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「事業報告」とはどのようなものか。~会社法で規定されている記載事項について

株式会社は、各事業年度の事業報告及びその附属明細書を作成しなければなりません。

事業報告の記載事項は、会社法施行規則118条以降に定められています。

 

すべての会社に共通して記載すべき事項を規定したうえで、公開会社(株式に譲渡制限を定めていない会社)における記載事項(同119条~)、会計参与設置会社における記載事項(同125条)、会計監査人設置会社における記載事項(同126条)を規定しています。

 

すべての会社に共通して事業報告に記載すべき事項

(1)株式会社の状況に関する重要な事項のうち、計算書類およびその附属明細書ならびに連結計算書類の内容となる事項以外のもの

 

(2)業務の適正を確保するための体制の整備についての決定または決議があるときは、その決定または決議の内容の概要及び当該体制の運用状況の概要

 

(3)株式会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めているときは、その概要等

 

(4)株式会社に特定完全子会社(※)がある場合には、その名称等

 

(5)株式会社とその親会社等との間の取引であり、当該株式会社の事業年度に係る個別注記表において関連当事者注記を要する取引がある場合には、当該取引に関する事項

 

特定完全子会社とは、事業年度の末日において、当該子会社等の株式の帳簿価額が、当該株式会社の当該事業年度に係る貸借対照表の資産の部の合計額の5分の1を超え、かつ、その株式等の全部を保有する子会社等をいいます。定款で定めれば5分の1を下回る割合を定めることもできます。

 

公開会社における事業報告の記載事項

公開会社の事業報告には、追加で(1)株式会社の現況に関する事項、(2)会社役員に関する事項、(3)株式に関する事項、(4)新株予約権等に関する事項を記載します。

 

(1) 株式会社の現況に関する事項

①主要な事業内容

②主要な営業所、工場並びに使用人の状況

③主要な借入先、借入額

④当該事業年度の事業の経過及び成果

⑤重要な資金調達、設備投資の状況、及び合併、会社分割、事業譲渡等の状況

⑥直前3事業年度の財産及び損益の状況

⑦重要な親会社及び子会社の状況

⑧対処すべき課題

⑨その他会社の現況に関する重要な事項

※連結計算書類を作成している会社は、これらの事項を、当該会社及び子会社からなる企業集団ベースで記載することができます。

 

(2) 会社役員に関する事項

①役員の氏名、地位及び担当、重要な兼職の状況

②役員と責任限定契約を締結しているときは、当該契約の内容の概要

③役員の報酬に関する事項

④役員の辞任又は解任に関する事項

⑤監査役等の財務及び会計に関する知見の記載

⑥常勤の監査等委員、監査委員の選定の有無及びその理由

⑦その他役員に関する重要な事項

 

※社外役員について、次の事項を記載する必要があります。

大会社かつ有価証券報告書提出会社の監査役設置会社であり社外取締役を置いていない場合、社外取締役を置くことが相当でない理由を事業報告に記載する必要があります。なお、社外監査役が2名以上であることのみをもって、当該理由とすることはできません。

 

 (3) 株式に関する事項

①保有株式数上位10名の株主

②その他株式に関する重要な事項

 

(4) 新株予約権等に関する事項

①役員が有する職務執行の対価として交付された新株予約権等の概要

②事業年度中に使用人等に対して職務執行の対価として交付された新株予約権等の概要

③その他新株予約権等に関する重要な事項

 

会計監査人設置会社が記載すべき事項

会計監査人設置会社の事業報告には、追加で以下の事項を記載します。

 

①会計監査人の氏名または名称

②会計監査人の報酬等の額及び報酬等について監査役等の同意理由

③非監査業務の対価を支払っている場合には、非監査業務の内容

④会計監査人の解任又は不再任の決定の方針

⑤会計監査人が現に業務の停止の処分を受け、その停止期間を経過しない者であるときは、当該処分に係る事項

⑥会計監査人が過去2年間に業務の停止の処分を受けた者である場合における当該処分に係る事項のうち、当該株式会社が事業報告の内容とすることが適切であると判断した事項

⑦会計監査人と責任限定契約を締結している場合は、その概要

⑧会社が有報提出大会社である場合には、当該株式会社および子会社が支払う金銭その他財産上の利益の合計額、及び当該株式会社の会計監査人以外の公認会計士または監査法人が子会社の計算関係書類の監査を実施しているときは、その事実

⑨会計監査人が辞任又は解任された場合には、当該会計監査人の氏名又は名称、解任の理由、会計監査人の意見等

⑩剰余金の配当等を取締役会が決定する旨の定款の定めがあるときは、取締役会に与えられた権限の行使に関する方針

 

株式会社の業務の適正を確保するための体制

大会社である取締役設置会社は、取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するための体制を決定しなければなりません。

 

その決定内容及び当該体制の運用状況の概要(※)を事業報告に記載する必要があります。

 

なお、大会社以外でも当該事項について決定した会社であれば、事業報告への記載が必要となります。

 

※当該体制の運用状況の概要は、「各社の状況に応じた合理的な記載をすることで足りるが、客観的な運用状況を意味するものであり、運用状況の評価の記載を求めるものではない。ただし事業報告に運用状況の評価を記載することも妨げられない。」とされています。

