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自分の会社の現状を知るための月次決算の方法

月次決算の位置づけ

経営における「PDCAサイクル」は、計画・実行・チェック・改善(対応)という4つのサイクルにより行われます。

月次決算は、業績のチェックのために用いられる管理会計の手法です。月次決算は、毎月の営業成績や財政状態を明らかにして、経営管理に有効な情報を提供するものです。

 

月次決算の効果

月次決算をタイムリーに行うことにより、以下の効果が期待できます。

 

1.経営判断に役立つ会社の現状をタイムリーに把握できる

2.予算、計画と実績を対比することにより、経営課題に対して素早く適切な対応策を打つことができる

3.適切な月次決算は、決算見通しを立てることができ、決算対策等を余裕をもって行うことができる

4.金融機関との交渉において、自社の状況や見通しを説明することに役立つ

 

月次決算の導入の留意点

月次決算を導入する場合には、4つの留意点があります。

  • 適時・正確な記帳

適時とは、自社で経理処理を行うことによって、タイムリーに情報を得ることができるようにすることです。

正確な記帳とは、中小会計要領等の認められた会計処理方法に従って、会計帳簿を作成することです。

  • 月次決算の早期化

経営判断に役立つためには、タイムリーな状況把握が必要です。翌月10日以内に報告ができる態勢作りが目標です。

  • 費用等の概算計上

月次決算をタイムリーに行うために、金額的に大きな差異がなければ、費用等は概算で計上します。

また、在庫などを予定原価等で計上することも考えられます。

  • 減価償却費等の月次計上

減価償却費が比較的多額に発生し、経営判断に影響を与えるような会社では、年間の減価償却費を見積もり、その12分の1を月次決算で計上します。

同様に、賞与などの引当金、租税公課、消費税、労働保険料なども月次で概算計上することが有効です。

 

月次決算と業績改善

月次決算は、管理会計の手法ですので、損益計算書は、直接原価計算の手法を用いて作成することもあります。

直接原価計算では、会社の販売単位あたりの利益(限界利益)を把握できるので、業績改善のために、有益な情報を提供します。

直接原価計算の手法による損益計算書は、売上高や販売量に比例して発生する変動費と固定的に発生する固定費に原価を分類して、売り上げ高から変動費を控除して限界利益を算定します。

業績改善のためには、以下の項目が重要ですが、これらの項目の、現状を把握するためには、直接原価計算の手法による損益計算書は有効です。

 

・売り上げを増やす

・限界利益率をあげる

・固定費を減らす

 

 

 

バランスト・スコアカードの構造と特徴~企業活動を総合的に管理する手法

バランスト・スコアカード(BSC)は、財務的な指標だけでなく、非財務的な指標も利用することで、企業活動を総合的に管理する手法です。

戦略を具体的活動に展開するための、戦略マネジメントの手法として考えられています。

そして、事業戦略を前提として、事業レベルでの導入が適しているとされています。

 

BSCの構造

BSCの構造は、財務、顧客、内部業務、学習と成長の4つの視点ごとに戦略目標、先行指標、結果指標を設定します。

BSCでは、「学習と成長→内部業務プロセス→顧客→財務」という順番で因果関係を考え、それぞれの視点に設定された指標を順番に達成することで、最終目標である財務の視点の目標が達成され、戦略の実行が確認されるものです。

BSCの特徴

BSCでは、財務的指標と非財務的指標の両方を用います。

財務的指標は、経営の結果を示すのには適していますが、財務的な成果の改善のためには別の指標が必要になります。

BSCでは、財務の視点とは別に、顧客、内部業務プロセス、学習と成長といった3つの視点を設定しています。

 

また、BSCは組織に与えられた戦略を前提としているため、財務の視点は会計、顧客の視点はマーケティング、内部業務プロセスの視点は経営学・生産管理、学習と成長の視点は労務管理と情報処理が関係します。つまり、BSCを活用するためには、経営に関する総合的な知識が必要になります。

 

非財務的指標

非財務的指標とは、貨幣額以外の単位で示される非貨幣的指標です。

企業の経営活動に影響を与える要因には、貨幣額により測定することが難しい定性的要因が含まれます。

この定性的要因を測定してコントロールするために、非財務指標が用いられます。定性的指標には、戦略やリーダーシップなど評価が難しい要因も多数存在します。

 

非財務的指標は、物量、比率、ランクの3つに分類できます。

 

1.物量指標

物量単位で策定された数値で、度量衡、時間、その他に分類できます。

度量衡は、重さ・長さ・容積などです。

時間は、作業時間・リードタイム・納期などです。

その他は、回数・枚数・人数などです。

 

2.比率

ある数値に対する他の数値の割合を示したものです。

パターンとしては、4つありますが、②と④が非財務的指標です。

  1. 金額÷物量(財務的指標)
  2. 物量÷金額(非財務的指標)
  3. 金額÷金額(財務的指標)
  4. 物量÷物量(非財務的指標)

 

②は、売上あたり訪問回数、④は、不良品発生率・納期遅延割合などです。

 

