材も1名選任しています。 (電気機器)

 

任意の委員会についての分析~「コーポレート・ガバナンス白書2019」より

「コーポレート・ガバナンス白書2019」(以下、本白書)が東京証券取引所から2019年5月に公表されました。本白書は、我が国企業を巡る近年のコーポレート・ガバナンス改革の進展も踏まえ、分析を行っています。本白書は、関係者が、変貌している我が国の上場会社のコーポレート・ガバナンスの取組状況を概観するための助けとなることを意図して作成されています。

 

1.任意の指名委員会・報酬委員会の設置

 

2015年のコーポレート・ガバナンス・コード導入以降、上場会社において任意の指名委員会及び報酬委員会(以下「任意の指名・報酬委員会」という。)の設置が進んでいます。

2018年6月のコーポレート・ガバナンス・コード改訂において、補充原則4-10①が改訂され、当該補充原則を実施とするためには任意の指名・ 報酬委員会の設置が必要となったことから、今後も、任意の指名・報酬委員会を設置する会社の数は引き続き増加していくものと思われます。

 

任意の指名・報酬委員会に対する資本市場の関心も高く、例えば、一部の株主から、上場会社に対し、対話や書簡、場合によっては株主提案等を通じて、任意の指名・報酬委員会の設置を求める動きが出てきており、また、大手機関投資家の一部でも、それら任意の指名・報 酬委員会の設置に関する株主提案に対し原則賛成するとの議決権行使方針を公表する会社が出てきています。

 

近年は、取締役の指名や報酬決定のプロセスに関連した企業不祥事も発生していることから、一般の投資者の間における関心も高まってきています。

 

一般的な任意の指名・報酬委員会の実態について整理すると、代表取締役や社外取締役、必要に応じて社外監査役等4〜5名が構成員となるケースが多いようです。

 

 

2.開催頻度

 

開催頻度ですが、経済産業省が行ったアンケートによると、年1〜3回の会社が多数派である一方で、年5回以上開催する会社も一定数存在します。

 

任意の指名・報酬委員会で何をどの程度まで審議するかによって開催頻度も大きく異なってくると考えられ、例えば、任意の指名委員会の開催回数が1回の場合は、株主総会に上程する取締役の選任議案について経営陣の策定した原案を確認するだけという会社も一定数あると推察されます。

 

一方で、社長・CEOの後継者計画や執行役員・主要子会社の経営陣等の指名を含めて指名委員会の審議範囲としている会社の場合は、自ずと開催頻度が多くなる傾向にあります。

報酬委員会についても同様で、報酬原案の確認だけでなく、他社の報酬動向等を踏まえたうえで、自社の報酬制度の見直し等を議論する場合には、年複数回の開催が必要となってきます。

 

コーポレート・ガバナンス・コード改訂により、「形」である任意の指名・報酬委員会の設置の普及が進み、その後、一段落すると、次は「中身」である具体的な活動内容に焦点があたると考えられます。

 

開催回数が1 回又は2回の会社が多いことを踏まえると、多くの上場会社で任意の指名・報酬委員会の運用実務は手探りの状況にあると推察されます。

 

 

3.活動状況の開示

 

2019年3月期以降の有価証券報告書においては、報酬決定プロセスについて有価証券報告書にてより詳細な開示が求められています。

 

また、東京証券取引所においても、2018年6月に公表された金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告書を踏まえ、コーポレート・ガバナンス報告書の記載要領を変更し、取締役会並びに指名委員会及び報酬委員会の活動状況(開催頻度、主な検討事項、個々の役員・委員の出席状況等)を記載することが望ましい旨を追加しています。

 

今後は、指名や報酬の考え方や決定プロセス等について、株主との対話を意識したより積極的な情報開示が求められると考えられます。。

 

指名委員会、監査委員会、報酬委員会についての分析~「コーポレート・ガバナンス白書2019」より

「コーポレート・ガバナンス白書2019」(以下、本白書)が東京証券取引所から2019年5月に公表されました。本白書は、我が国企業を巡る近年のコーポレート・ガバナンス改革の進展も踏まえ、分析を行っています。本白書は、関係者が、変貌している我が国の上場会社のコーポレート・ガバナンスの取組状況を概観するための助けとなることを意図して作成されています。

 

統治機構である委員会等についての分析結果を見てみましょう。

 

1.委員会等の制度の概要

 

指名委員会等設置会社は、指名委員会、監査委員会及び報酬委員会の三つの委員会を置く 株式会社とされており、いずれの委員会も取締役3名以上で組織し、その構成員の過半数を社外取締役としなければなりません。

 

また、指名委員会等設置会社では、業務執行の決定を、取締役会は自らが選任した執行役に対して大幅に委任できる仕組みとなっています。

 