 

取締役会設置会社において決定すべき体制の内容は、以下のとおりです。

1.取締役の職務の執行に係る情報の保存および管理に関する体制

 

2.損失の危険の管理に関する規程その他の体制

 

3.取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制

 

4.使用人の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制

 

5.当該株式会社ならびにその親会社および子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制

 

子会社の取締役等の業務の執行に係る事項の当該株式会社への報告に関する体制
子会社の損失の危険の管理に関する規程その他の体制
子会社の取締役等の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
子会社の取締役等及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制

 

 

さらに、監査役設置会社である場合には、以下の体制が必要です。

1.監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する事項(注)

 

2.1. の使用人の取締役からの独立性に関する事項

 

3.使用人に対する指示の実効性の確保に関する事項

 

4.監査役への報告に関する体制

取締役及び会計参与並びに使用人が監査役に報告するための体制
子会社の取締役等または取締役等から報告を受けた者が監査役に報告するための体制

 

5.監査役に報告した者が不利な扱いを受けないことを確保するための体制

 

6.監査に要する費用の処理に係る方針に関する事項

 

7.その他監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制

 

(注)監査役による監査体制の構築についても、会社の業務の適正を確保する体制の一部である以上、あくまで当該体制の構築義務は取締役が負います。ただし、実際の監査体制は、監査役の主導で行うべきですので、補助使用人の要否は第一義的には監査役が判断することになります。

 

支配に関する基本方針

基本方針について開示すべき事項は以下のとおりです。いわゆる買収防衛策に関する開示もここに含まれます。

 

(1)基本方針の内容の概要

 

(2)基本方針の実現のための具体的取り組み
(ア)会社財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取り組み
(イ)基本方針に照らして不適切なものによって会社の支配を獲得することを防止するための取り組み(いわゆる買収防衛策)

 

(3)具体的な取り組みに対する取締役等の判断およびその理由
(ア)具体的な取り組みが基本方針に沿うものであること
(イ)株主の共同利益を損なうものではないこと
(ウ)会社役員の地位の維持を目的とするものではないこと

 

特定完全子会社に関する事項

いわゆる多重代表訴訟(会847条の3第1項)において、責任追及の対象となる子会社を明確にするために、特定完全子会社がある場合には、事業報告において以下を記載します。

 

①特定完全子会社の名称及び住所

②株式会社及びその完全子会社等における当該特定完全子会社の株式の当該事業年度の末日における帳簿価額の合計額

③株式会社の当該事業年度に係る貸借対照表上の総資産額

 

株式会社とその親会社等との取引

当該株式会社とその親会社等との一定の利益相反取引のうち、当該事業年度に係る個別注記表において関連当事者取引注記を要するものについて、事業報告において以下を記載します。

 

①当該取引をするに当たり当該株式会社の利益を害さないように留意した事項(当該事項がない場合にあっては、その旨)

②当該取引が当該株式会社の利益を害さないかどうかについての当該株式会社の取締役会の判断及びその理由

③社外取締役を置く株式会社において②の取締役会の判断が社外取締役の意見と異なる場合には、その意見

 

事業報告の附属明細書

事業報告の附属明細書には、事業報告の内容を補足する重要な事項を記載するものとされています。また、公開会社においては、役員の他の会社の業務執行取締役など重要な兼職の状況を記載します。

なお、会計監査人設置会社以外の公開会社において、親会社等との一定の関連当事者取引について個別注記表での注記を省略する場合、事業報告の附属明細書において、一定事項の記載を行うことになります。

SDGsは中小企業の経営にとっても重要事項です~持続可能な開発目標活用ガイドより~

「すべての企業が持続的に発展するために - 持続可能な開発目標(SDGs)活用ガイド - エスディージーズ」が環境省より平成 30 年 6 月に公表されました。

 

以下は、活用ガイドの「はじめに」からの要約です。

 

SDGs(エスディージーズ、持続可能な開発目標)は、2015年に国連が採択した先進国を含む国際社会全体の2030年に向けた環境・経済・社会についてのゴールです。 同年 12 月に採択された地球温暖化対策としての「パリ協定」と両輪になって、今、世界を大きく変える道しるべとなっています。

このSDGsは、政府や⾃治体だけでなく、⺠間企業においても取り組む気運が国内外で高まっています。 環境課題や社会課題の解決を通して儲ける、環境課題や社会課題に配慮していないと儲けられない、そんな時代が来ようとしています。

本ガイドは⺠間企業がSDGsを取り入れる際に経営者から担当者までの幅広い関係者が使いやすいように整理した構成となっています。新しい時代の経営の形がそこにはあります。

 

 

 

活用ガイドの目的と特徴

本ガイドの目的や特徴として、以下の説明がされています。

 

  • 目 的

本ガイドは、持続可能な開発目標(SDGs)について、これまで特段の取組を行っていない企業が活用することにより、SDGs に係る取組の進展に寄与することを目的としています。また、既に何らかの取組を行っている企業も本ガイドを参照し、さらなる取組の充実・発展のために活用することが期待されています。

