経済産業省は、DXの実現やその基盤となるITシステムの構築を行っていくうえで経営者が押さえるべき事項を明確にすること、取締役会や株主がDXの取り組みをチェックするうえで活用できるものとすることを目的として、DX推進ガイドラインを策定し、2018年12月に公表しました。
1.DX推進のための経営のあり方、仕組み
(1)経営戦略・ビジョンの提示
・想定されるディスラプション(「非連続的(破壊的)イノベーション」を念頭
・データとデジタルン技術の活用
・どの事業分野でどのような新たな価値(新ビジネス創出、即時性、コスト削減等)を生み出すことを目指すか
・そのために、どのようなビジネス・モデルを構築すべきかについての経営戦略やビジョンを提示
(2)経営トップのコミットメント
・ビジネスや仕事の仕方、組織・人事の仕組み、企業文化・風土そのものの変革が不可欠
・経営トップ自らがこれらの変革に強いコミットメントを持って取り組み
(3)DX推進のための体制整備
・経営戦略やビジョンの実現との紐づけ
・経営層が各事業部門に対してデータやデジタル技術を活用して新たなビジネス・モデルを構築する取り組み
・新しい挑戦を促し、かつ挑戦を継続できる環境整備
(4)投資等の意思決定のあり方
・DX推進のための投資等の意思決定
・コストのみでなくビジネスに与えるプラスのインパクトを勘案
・定量的なリターンや確度を求めて成長阻害
・投資をせず、デジタル化するマーケットから排除されるリスクを勘案
(5)DXにより実現すべきもの
・経営方針転換やグローバル展開等へのスピーディーな対応
2.DXを推進するうえで基盤となるITシステムの構築
(1)体制・仕組み
①全社的なITシステムの構築のための体制
・各事業部門におけるデータやデジタル技術の戦略的な活用を可能とする基盤
・これらを相互に連携できる全社的なITシステムを構築するための体制整備
②全社的なITシステム構築に向けたガバナンス
・ITシステムが全社最適となるよう、複雑化・ブラックボックス化しないために必要なガバナンス
・ユーザー企業自らがシステム連携基盤の企画・要件定義を実施
③事業部門のオーナーシップと要件定義能力
・実現したい事業企画・業務企画を自ら明確化
・ベンダー企業からの提案を自ら取捨選択
・各事業部門自らが要件定義し、完成責任を担う
(2)実行プロセス
①IT資産の分析・評価
・IT資産の現状分析と評価
②IT資産の仕分けとプランニング
・IT資産の仕分けやどのようなITシステムに移行するかのプランニング
・データやデジタル技術の活用でビジネス環境の変化に対応したシステム環境の構築
・全社最適となるシステム構成
・競争領域と協調領域を特定し、競争領域へのリソースの重点配分
・経営環境の変化に応じて、ITシステムの廃棄
・技術負債の低減
③刷新後のITシステム:変化への追従力
・新たなデジタル技術を導入し、ビジネス・モデルの変化に迅速に追従
・ITシステムができたかでなく、ビジネスがうまくいったかで評価する仕組み