コーポレート・ガバナンス・コードの原則4-10において、任意の仕組みの活用による統治機構の充実を定めており、更に、補充原則4-10①においては、独立社外取締役を主な構成員とする任意の指名委員会・報酬委員会等の設置を求めています。

 

コーポレート・ガバナンス報告書では、監査役会設置会社においては、監査役関係の記載に加え、指名委員会又は報酬委員会に相当する任意の委員会を設置している場合には、その委員構成、委員長(議長)の属性を記載することを要請しています。

 

監査等委員会設置会社においても、会社法上設置することとされている監査等委員会の他に指名委員会又は報酬委員会に相当する任意の委員会を設置している場合には、その委員構成、委員長(議長)の属性を記載することを要請しています。

 

2.記載事項の分析

 

要請されている委員会の記載事項を、「指名」、「報酬」、「監査」という機能別に、その現状を分析しています。

なお、監査役会設置会社の監査役関係は「監査」の事項で分析しています。

 

⑴ 指 名

 ① 指名委員会の設置状況

指名委員会等設置会社では、指名委員会の設置は必須ですが、監査等委員会設置会社及び監査役会設置会社においては、設置するかどうかは会社の任意です。

 

法定又は任意の指名委員会の設置状況について、市場区分別にみてみると、市場第一部において、法定又は任意の指名委員会を設置している会社の比率が、他の市場に比べ高くなっています。

 

JPX日経400構成会社をみると、法定の指名委員会を設置している会社は8.5%(34社)、任意の指名委員会を設置している会社は61.9%(247社)、設置していない会社は29.6%(118社)であり、市場第一部と比べ、更に高い水準となっています。

 

指名・報酬等の検討において、独立社外取締役を主要な構成員とする任意の指名委員会・報酬委員会の設置を求める補充原則4-10①の実施率は48.3%でした。

 

2017年7月時点のコーポレート・ガバナンス・コード実施率が76.7%であり、今回のコーポレート・ガバナンス・コード改訂により大幅に実施率が低下しています。

 

改訂前コーポレート・ガバナンス・コードでは、任意の指名委員会・報酬委員会の設置は「例示」であったものの、今回のコーポレート・ガバナンス・コード改訂により「例示」が消え、補充原則4-10①を実施するに際しては、任意の指名委員会・報酬委員会等を設置することが必要となったことから、大幅に実施率が低下したものと考えられます。

 

② 指名委員会の人数

指名委員会等設置会社では、 指名委員会の人数が他の組織形態に比べ少ないといえます。

 

指名委員会等設置会社における法定の指名委員会は平均人数が4.24人で、委員会の人数が3人の会社が38.0%と最も高い割合を占めています。

 

監査等委員会設置会社の任意の指名委員会は平均人数が4.49人で、委員会の人数が5人の会社が31.3%で最も高い割合を占めています。

 

監査役会設置会社における任意の指名委員会は人数が平均4.61人で、委員会の人数が4人の会社が28.9%と最も高い割合を占めています。

 

③ 指名委員会における社内取締役と社外取締役の比率・人数

指名委員会等設置会社の指名委員会は、社内取締役が25.9%、社外取締役が74.1%です。

 

監査等委員会設置会社の任意の指名委員会は、社内取締役が37.0%、社外取締役が61.9%、ます外有識者が0.5%、その他が0.7%となっています。

 

監査役会設置会社の任意の指名委員会は、社内取締役が36.0%、社外取締役が49.7%、社外有識者が1.9%、その他が12.3%となっています。「その他」には、監査役が含まれています。

 

監査役会設置会社と監査等委員会設置会社の任意の指名委員会は、指名委員会等設置会社の指名委員会に比べて、社内取締役の人数が多くなっています。

 

指名委員会等設置会社の指名委員会においては、社内取締役は1人のみという会社が67.6%と大半を占める一方、監査等委員会設置会社及び監査役会設置会社における任意の指名委員会では、社内取締役は2名以上という会社が過半数を占めています。

 

指名委員会等設置会社の指名委員会では法律上、委員会を構成する取締役の過半数は社外取締役でなければならないため、少なくとも2人の社外取締役が委員会の構成員となっています。

 

監査等委員会設置会社及び監査役会設置会社における任意の指名委員会においても、社外取締役は2人以上としているところが大半ですが、社外取締役が0人という事例もみられました。

 

④ 指名委員会の委員長の属性

指名委員会等設置会社の指名委員会は、委員長が社外取締役である会社が67.6%で過半数を占めています。

 

一方、監査役会設置会社及び監査等委員会設置会社の任意の指名委員会では、法定の指名委員会と比べて、委員長が社内取締役である比率が高くなっています。

 

監査等委員会設置会社の任意の指名委員会の委員長は、社内取締役が48.9%、監査役会設置会社では社内取締役が46.1%です。

 