 

  • 対 象

本ガイドの対象は、SDGs に関心を持ち、何か取組を始めてみようと考えている、中小規模の企業・事業者を主な対象としています。

このため、地域経済を⽀さえ、地域の活力の中心となって活動しているこれらの方々の目線で眺め、使いやすい内容となることを意図して構成されています。

 

  • 特 徴

SDGsには17のゴールがありますが、本ガイドにおいては、環境保全と関係の深いゴールや取組を中心とした内容となっています。

例えば、4(教育)、6(水・衛生)、7(エネルギー)、11(都市)、12(持続可能な消費と生産)、13(気候変動)、14(海洋)、15(陸域生態系・生物多様性)、17(実施手段・パートナーシップ)です。

 

  • 構 成

本ガイドには、この冊子の他に資料編が付属しています。

本冊子では、企業を取り巻く社会の変化やSDGsを巡る国内外の動きなどを紹介するとともに、SDGsに取り組むための具体的な方法を示していて、SDGs への理解を深めるところから実践へとつなげるものとなっています。

資料編では、SDGsに取り組むにあたり、活用しやすいツールや参考情報、取組事例などをまとめたものとなっています。

 

活用ガイドの概要

 

なぜ、SDGsなのか

その理由として、以下のことが挙げられています。

・パリ協定やESG投資など世界の潮流が変わり始めていること

・日本でも、政府による自治体SDGsの推進、経団連の企業⾏動憲章の改定、持続可能な調達ニーズの高まりなど、機が熟しつつあること

・社会課題解決の新しいプレーヤーとして企業が注目されていること

 

大企業や自治体では、社会課題解決に向けた戦略的な取組が創発され、そして取引のあるすべての企業もその取り組みを行うことが期待されています。

 

SDGsが示した潜在的マーケット

SDGsは全世界が合意した2030年の未来像を⽰めすものであり、未来像と現在のギャップを埋めるためには、イノベーションが必要となります。

SDGsが掲げる169のターゲットは、今後、変化が起きる領域でもあり、ビジネスにおいても新たな需要があるとみることができるものです。

このように、SDGsによって、⾜らないものが⾒えるようになり、世界には巨大な潜在的マーケットがあることが⽰されました。

今、世界中の各国政府、NGO、NPO、研究機関、大学などとともに、企業もSDGsの達成に向けて動き始めており、それがビジネスのあり方にも大きな影響を与えています。

 

これからの企業に必要なこととは

企業はこれまで、消費者のため、地域社会のため、そして生活環境の維持のために求められる製品やサービスを提供してきました。

しかし、昨今の少子高齢化による人材不⾜や消費者ニーズの多様化等により、売上拡大や事業承継において課題を抱える企業が多くなってきています。

企業が将来にわたって継続し、より発展していくために必要となるものは、⻑期的な視点で社会のニーズを重視した経営と事業展開です。

そこで、今、ビジネスの世界では、経営リスクを回避するとともに、新たなビジネスチャンスを獲得して持続可能性を追求するためのツールとして、SDGsの活用が注目を集めています。

 

「企業経営の道しるべ」となるSDGs

SDGsとは、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」のことです。

社会が抱える問題を解決し、世界全体で2030年を目指して明るい未来を作るための17のゴールと169のターゲットで構成されています。

 

SDGsの根幹にある「持続可能な開発」とは、「将来世代のニーズを損なわずに、現代世代のニーズを満たす開発」のことをいいます。

SDGsにはあらゆる分野における社会の課題と⻑期的な視点でのニーズがつまっているということです。

2017年には、GPIF(年⾦積⽴⾦管理運用独⽴⾏政法人)がESG投資に1兆円規模の投入を決めました。これは、環境問題や社会問題を視点として経営に取り入れることにより、将来的なリスクを軽減できる、課題解決のために生まれる新規市場に参入できる、といった評価が市場においてなされているからです。

 

ビジネスでは、SDGsが「共通言語」に

SDGsは国連で採択されたものですが、すでにビジネスの世界での「共通言語」になりつつあります。

そして、これらのゴールを達成するために、個別の企業においても取組が広がってきています。特に、世界を相手に事業を展開する大企業では、バリューチェーン全体の⾒直しを始めており、関連するサプライヤーにも影響が広がると考えられています。

SDGsの普及とともに、市場のニーズ、そして取引先からのニーズとして、SDGsへの対応が求められるようになってきています。

実際、投資の条件として、収益だけではなく、SDGsに取り組んでいるかどうかもみられる時代になってきているのです。

 

SDGsと持続可能な企業

SDGsのゴール・ターゲットをみると、自社の取組とのつながりに気づきます。

そこから、自社の強みは何であるかを改めて⾒直したり、SDGsに⽰めされた課題を解決できる自社の潜在能⼒に気づくことができたりします。

持続可能な会社にするためには、今の社会のニーズだけでなく、将来のニーズも満たすような事業展開が必要です。

SDGsを掲げた企業経営によって、持続可能な企業へと発展していきましょう。

 

