コーポレートガバナンス・コード(以下、CGC)は、日本再興戦略改訂2014に基づき、2015年6月に策定され、2018年6月に改訂されています。東京証券取引所が策定した、上場会社向けの行動原則です。
しかし、その中身は、上場会社だけでなく、中小企業にも役立つ内容です。ここで書かれいている内容を、すべて行う必要はありませんが、企業経営、特にガバナンスをどうしたらよいかで悩んでいる経営者の方には、参考になると思います。
CGCの位置づけ
CGCは、東京証券取引所が定める上場規程の一部を構成しています。
上場規程において、CGCの各原則の趣旨・精神の尊重規定及び原則を実施するか又は実施しない理由の説明の義務付け規定が置かれています。
CGCの目的と特徴
企業価値の向上や国の経済発展への寄与を目的として、経営者の健全なリスクテイクの後押し(攻めのガバナンス)、中長期保有の投資家との建設的な対話をあげています。
特徴としては、以下の、5点です。
1.上場会社のガバナンスに関する適切な規律
2.意思決定過程の合理性を担保
3.結果責任に関するリスクの低減
4.健全な企業家精神の発揮(透明・公正かつ迅速・果断な意思決定)
5.会社の持続的成長、中長期的な企業価値向上
CGCの特色
CGCは「プリンシプルベース(原則主義)」といわれています。
上場会社は、CGCの趣旨・精神と自社の個別具体的な事情を踏まえて、CGCの各原則をどう解釈しどう適用することが最も自社にとって適切かを自ら判断することが必要になります。
解釈や適用の妥当性は、株主・投資家を含む市場関係者が評価することになります。
プリンシプルベース(原則主義) | ルールベース(細則主義) | |
---|---|---|
法的強制力 | あり | なし |
罰則の有無 | あり | なし |
予見可能性 | 重要 | それほど需要でない |
規範の抽象度 | 具体的、詳細 | 抽象的 |
中心となる規範 | 具体的方法 | 目標、理念 |
CGCの各原則の趣旨を踏まえ、実施する場合にはその方法について、実施しない場合には、よりすぐれた代替手法の存在を含めた実施しない理由の説明が必要になります。
CGCの基本構造
CGCの基本原則、原則、補充原則と各章の構成は以下のようになっています。合計78原則からなっています。
株主の権利・平等性の確保 | 株主以外のステークホルダーとの協働 | 適切な情報開示と透明性の確保 | 取締役会等の責務 | 株主との対話 | |
基本原則
(5原則) |
1 | 1 | 1 | 1 | 1 |
原則
(31原則) |
7 | 6 | 2 | 14 | 2 |
補充原則
(42原則) |
11 | 3 | 4 | 21 | 3 |