⑵ 報 酬

① 報酬委員会の設置状況

指名委員会等設置会社では、報酬委員会の設置は必須ですが、監査等委員会設置会社及び監査役会設置会社においては、その設置は会社の任意です。

 

市場第一部での法定及び任意の報酬委員会の設置状況は他の市場に比べ高くなっています。

 

なお、JPX日経400構成会社においては、法定の報酬委員会を設置している会社は8.5%(34社)、任意の報酬委員会を設置している会社は63.7%(254 社)、設置していない会社は27.8%(111社)であり、市場第一部と比べても、2倍弱と高い設置比率になっています。

 

② 報酬委員会の人数

指名委員会等設置会社の報酬委員会の人数は、指名委員会と同様に、他の組織形態に比べ少ないといえます。

 

指名委員会等設置会社の法定の報酬委員会は平均人数が3.89人で、委員会の人数が3人の会社が50.7%と最も高い割合を占めています。

 

監査等委員会設置会社の任意の報酬委員会は平均人数が4.45人で、委員会の人数が5人の会社が31.6%と最も高い割合を占めています。

 

監査役会設置会社の任意の報酬委員会は平均人数が4.52人で、委員会の人数が4人の会社が28.6%と最も高い割合を占めています。

 

③ 報酬委員会における社内取締役と社外取締役の比率・人数

指名委員会等設置会社の報酬委員会は、社内取締役が24.6%、社外取締役が75.4% です。

 

監査等委員会設置会社の任意の報酬委員会は、社内取締役が37.9%、社外取締役が61.0%、社外有識者が0.5%、その他が0.6%となっています。

 

監査役会設置会社の任意の報酬委員会は、社内取締役が36.0%、社外取締役が48.8%、社外有識者が2.2%、その他が12.9%となっています。

 

指名委員会等設置会社の報酬委員会の社内取締役の平均人数は0.96人で、1人の会社が57.7%と最も高い割合を占めています。

 

一方、監査等委員会設置会社及び監査役会設置会社の任意の報酬委員会においては、2 人以上の社内取締役が入っている会社が過半を占めています。

 

指名委員会と同様、指名委員会等設置会社においては2人又は3人の社外取締役が構成員となっているところが大半を占め、監査等委員会設置会社及び監査役会設置会社においては、社外取締役が0人又は1人という事例もみられました。

 

④ 報酬委員会の委員長の属性

指名委員会等設置会社の報酬委員会は、委員長が社外取締役である会社の比率が74.6%で過半数を占めています。

 

監査等委員会設置会社の任意の報酬委員会は、社外取締役が48.4%と社内取締役の46.4%と比べて高くなっています。

 

監査役会設置会社の任意の報酬委員会は、委員長の属性は社内取締役が46.3%と社外取締役45.0%と比べて高くなっています。

 

⑶ 監 査

① 監査委員会・監査等委員会・監査役会の人数

監査委員会は平 均人数が3.99人で、委員会人数が3人の会社が40.8%で最も高い割合を占めています。

 

監査等委員会は平均人数が3.41人で、委員会人数が3人の会社が69.4%で最も高い割合を占めています。

 

監査役会は平均人数が3.54人で、人数が3人の会社が56.7%で最も高い割合を占めています。

 

平均人数では指名委員会等設置会社の監査委員会が最も多くなっています。

 

② 監査委員会・監査等委員会・監査役会における社内役員と社外役員の比率・人数

 

監査委員会では社内取締役が20.5%、社外取締役が79.5%、監査等委員会では社内取締役が 22.7%、社外取締役が77.3%、監査役会は社内監査役が30.9%、社外監査役が69.1%です。

 

監査委員会においては、社内取締役が0人の会社が38.0%と高くなっています。

 

監査等委員会では、社内取締役が1人という会社が67.2%で最も高い比率を示しています。

 

監査役会においては、社内監査役が1人以上いる会社が大半です。

 

いずれの場合も2人以上の社外者が構成員となることが法定されていますが、指名委員会等設置会社の監査委員会では社外取締役が3人以上である会社が大半を占めています。

 

③ 監査委員会・監査等委員会における常勤者の人数

監査委員会の常勤者の平均人数は0.80人で、0人、1人の会社が39.4%、40.8%と最も高い割合を占めています。

 

監査等委員会の常勤者の平均人数は0.92人で、1人の会社が75.6%で最も高い割合を占めています。

 

④ 監査委員会・監査等委員会の委員長の属性

監査委員会では委員長の属性は社外取締役の割合が80.3%と多い一方、監査等委員会の委員長の属性は社内取締役が59.9%を占めています。

 

また、監査等委員会では、委員長を指名していない会社が2.6%存在します。