SDGsの活用による社会課題への対応、企業イメージの向上、新たな事業機会の創出

 SDGsには社会が抱えている様々な課題が網羅されていて、今の社会が必要としていることが詰まっています。

これらの課題への対応は、経営リスクの回避とともに社会への貢献や地域での信頼獲得にもつながります。

取組をきっかけに、地域との連携、新しい取引先や事業パートナーの獲得、新たな事業の創出など、今までになかったイノベーションやパートナーシップを生むことにつながります。

SDGsへの取組をアピールすることで、多くの人に「この会社は信用できる」、「この会社で働いてみたい」という印象を与え、より、多様性に富んだ人材確保にもつながるなど、企業にとってプラスの効果をもたらします。

取引先のニーズの変化や新興国の台頭など、企業の生存競争はますます激しくなっています。今後は、SDGsへの対応がビジネスにおける取引条件になる可能性もあり、持続可能な経営を行う戦略として活用できます

【会社をしっかりコントロールしていますか?】内部統制フレームワークとは?

COSOの内部統制フレームワーク

 

内部統制構築において参考になるのが、COSOの「内部統制-統合的フレームワーク」(以下、フレームワーク)です。

 

一部を引用すると;

内部統制は、順を追ったプロセスではなく、動的かつ統合されたプロセスである。

フレームワークは、規模の大小、営利・非営利、政府機関を問わずすべての事業体に適用される。各組織が選択し、実行する内部統制は異なりうる。

中小規模の事業体の内部統制システムはそれほど形式張っておらず、簡易な構造なものであるかもしれないが、それでも内部統制としては有効なものである。

 

内部統制の定義

内部統制とは、事業体の取締役会、経営者及びその他の構成員によって実行され、業務、報告及びコンプライアンスに関連する目的の達成に関して合理的な保証を提供するために整備された1つのプロセスです。

 

内部統制の目的

3つの視点から見た内部統制の目的になります。

  • 業務目的:業績目標及び財務業績目標の達成、資産の保全を含む事業体の業務の有効性と効率性に関連
  • 報告目的:内部及び外部の非財務項目の報告に関連。信頼性、適時性、透明性を含む。
  • コンプライアンス目的:事業体が法律及び規則を遵守することに関連

 

内部統制の構成要素

内部統制の構成要素として5つをあげています。

 

  • 統制環境:組織全体にわたって内部統制を実行するための基礎となる1組の基準、プロセス及び組織構造です。
  • リスク評価:目的の達成に対するリスクを識別し、評価するための動的で反復的なプロセスを伴います。リスク評価は、どのようにリスクを管理するかを決定する基礎を形成します。
  • 統制活動:目標の達成に対するリスクを低減させる経営者の指示が確実に実行されるのに役立つ方針及び手続きを通して確立される行動です。
  • 情報と伝達:情報は、事業体が内部統制の目的を達成することを支援するための内部統制に関する責任を遂行するために必要なものです。伝達は、必要な情報を提供し、共有し、入手する継続的かつ反復的なプロセスです。
  • モニタリング活動:日常的評価、独立的評価、または両者の一定の組み合わせは、各構成要素における原則を実行する統制を含む内部統制の5つの各構成要素が、存在し、機能しているかを確かめるために利用されます。

 

目的と構成要素

事業体が達成しようとする目的、目的を達成するために必要とされるものを示す構成要素及び事業体の組織構造の間には、直接的な関係が存在しています。よく目にする、立方体です。

 

構成要素および原則

各構成要素に関連する基本概念を表す17の原則を提示しています。

事業体は、すべての原則を適用することによって有効な内部統制を達成することが出来ます。

すべての原則は、業務、報告及びコンプライアンスの目的に適用されます。

 

【会社をコントロールするために行うこと】内部統制の目的と基本的要素とは?

内部統制とは

 

内部統制の定義

内部統制とは何でしょうか。

我が国の会社法では、取締役の業務執行において、「取締役の業務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社からなる企業集団の業務の適性を確保するための必要なるものとして法務省令で定める体制の整備」として、いわゆる内部統制の整備を義務づけています。

 

会社法の規定

会社法及び会社法施行規則では、内部統制について、以下のように規定しています。

 

会社法第348条第3項第4号

取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社からなる企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備

 

会社法施行規則第98条

第1項

  • 当該株式会社の取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
  • 当該株式会社の損失の危険の管理に関する規程その他の体制
  • 当該株式会社の取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
  • 当該株式会社の使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
  • 次に掲げる体制その他の当該株式会社並びにその親会社及び子会社からなる企業集団における業務の適正を確保するための体制
    • 当該株式会社の子会社の取締役等の職務の執行に係る事項の当該株式会社への報告に関する体制
    • 当該株式会社の子会社の損失の危険の管理に関する規程その他の体制
    • 当該株式会社の子会社の取締役等の職務の体制が効率的に行われることを確保するための体制
    • 当該株式会社の子会社の取締役等及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制

第2項

取締役が2人以上ある株式会社である場合には、前項に規定する体制には、業務の決定が適正に行われることを確保するための体制を含むものとする

 

 

会社法は、内部統制システムの構築とコンプライアンスを重視しています。

「職務執行が法令及び定款に適合する」とは、文字通り、違法なことなしないということです。

「業務の適正を確保する」とは、業務における意思決定の内容の妥当性を確保する体制ということができます。

 

