三様監査とは、監査役による監査、会計監査人による監査、内部監査部門による内部監査をいいます。
業務執行者とは別の視点から監視・監査活動を行っています。中小企業では、会計監査人はいないことが多いと思いますが、監査役と内部監査部門との関係は参考になると思います。
三様監査の各役割
それぞれの監査の役割を見てみましょう。
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監査役
監査役は、会社法上の機関です。監査役は、取締役の職務執行を監査します。会社との関係は委任になります。委任者の善管注意義務を負います。したがって、任務懈怠によって会社に損害が生じた場合には、損害賠償の責任があります。
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会計監査人
会計監査人は、会社法上の機関です。会社の計算書類および附属明細書等を監査します。
会計監査人は、役員ではありませんが、会社との関係は委任です。監査役と同様に、善管注意義務と損害賠償責任があります。
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内部監査
内部監査は、法的な位置づけはありません。会社組織の中での位置づけです。
経営者直属の組織で、業務監査が中心となり、会社のルールや定められた手続きに則って業務が行われているかを調べることが多いようです。。
監査役監査と内部監査との違い
監査役監査と内部監査の大きな違いは、その監査対象です。
監査役は、取締役の職務執行が監査対象です。取締役の法令・定款違反、善管注意義務違反などです。
内部監査は、従業員の業務が監査対象で、内部監査部門は、通常は、取締役の指揮監督下にあります。
監査役と会計監査人
監査役は、会計監査人の監査の相当性を判断して株主の報告する義務があります。判断するためには、日頃から十分なコミュニケーションが必要です。
例えば、双方の監査計画の説明、重点監査項目のすりあわせなどです。
会計監査人が取締役の不正行為や法令・定款違反の重大な事実を発見した場合には、監査役は報告を受けたり報告を請求したりする権限があります。報告を受けた場合には、監査役会で審議し、必要に応じて調査したり取締役への対応を促したりする是正措置をとることになります。
期末には、会計監査人の監査結果の通知を受ける権限があります。また、会計監査人の報酬同意権があります。
監査役と内部監査部門
監査役監査と内部監査は対象が重複する場合もあるので、事前の打ち合わせが重要です。
監査の目的が異なりますが、内部監査によって発見された問題は、適時に監査役に報告される体制作りが必要です。
三者会議
それぞれの役割を果たすためには、監査役、会計監査人、内部監査部門が、定期的に情報交換するためのミーティングを持つことは有益です。