3.ランク

物量指標や比率で測定できない定性的な要因について、順位付けを行って数値化するものです。

例えば、顧客満足度や顧客重要度などです。

 

財務的指標と非財務的指標

非財務的指標は、財務的指標を補完するものです。

企業の経営改善には、非財務的指標は有用ですが、その成果を認識するためには、財務的指標による測定が必要になります。

 

【会社を数字で見る手法】管理会計、財務会計、原価計算の関係について

管理会計、財務会計、原価計算の関係

財務会計とは、経営活動の結果を財務諸表に適切に開示することがその機能といえます。

管理会計とは、経営を行うための情報を提供することがその機能といえます。

原価計算は、財務会計でも管理会計でも利用することができ、例えば、期末在庫の評価や製造原価の計算では財務会計で利用していることになります。

一方、原価管理、予算管理などの目的で原価計算を用いる場合には、管理会計での利用ということになります。

 

管理会計、財務会計、原価計算の目的

それぞれの目的は、以下のようになります。

 

管理会計の目的:

経営に必要な情報(意思決定、業績管理)の提供

 

財務会計の目的:

企業が一定期間(通常1年)に経営活動を行った結果を開示

 

原価計算の目的:

  • 財務諸表作成
  • 価格計算
  • 原価管理
  • 予算管理
  • 基本計画設定

 

管理会計と財務会計

管理会計と財務会計の関係について、考えてみましょう。上記の目的から考えると、以下の流れが考えられます。

管理会計(意思決定・業績管理) ⇒ 企業経営 ⇒ 財務会計(経営活動の結果を開示)

財務会計は、会計処理基準や開示方法など様々な規制がありますが、管理会計はそのような規制はなく、会社経営の必要な情報を会社独自の方法とタイミングで用いることができます。

会計期間も、1日単位をはじめとして、会社で決めることができます。

業績評価単位も、全社やセグメントだけでなく、工場や製品といった区分でも可能です。

また、会計情報だけでなく、非財務情報を含めることもできます。

 

管理会計の分類

管理会計を分類すると以下の2つになります。

 

1.意思決定会計

経営者が企業経営をするにあたっての設備投資や追加受注などの意思決定に必要な情報を提供します。

 

2.業績管理会計

企業内の組織や従業員などの活動について、目標値と実績の比較などの差異分析、差異の理由、対応策などの業績管理を行う上で必要な会計情報を提供します。

 

管理会計の理論と実践

理論と実践は、大きなテーマです。

管理会計の理論は、そのままでは実際の企業で当てはまらないケースもあると思います。理論は、各企業の実践の中から普遍的、あるいは、模範的なものを抽出したものと言えるのではないでしょうか。

理論 ⇔ 企業で行うべき管理会計 ⇔ 企業で行われている管理会計

理論をベースとし、各社固有の状況を考慮して、企業にとっての最適な管理会計像を導き出し、現実に行われている管理会計とのギャップを認識して改善していく という作業が必要になると思います。

 

【中小企業の会計】経営強化のための「経営参謀」がやさしく解説!中小企業会計のしくみとは?

【中小企業の会計】経営強化のために「経営参謀」がやさしく解説!中小企業会計のしくみとは?

会社法の規定の内容とは?

まず、会社法における会計の規定を見てみましょう。

 

会社法第431条で

 

「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うものとする」

 

と定められています。

 

それでは、、、

 

「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行」

 

とは何でしょうか。

 

 

「会社計算規則」という法務省令があり、

そこでは、会社の計算に関する事項その他の事項について必要な事項を定めています。

 

 

そして、この省令の用語の解釈及び規定に適用に関しては、

 

一般に

「公正妥当と認められる企業会計の基準」

「その他の企業会計の慣行」

をしん酌しなければならないとしています。

 

ここでも、

「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行」

という言葉が出てきました。

 

「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行」とは何でしょうか。

 

企業会計の基準その他の慣行には、

企業会計原則や企業会計基準委員会が公表した各種の会計基準が含まれます。

 

一般的にいって、

これらの会計基準は、上場会社などの大規模の会社が適用すべき基準とされています。

 

それでは、中小企業向けの会計の基準はあるのでしょうか。

 

中小企業の会計基準とは?

中小企業向けの会計基準には、2種類があります。

 

《1》
中小企業の会計に関する指針(中小会計指針)

《2》
中小企業の会計に関する基本要領(中小会計要領)

 

《1》中小会計指針は

■日本公認会計士協会
■日本税理士会連合会
■日本商工会議所

■及び企業会計基準委員会

 

上記の関係4団体が主体となって設置された

 

「中小企業の会計に関する指針作成検討委員会」が、

法務省・金融庁及び中小企業庁の協力のもと
中小企業が計算書類を作成するにあたって、あるべき指針を明確化するために作成したものです。

 

中小会計指針は、

中小企業が計算書類を作成するにあたり

 

「拠ることが望ましい一定の水準を保った会計処理」

 

を示しており、

会計参与設置会社では、この指針によることが適当とされています。

 

《2》中小会計要領

■中小企業団体
■金融関係団体
■企業会計基準委員会及び学識経験者

 