具体的に内部統制をどう構築をするのかは、会社の規模、業種などの実態などを勘案した経営判断になります。適切な内部統制の構築は、取締役等の善管注意義務・監督義務として求められています。

 

 

内部統制の目的と基本的要素

内部統制については、「財務報告に係る内部統制の評価および監査の基準」(企業会計審議会)で以下のように定義されています。

 

内部統制とは、基本的に、

  1. 業務の有効性及び効率性、財務報告の信頼性、事業活動に関わる法令等の遵守並びに資産の保全の4つの目的
  2. 目的が達成されているとの合理的な保証を得るために、業務に組み込まれ、組織内のすべての者によって遂行されるプロセス
  3. 統制環境、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達、モニタリング及びITへの対応の6つの基本的要素から構成される。

 

4つの目的と6つの基本的要素

4つの目的とは、内部統制を適切に構築することにより達成することの出来る目標です。

6つの基本的要素とは、内部統制を構築する上で不可欠な部品です。

 

4つの目的

  1. 業務の有効性及び効率性

業務の有効性とは、事業活動や業務の目的が達成される程度、業務の効率性とは、組織が目的を達成しようとする際に、組織内外の資源が合理的に使用される程度をいいます。

 

  1. 財務報告の信頼性

企業には、多くのステークホルダーがいて、各ステークホルダーは、企業の財政状態や経営成績といった財務報告に基づいて、それぞれの立場から意思決定を行います。財務報告に信頼がなければ、円滑な事業活動を行うことが出来なくなります。

 

  1. 事業活動に関わる法令等の遵守

法令や規則といった社会のルールを守ることは、企業活動の基本です。重大な法令違反を起こしたために、企業の存続が危うくなった例は、少なくありません。

 

  1. 資産の保全

企業は、多額の資産を保有して事業活動を行っています。資産が適切に取得され、使用され、処分されないと企業の事業活動や社会的信用に大きな損害や影響を与えることになります。

 

4つの目的は、独立しているのではなく、それぞれ重なり合い関係し合っています。

 

6つの基本的要素

 

  • 統制環境

統制環境とは、組織の気風を決定し、組織内のすべての者の統制に対する意識に影響を与えるとともに、他の基本的要素の基礎をなし影響を及ぼす基盤をいいます。

 

  • リスク評価と対応

リスク評価とは、リスクの発生可能性と発生したときの影響度を考慮して対応すべき優先順位を決定することです。

リスク対応とは、優先順の高いリスクに対して、回避、受容、低減又は移転等の手立てを行うことです。

 

  • 統制活動

統制活動とは、経営者の命令及び指示が適切に実行されることを確保するために定められる方針及び手続きをいいます。

 

  • 情報と伝達

情報は、識別・把握・処理され、その情報を組織内又は組織外に適切に伝えることが重要になります。

 

  • モニタリング

ここでのモニリングとは、内部統制がきちんと機能しているかを確認するプロセスをいいます。

 

  • ITへの対応

ITへの対応とは、組織目標を達成するために予め適切な方針及び手続きを定め、それを踏まえて、業務の実施において組織内外のITに対して適切に対応することをいいます。

【自分の会社をもっとよく知ってもらうための方法】統合報告書とは?

2013年12月に、国際統合報告委員会(IIRC)が「国際統合報告フレームワーク」を公表しました。

全世界では1,600社、日本では2017年度に400社を超える企業が統合報告書を発行しているという調査結果があります。

主に、上場会社が統合報告を行っていますが、中小企業でも自分の会社を顧客、株主、金融機関等の外部にアピールするために参考となる事項が多々あると思います。

「国際統合報告フレームワーク」における「統合報告」の概要について見てみましょう。

 

統合報告の狙い

統合報告の狙いは、4点です。

1.より効率的で生産的な資本の配分を可能とするために、財務資本の提供者が利用可能な情報の質を改善する

 

2.複数の異なる報告を基礎に、組織の長期にわたる価値創造能力に強く影響するあらゆる要因を伝達する企業報告に関して、よりまとまりのある効率的なアプローチを促す

 

3.広範な資本に関する説明責任及びスチュワードシップを向上させるとともに、資本間の相互関係について理解を深める

 

4.短、中、長期の価値創造に焦点を当てた統合思考、意思決定及び行動に資する

 

統合報告の要旨

 

統合報告は、企業報告に関して、よりまとまりのある効率的なアプローチを促すとともに、財務資本の提供者が利用可能な情報の質を改善することによって、より効果的で生産的な資本配分を可能とするものです。

IIRCは、統合報告が企業報告の規範となることを目指しています。

 

統合報告書の目的

財務資本の提供者に対し、組織がどのように長期にわたり価値を創造するかを説明することを目的としています。

 

国際統合報告書フレームワーク

原則主義に基づく。組織それぞれに大きな違いがあることを認めつつ、情報ニーズを満たす上で十分な比較可能性を確保し、柔軟性と規範性との適切なバランスをとることを目的としています。

