デジタルトランスフォーメーション政策の方向性と今後の方向性の検討 | 社外財務部長 原 一浩
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デジタルトランスフォーメーション政策の方向性と今後の方向性の検討

デジタルトランスフォーメーション政策の方向性と今後の方向性の検討

2020年12月28日に、経済産業省「デジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会」が「DXレポート2 中間取りまとめ」を公表しました。

企業のDXを加速するための課題やその対応策を中心に議論されています。「政府の政策の方向性」と「今後の方向性の検討」についてみてみましょう。

 

Ⅰ 政府の政策の方向性

 

1.共通理解の形成のためのポイント集の策定

 

DX推進に向けた関係者間の共通理解の形成に向け、関係者間での対話の中身をとりまとめた「ポイント集」を整理しています。

 

(1) 必要性

 

① DXの推進に向けては、経営層、事業部門、IT部門が対話を通じて同じ視点を共有し、協働してビジネス変革に向けたコンセプトを描いていく必要があります。

そのために、まずは経営者が、将来のビジネスを見据えた上で取組の方向性となるビジョンについて、関係者間の対話を通じて示すことが重要です。

 

② DXとは何か、会社のビジネスにどう役に立つのか、という基本的な事項についての共通理解が企業内で形成されておらず、DXという言葉を用いた場合に思い描くビジョン、コンセプトが様々な状況にあるため、具体的なアクションにつながらないという問題が見られます。

 

(2) 対応策

 

関係者間での対話の中身の勘所を示すにあたり、企業が抱える課題(Why、What、How)それぞれの「分からない」を「分かる」にするための意識向上施策として、経営層向けに対話の中身をとりまとめた「ポイント集」を整理していきます。

 

2.CIO/CDXOの役割再定義

 

DX推進を経営レベルで推進できるようにするためには、CDOやCIOの役割を明確にする必要があります。

 

CxOが担うべき役割や、ガバナンスの対象事項について再定義を行っています。

 

(1) 必要性

 

① 国内においてCIOとCDXOの役割に関する共通の認識が確立されていません。

企業によってはCIOがDXを推進するCDXOを兼務している例もあります。

DX推進を経営レベルで推進できるようにするためには、CDOやCIOの役割を明確にする必要があります。

 

② 経営層にDXをけん引する役員がいない企業においては、経営層における対話の不足はもとより、DXの推進が阻害されていることを経営層が認識できていない可能性があります。

 

(2) 対応策

 

DXをけん引する経営層の機能として、こうしたCxOが担うべき役割や、ガバナンスの対象事項について再定義を行います。

 

3.DX成功パターンの策定

 

経営者は経営とITが表裏一休であるとの認識をもち、DXに向けた戦略を立案する必要があります。

その際にDXの取組領域や具体的なアクションを検討する際の手がかりとなる「DX成功パターン」を策定します。

 

「DXレポート2 中間取りまとめ」より抜粋。

 

(1) DX成功パターンの策定:DXに向けた戦略の立案・展開

 

DX成功パターンには、DXに向けた戦略の立案・展開にあたって前提となる、「組織戦略」、「事業戦略」、「推進戦略」が含まれます。

 

 

「DXレポート2 中間取りまとめ」より抜粋。

 

(2) DX成功パターンの策定:DXの構造

 

企業がDXの具体的なアクションを設計できるように、DXを3つの異なる段階に分解します。

これらは必ずしも下から順に実施を検討するものではありません。

「DXレポート2 中間取りまとめ」より抜粋。

 

(3) DX成功パターンの策定:DXフレー厶ワーク

 

DXフレームワークは、以下のようになっています。

「DXレポート2 中間取りまとめ」より抜粋。

 

4.デジタルプラットフォームの形成

 

(1) 共通プラットフォーム推進

 

① 企業が経営資源を競争領域に集中するためには、個社が別々にITシステ厶を開発するのではなく業界内の他社と協調領域を台意形成して共通プラットフォームを構築し、協調領域に対するリソースの投入を最小限にすべきです。

 

② 幅広い業界へ共通プラットフォー厶の横展開が可能となるように、共通プラットフォー厶の形成を阻害している要因の除去や、一層の加速のための施策について検討します。

 

(2) デジタルアーキテクチャ推進

 

① デジタル社会の実現を見据えて、個社のみでは対応しきれない顧客や社会の課題を迅速に解決するために、デジタル企業同士が横連携してエコシステムを形成できるデジタルプラットフォー厶を形成することが重要です。

 

② 情報処理推進機構のデジタルアーキテクチャ•デザインセンターにおいて、産学官の連携の下、全体の見取り図である「アーキテクチャ」を設計するとともに、その設計を主導できる専門家の育成を進めます。

 

5.ユーザー企業とベンダー企業の共創の推進

 

① 企業がラン・ザ・ビジネスからバリューアップへ軸足を移し、アジャイル型の開発等によって事業環境の変化への即応を追求することで、ユーザー企業・ベンダー企業の垣根はなくなっていくと考えられます。

 

② ベンダー企業は、受託開発型のビジネスとは決別し、ユーザー企業のDXを支援・伴走してけん引するようなパートナーに転換していきます。

 

③ レガシー企業文化から脱却して変化に迅速に適応できる「優れた」ベンダー企業が有する機能・能力を明確にし、ベンダー企業の競争力を定量的または定性的に計測できる指標を策定します。

 

6. DX人材の確保

 

(1) 各企業において社内のDX活動をけん引するDX人材の存在が不可欠

 

自社のビジネスを深く理解した上で、データとデジタル技術を活用してそれをどう改革していくかについての構想力を持ち、実現に向けた明確なビジョンを描くことができる人材が必要になります。

 

(2) 個々人が変化に対して自ら学べるように、社会全体として学び直し(リカレント教育) の仕組みを整備していくことが重要

 

継続的かつ頻繁にスキルをアップデート(リスキリング)する場をいかに提供していくかが重要です。

 

(3) 企業における人材の活用が能力の成長につながり、優れた専門性が市場において評価され、能力開発が推進される環境が重要

 

① デジタル人材市場の課題と人材確保の在り方を再検討します。

 

② デジタル時代の人材評価•育成の在り方を再検討します。

 

③ 人材の流動性をどう高めていけるかも論点となっています。

 

(4) デジタル人材市場における必要な人材の確保に向け、人材のスキルを見える化しマッチ ングを可能とする仕組みについての検討

 

Ⅱ 今後の検討の方向性

 

今後の検討の進め方を以下のように取りまとめています。

「DXレポート2 中間取りまとめ」より抜粋。

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