上記が主体となって設置された

 

「中小企業の会計に関する検討会」が、
中小企業庁・金融庁及び法務省の協力のもと作成されたものです。

 

中小会計要領は、中小会計指針と比べて

 

「簡便な会計処理をすることが適当と考えられる中小企業」

 

が利用することを想定して策定されたものです。

 

中小企業の実態に配慮し、
税制との調和や事務負担軽減の観点から、
多くの中小企業の実務で必要と考えられる項目に絞って、簡潔な会計処理等を示しています。

 

会計ルール活用の具体的な効果について

会計ルールに従って
計算書類を作成すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。

 

一定のルールのもとで作成された計算書類は、

 

●正確な現状把握

●過年度比較

●他社比較

 

が容易になります。

 

このことにより

 

『自社の財務状況や経営成績を信頼できる数値』

 

で、分析することができるようになり

投資判断、経営改善等を的確に行えるようになります。

 

また、金融機関や取引先等からの信頼燃えることができ、資金調達や取引先拡大にも効果が出ます。

 

中小企業庁のホームページでは、

中小会計要領に取り組んだベストプラクティス野路例を見ることができます。

興味がある方は、是非、ご覧になってください。

【中小企業の経営改善】経営者が押さえておくべき必要な財務の知識とは?

【中小企業の経営改善】経営者が押さえておくべき必要な財務の知識とは?

経営改善のためには、

 

(1)会社の現状把握

(2)問題点の抽出

(3)解決策の策定

(4)実行

(5)結果測定・分析

(6)改善

 

というサイクルが必要です。

 

いわゆるPDCAサイクルです。

 

経営改善のための会計

会社の現状把握を、会計の面から見てみましょう。

 

まずは、中小会計要領等に従った会社決算が必要です。

月次決算は必須になります。

 

正しいルールに拠った会計処理によって、決算数値の信頼性が増します。

 

また、迅速な対応・意思決定のためには、

月次決算が不可欠であり、遅くとも翌月半ばまでには、月次決算が行われるようにしなければなりません。

 

月次決算

月次決算が遅い場合には、何がネックになっているかを分析し、解決策を策定しなければなりません。

 

管理会計

管理会計とは、経営に役立つ情報を提供する会計です。
帳簿作成のために入力したデータを管理会計用に加工することになります。

 

直接原価計算・変動損益計算書

管理会計の多くの手法では、費用を変動費と固定費に分解します。

 

直接原価計算では、
売上高から変動費を控除して限界利益を計算し、
固定費については製造に係る固定費も含めて期間費用として取り扱います。

 

直接原価計算の手法で作成した損益計算書が、変動損益計算書です。

 

費用の分解方法

変動費と固定費に分解する方法は、主に4つです。

 

(1)勘定科目法

(2)スキャッターチャート法

(3)高低点法

(4)最小自乗法

 

これらの中では、
最小自乗法が最も理論的とされていますが
ある程度のデータ数が必要となりますので、簡単ではありません。

 

中小企業の実務として、簡便かつ有効性が高い方法は、勘定科目法でしょう。

 

これは、勘定科目ごとに「変動費」か「固定費」かを判断する方法です。

 

通常は、売上高を基準に考えます。

 

勘定科目によっては、両方の性格を有するものがありますので、ある程度の仮定が必要でしょう。

 

変動損益計算書

変動損益計算書の特長として、以下の点が上げられます。

 

(1)損益分岐点の把握

(2)限界利益の把握

 

限界利益と固定費が同額となる点を損益分岐点といいます。

 

収支トントンとなる売上高を簡単に計算できるようになります。

 

売上の増減によって、利益がどのくらい変動するのかがすぐわかります。

 

商品や製品あたりの限界利益も計算できるので、数量ベースでの増減による利益の変動もすぐにわかります。

 

限界利益と固定費

限界利益は、
「売上数量✕売上単位あたり限界利益」です。

 

自社の製品・商品やサービスが、どの程度、顧客や市場に支持されたかが表されます。

 

限界利益から固定費を控除すると経常利益となります。

注意しなければならないことは、固定費は、決して管理不能費ではないことです。

 

例えば、試験研究費などは、予算によるコントロールが可能です。

 

人件費や家賃なども同様です。

 

経営改善のための変動損益計算書

経営改善のための変動損益計算書について、考慮すべき5の事項です。

 

【1】売上高

【2】限界利益率

【3】固定費

【4】労働分配率

【5】経常利益

 

 

【1】売上高

●販売数量、販売単価を前年と比べる

●部門別に比べる

●目標・予算と比べる

●生産性を比べる

 

 

【2】限界利益率

●前年と比べる

●他社と比べる

 

 

【3】固定費

●前年と比べる

●限界利益と比べる

●増減の理由を調べる

●部門ごとに比べる

 

 

【4】労働分配率

●前年と比べる

●他社と比べる

●一人あたり人件費と比べる

 

 

【5】経常利益

●前年と比べる

●部門ごとに比べる

●目標・予算と比べる

●当期の着地点を予想する