統合報告書の基礎概念

統合報告書は、組織が利用し、影響を与える資源及び関係(資本)についての洞察を提供することを目的としています。

また、組織が、短、中、長期的に価値を創造するために、外部環境及び資本と、どのように相互作用するかについての説明を目指しています。

資本は、価値の蓄積であり、財務資本、製造資本、知的資本、人的資本、社会・関係資本、自然資本から構成されるとしています。

 

統合報告書のフレームワーク

フレームワークの目的は、統合報告書の全般的な内容を統括する指導原則及び内容要素を規定し、それらの基礎となる概念を説明することです。

フレームワークは、組織の価値創造能力を分析する上で利用可能な、統合報告書に含まれるべき情報を提供します。

 

統合報告書の指導原則

指導原則は、報告書の内容及び情報の開示方法に関する情報を提供することによって、統合報告書作成の基礎を提供するものです。

 

1.戦略的焦点と将来志向

2.情報の結合性

3.ステークホルダーとの関係

4.重要性

5.簡潔性

6.信頼性と安全性

7.首尾一貫性と比較可能性

 

統合報告書の内容要素

統合報告書は、以下の8つの要素を含みます。

 

1.組織概要と外部環境

2.ガバナンス

3.ビジネスモデル

4.リスクと機会

5.戦略と資源配分

6.実績

7.見通し

8.作成と表示の基礎

 

【どんな会社にも不正が発生するリスクがあります】不正リスク管理とは?

不正リスク管理

 

COSOの「不正リスク管理ガイド」の邦訳が、2017年10月に発行されました。

「不正リスク管理ガイド」についてみてみましょう。

 

不正とは、他人を欺くために仕組まれた作為または不作為であって、被害者への損失および/または不正実行犯たる加害者への利得をもたらす行為、と定義されています。

 

あらゆる組織が不正リスクにさらされており、すべての組織のすべての不正を撲滅することは不可能であるが、このガイドの原則を実施することにより不正を適時に防止・発見する可能性を最大限に高め、強力な不正抑止力を形成することが出来るだろう、としています。

 

COSOの「内部統制-統合的フレームワーク」は、5つ内部統制の構成要素と17の原則を取り入れました。不正リスク管理の5つの原則は、17の原則を全面的に支援し、それと完全に整合する同等の内容としています。

 

COSOフレームワークと不正リスク管理の原則との関連性

両者の関係は以下のようになっています。

 

不正リスクのガバナンス

組織は、取締役会および上級経営者の期待と彼らの不正リスク管理に関する高度な誠実性と倫理観に対するコミットメントを表明する不正リスク管理プログラムを確立し伝達する

 

不正リスク評価

組織は、具体的な不正スキームとリスクを識別し、不正の発生可能性と影響度を測定し、既存の不正統制活動を評価し、不正の残存リスクを低減する対策を講じるために、総合的な不正リスク評価を実施する。

 

不正統制活動

組織は、発生する、または適時に発見されることのない不正のリスクを低減するための予防的・発見的な不正統制活動を選定、開発、実施する。

 

不正調査と是正措置

組織は、潜在的な不正についての情報を入手するための情報伝達プロセスを確立し、不正に適切かつ適時に対処するために調整の図られた方法による調査および是正措置を活用する。

 

不正リスク管理のモニタリング活動

組織は、不正リスク管理の5つの各原則が存在し、機能し、不正リスク管理プログラムの不備を、上級経営者と取締役会を含む是正措置の実施に責任を負う当事者に適時に伝達しているかを確認するための日常的な評価方法を選定、開発、実施する。

 

有効な不正リスク管理

不正リスク管理ガイドは、内部統制のフレームワークを支援し、その内容と整合することを意図しているので、組織が不正リスク評価を実施する際に従うべきベストプラクティスの指針として役立つとしています。

 

監査役の役割、権限、責任

監査役の役割

 

監査役は株主総会で選任され、取締役の職務の執行を監査することが役割です。監査役は、会社のガバナンス機能の重要な役割を担う機関です。

株主の負託を受けて独立した立場で取締役の職務の執行を監査することにより、企業の健全かつ持続的な成長を確保し、社会的信頼に応える企業統治体制を確立する責務を負っています。監査役と会社との関係は、委任になります。

 

会計監査と業務監査

監査役は、会計監査と業務監査を行います。

会計監査とは、会社が作成した計算書類および附属明細書等が正しく作成されているかを監査することです。

業務監査とは、会計以外の事業報告が正しいのかどうか、会社の業務が法令や定款に違反することなく行われているのかを監査することです。

業務監査は適法性監査ともいわれていますが、法令には善管注意義務も含まれています。

経営判断の基礎となる事実の誤認や経営判断が通常の経営者では行わないような不合理なものであるように、不当性の程度が著しいものは法的にも善管注意義務違反となりますので、取締役の経営判断に関する事項についても、一定の範囲に関しては善管注意義務違反がないかどうかを監査することになります。

定時株主総会の招集通知に、会計監査と業務監査の結果が記載された監査役の監査報告が提示されます。

 

