2013年12月に、国際統合報告委員会(IIRC)が「国際統合報告フレームワーク」を公表しました。
全世界では1,600社、日本では2017年度に400社を超える企業が統合報告書を発行しているという調査結果があります。
主に、上場会社が統合報告を行っていますが、中小企業でも自分の会社を顧客、株主、金融機関等の外部にアピールするために参考となる事項が多々あると思います。
「国際統合報告フレームワーク」における「統合報告」の概要について見てみましょう。
統合報告の狙い
統合報告の狙いは、4点です。
1.より効率的で生産的な資本の配分を可能とするために、財務資本の提供者が利用可能な情報の質を改善する
2.複数の異なる報告を基礎に、組織の長期にわたる価値創造能力に強く影響するあらゆる要因を伝達する企業報告に関して、よりまとまりのある効率的なアプローチを促す
3.広範な資本に関する説明責任及びスチュワードシップを向上させるとともに、資本間の相互関係について理解を深める
4.短、中、長期の価値創造に焦点を当てた統合思考、意思決定及び行動に資する
統合報告の要旨
統合報告は、企業報告に関して、よりまとまりのある効率的なアプローチを促すとともに、財務資本の提供者が利用可能な情報の質を改善することによって、より効果的で生産的な資本配分を可能とするものです。
IIRCは、統合報告が企業報告の規範となることを目指しています。
統合報告書の目的
財務資本の提供者に対し、組織がどのように長期にわたり価値を創造するかを説明することを目的としています。
国際統合報告書フレームワーク
原則主義に基づく。組織それぞれに大きな違いがあることを認めつつ、情報ニーズを満たす上で十分な比較可能性を確保し、柔軟性と規範性との適切なバランスをとることを目的としています。
統合報告書の基礎概念
統合報告書は、組織が利用し、影響を与える資源及び関係(資本)についての洞察を提供することを目的としています。
また、組織が、短、中、長期的に価値を創造するために、外部環境及び資本と、どのように相互作用するかについての説明を目指しています。
資本は、価値の蓄積であり、財務資本、製造資本、知的資本、人的資本、社会・関係資本、自然資本から構成されるとしています。
統合報告書のフレームワーク
フレームワークの目的は、統合報告書の全般的な内容を統括する指導原則及び内容要素を規定し、それらの基礎となる概念を説明することです。
フレームワークは、組織の価値創造能力を分析する上で利用可能な、統合報告書に含まれるべき情報を提供します。
統合報告書の指導原則
指導原則は、報告書の内容及び情報の開示方法に関する情報を提供することによって、統合報告書作成の基礎を提供するものです。
1.戦略的焦点と将来志向
2.情報の結合性
3.ステークホルダーとの関係
4.重要性
5.簡潔性
6.信頼性と安全性
7.首尾一貫性と比較可能性
統合報告書の内容要素
統合報告書は、以下の8つの要素を含みます。
1.組織概要と外部環境
2.ガバナンス
3.ビジネスモデル
4.リスクと機会
5.戦略と資源配分
6.実績
7.見通し
8.作成と表示の基礎