適法性監査と妥当性監査

適法性監査とは、取締役の業務執行が法令・定款に遵守して行われているかを監査するものです。

一方、妥当性監査とは、取締役の行為が経営判断の原則に照らして妥当かどうかを監査することです。

取締役が経営判断の原則に則り、十分に調査・協議した上で行った経営上の判断であれば、会社に損失が生じた場合でも取締役は責任を問われないことになります。

 

監査役は、取締役と異なり経営判断や業務執行には関わりませんので。監査役監査は妥当性監査に及ばないとする考え方もありますが、一般的には、適法性監査を主とするが、会社に著しく重要な影響を及ぼすと考えられる事項については妥当性監査に踏み込む必要があると考えられています。

 

監査役の権限

監査役は、法律上の様々な権限が与えられています。

 

  1. 取締役・使用人への報告要求・調査
  2. 取締役の違法行為の阻止取締役会の招集取締役の行為の差し止め請求
  3. 株主総会での報告
  4. 取締役会への出席、意見陳述
  5. 会社・取締役間の訴訟の代表
  6. 会計監査

 

監査役の責任

監査役の責任には、以下のようなものがあります。

  • 会社に対する損害賠償責任

監査役の業務執行において、善管注意義務違反と認められるような行為があった場合には、監査役は会社に対して一定の損害賠償責任を負います。

 

  • 第三者に対する損害賠償責任

監査役の業務執行にあたって悪意や重過失があり、第三者に損害を与えた場合には、監査役は」第三者に対して損害を賠償する責任を負います。

全社的リスクマネジメント~COSOによる位置付け、構成要素、5つの原則

全社的リスクマネジメント

 

トレッドウェイ委員会支援組織委員会(Committee of Sponsoring Organization of the Treadway Commission :COSO)は、2017年9月に「Enterprise Risk Management-Integrating with Strategy and Performance」を公表し、2018年4月にその邦訳が出ました。

書名は「COSO 全社的リスクマネジメント」です。ERMの新しい考え方を見てみましょう。

ERMフレームワークの改訂理由

フレームワークの起草者であるPwCは、以下のように述べています。

2004年にERMが発行されてから、事業運営の複雑さの変化、新たなリスクの発生などがかつてない早さで次々と生まれ、クライアントの行動変化は、予測不可能な世界の経済情勢に大きな影響を与えていること、技術が進化し続け、透明性を求める声は大きくなり、戦略計画策定や業務遂行能力の重荷になっている。

これらの、課題に対処するためには、現在及び将来の企業価値の創出、維持、実現につながる新しいリスクマネジメントのアプローチが必要。

 

ERMとは

ERMとは、リスクを全社的視点で認識・評価し、優先順位を明確にした上で、残存リスクの最小化を図るために、重要リスクに対する統制へリソースを優先的に配分し、継続的にリスク管理体制を強化していく一連のプロセスです。

 

COSOが考えるERMの位置づけ

COSOでは、ERMを経営戦略遂行に不可欠のものとしています。下の図は、ミッション、ビジョンおよびコアバリューに沿って、事業体の全体的方向性とパフォーマンスの原動力となる考慮事項を示しています。

 

事業体の目的を達成するための4つのカテゴリーとして、戦略、業務活動、財務報告、コンプライアンスを挙げています。

構成要素としては、以下の8項目を挙げています。

  1. 内部環境
  2. 目的設定
  3. 事象認識
  4. リスク評価
  5. リスク対応
  6. 統制活動
  7. 情報とコミュニケーション
  8. 監視活動

 

 

「COSO 全社的リスクマネジメント」より

 

ERMのフレームワーク

フレームワークは、相互に関連する5つの要素によって構成される一組の原則からなっています。

以下が、5つの原則です。

  1. ミッション、ビジョンおよびコアバリュー
  2. 戦略の策定
  3. 事業目標の体系化
  4. 実績とパフォーマンス
  5. 価値の向上

 

「COSO 全社的リスクマネジメント」より

【ガバナンス向上のために】コーポレートガバナンス・コードの位置づけ、目的、特色

コーポレートガバナンス・コード(以下、CGC)は、日本再興戦略改訂2014に基づき、2015年6月に策定され、2018年6月に改訂されています。東京証券取引所が策定した、上場会社向けの行動原則です。

しかし、その中身は、上場会社だけでなく、中小企業にも役立つ内容です。ここで書かれいている内容を、すべて行う必要はありませんが、企業経営、特にガバナンスをどうしたらよいかで悩んでいる経営者の方には、参考になると思います。

 

CGCの位置づけ

CGCは、東京証券取引所が定める上場規程の一部を構成しています。

上場規程において、CGCの各原則の趣旨・精神の尊重規定及び原則を実施するか又は実施しない理由の説明の義務付け規定が置かれています。

 

CGCの目的と特徴

企業価値の向上や国の経済発展への寄与を目的として、経営者の健全なリスクテイクの後押し(攻めのガバナンス)、中長期保有の投資家との建設的な対話をあげています。

特徴としては、以下の、5点です。

1.上場会社のガバナンスに関する適切な規律

2.意思決定過程の合理性を担保

3.結果責任に関するリスクの低減

4.健全な企業家精神の発揮(透明・公正かつ迅速・果断な意思決定)

5.会社の持続的成長、中長期的な企業価値向上

CGCの特色

CGCは「プリンシプルベース(原則主義)」といわれています。

上場会社は、CGCの趣旨・精神と自社の個別具体的な事情を踏まえて、CGCの各原則をどう解釈しどう適用することが最も自社にとって適切かを自ら判断することが必要になります。

解釈や適用の妥当性は、株主・投資家を含む市場関係者が評価することになります。

プリンシプルベース(原則主義) ルールベース(細則主義)
法的強制力 あり なし
罰則の有無 あり なし
予見可能性 重要 それほど需要でない
規範の抽象度 具体的、詳細 抽象的
中心となる規範 具体的方法 目標、理念

 

CGCの各原則の趣旨を踏まえ、実施する場合にはその方法について、実施しない場合には、よりすぐれた代替手法の存在を含めた実施しない理由の説明が必要になります。

 

CGCの基本構造

CGCの基本原則、原則、補充原則と各章の構成は以下のようになっています。合計78原則からなっています。

 

株主の権利・平等性の確保 株主以外のステークホルダーとの協働 適切な情報開示と透明性の確保 取締役会等の責務 株主との対話
基本原則

(5原則)

1 1 1 1 1
原則

(31原則)

7 6 2 14 2
補充原則

(42原則)

11 3 4 21 3

 

コーポレートガバナンスの重要性と監査役の必要性

企業統治について

株式会社の監査役について説明します。

 

株式会社を管轄する法律は、「会社法」です。

 

会社法では、
会社の経営をどのようにするのかをという観点から、株主と経営者の関係を定めています。

 

「企業統治」ということが出来ます。

 

会社法では、以下の会社に分けて「企業統治」を規定しています。

 

●公開会社と非公開会社

●大会社と中小会社

 

なお、同族会社・非同族会社は税法上の分け方になり、会社法ではそのような区分けはありません。

 

それでは、それぞれどのようなものかを見ていきましょう。

 

公開会社

全部又は一部の株式を会社の承諾なしに自由に譲渡できるようになっている会社のこと。

 

非公開会社

発行する全部の種類の株式について、その譲渡について承認を要する旨の定款の定めのある会社のこと。

 

大会社

以下のどちらかに該当する株式会社です。

《1》
最終事業年度の貸借対照表に資本金として計上した額が、5億円以上である

《2》
最終事業年度の貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が、200億円以上である

 

中小会社

大会社ではない株式会社をいいます。

 

『公開会社』と『非公開会社』

『大会社』と『中小会社』

という観点からは、以下のように分けられます。

公開会社 非公開会社
大会社 多くの上場企業 上場企業の子会社や関連会社等
小会社 小規模公開会社 多くの中小企業

 

 

それでは、非公開の中小会社について
取締役・監査役の「要」 or 「不要」を見てみましょう。

 

※不要の場合でも、任意で設置は可能になります。

取締役 必要 任期は、原則2年
10年まで延長可
単独も可
取締役会 不要
監査役 不要
監査役会 不要

 

 

取締役と監査役の組み合わせの主なものを示してみます。

取締役は必須なので、取締役を中心に考えてみます。

取締役会 監査役
(会計監査のみ)
監査役
(業務監査・会計監査)
監査役会
× × × ×
× × ×
× × ×
取締役 × ×
× ×
× ×
× ×

 

企業統治の観点からは、
中小企業といっても、取締役会と監査役はあった方がよいと思います。

 

なぜ監査役が必要か

大部分の中小会社は、株主と取締役が同一かもしれません。

会社の規模が小さいうちは、取締役だけで会社経営を行うことが迅速な意思決定を行うために有効かもしれません。

 

会社がある程度の規模になると組織的な運営が必要になります。

このときに、経営の意思決定に関して透明性・妥当性を確保する必要が出てきます。

 

取締役会や監査役を設置することで、

意思決定の透明性・妥当性を担保することになり、

特に、監査役は以下にのべる業務監査権限がありますので、経営者の意思決定をチェックする機能があります。

 

監査役の仕事

では、具体的に、監査役とはどのようなことをするのでしょうか。

 

監査役は、会社の業務と会計について監査を行います。

会社法では、監査役の権限を定めています。業務監査権限と会計監査権限といいます。

特に、取締役の業務執行を監査することが重要になります。

監査役は、いつでも取締役や従業員に対して事業の報告を求め、会社の業務や財産の状況を調査することができます。

 

年初に監査計画を立て、期中に監査を実施し、年度末に会計監査を行い、監査報告書を作成する、ということになります。

また、取締役会には、出席が義務づけられています。

 

監査計画

これは、1年間の監査の方針と具体的計画を記載します。

具体的計画には、経営者から経営方針や事業の進捗状況をヒアリングしたり、
営業や生産の現場を視察したりする時期や内容を記載します。

 

期中監査

監査を実施し、気がついた点があれば、経営者の報告し、意見や改善策を聴取します。

 

会計監査

貸借対照表や損益計算書などの計算書類が、会計基準に従って適切に作成されているかを監査します。

 

監査報告書

監査報告書には、取締役の業務執行において問題があったかどうかを記載します。