» 偶発事象はどのように扱えばよいのでしょうか?~「偶発事象の会計処理および開示に関する研究報告(公開草案)」より
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偶発事象はどのように扱えばよいのでしょうか?~「偶発事象の会計処理および開示に関する研究報告(公開草案)」より

偶発事象はどのように扱えばよいのでしょうか?~「偶発事象の会計処理および開示に関する研究報告(公開草案)」より

日本公認会計士協会(会計制度委員会)は、平成30年12月14日付で会計制度委員会研究報告「偶発事象の会計処理及び開示に関する研究報告」(公開草案)(以下「本公開草案」という。)を公表しています。

 

本公開草案の主な検討内容

日本公認会計士協会は、我が国のこれまでの偶発事象に関する会計上の考え方を整理するとともに、主として次のような検討を行っています。

 

1.我が国の偶発事象に関する現在の会計上の取扱いについての考察

 

2.有価証券報告書に記載されている偶発事象関連の引当金の計上の状況や貸借対照表

の注記における開示状況の調査と、偶発事象を財務諸表に開示又は引当金を認識する時点のタイミングについての考察

 

3.IFRSの概要の確認とIFRSを任意適用している我が国の企業の実務についての考察

 

検討内容

偶発事象については、時間の経過とともに、損失の発生の可能性についての判断の精度と損失金額の見積りの精度は両者ともに高まると考えられるため、監査・保証実務委員会実務指針第61号「債務保証及び保証類似行為の会計処理及び表示に関する監査上の取扱い」(最終改正:平成23年3月29日)(以下「監保実第61号」という。)の取扱いを偶発債務に広く適用すれば、時間が経過するにつれて、企業は、開示不要という状況から偶発債務の注記、その後の引当金の計上の会計処理をするという基本的な考え方が示されています。

 

しかし、今回の日本公認会計士協会の調査によれば、訴訟、違法行為及び損害補償の事象については、引当金を計上する前に、貸借対照表に偶発債務に係る注記を行う事例は少数にとどまっていることが確認されています。

 

今後の取扱いとしては、監保実第61号を、債務保証及び保証類似行為以外の偶発債務の会計処理の参考にすることが考えられる旨と、以下の留意点が示されています。

 

  1. 監保実第61号は、平成23年3月に改正を行ってはいるものの、平成11年2月に公表されたものであり、既に公表から長い時間が経っているため、当時の考え方が現在においても適切であるかを検討する必要がある旨
  2. この検討に当たっては、現在、我が国においては存在していない偶発事象全般に関する会計基準を新たに開発することを目標に検討されることが望ましい旨
  3. この検討に当たっては、①財務諸表の比較可能性 ②開示の適切性 ③開示の充実の観点についても考慮すべきである旨

 

①財務諸表の比較可能性

財務諸表の比較可能性という観点からは、どの程度の発生可能性をもって注記による開示をすべきなのか、引当金を計上すべきなのかの基準が揃っていないと、同じような事象であっても企業によって注記の有無が異なり、結果として財務諸表の比較可能性が損なわれることから、どの程度の損失の発生可能性と損失金額の見積りの可能性があれば、注記による開示や引当金の計上を要するのかについての指針(ガイダンス)を提供することが有効である旨が記載されています。

 

② 開示の適切性

仮に財務諸表利用者への迅速な情報開示という観点をより優先するのであれば、訴訟や違法行為、損害補償の事象が発生したことをもって、発生した事実については、網羅的に偶発事象の注記を求めるという取扱いが考えられる旨が記載されています。

その一方で、係争事件に係る賠償義務のような偶発債務については、訴訟を受けた時点や賠償責任の可能性が生じた初期段階では、負担となる可能性及び金額の見積りを行うには、情報が不十分であり、引当金の計上及び注記による開示のいずれであっても、財務諸表の利用者に対して不正確・不確実な情報を提供する可能性があることから、情報開示の適時性の側面と正確性・確実性の側面のバランスに留意する必要がある旨が記載されています。

 

また、有価証券報告書の【経理の状況】の「その他」や、IFRSにおける取扱いについても記載されています。

 

③ 開示の充実

財務諸表利用者の予測可能性を高めるために、注記や引当金計上を行うに当たっては、何を契機に注記や引当金計上が必要と判断したのかについての企業の判断を併せて記載することが、財務諸表を理解する上で有用である旨が記載されています。

 

一方で、訴訟関連、違法行為関連及び損害補償関連のような偶発債務については、その事実を開示することにより、企業に不利な影響をもたらす可能性があるとの指摘が記載されています。

時系列分析の結果によれば、実際に、偶発債務についての注記を開示している企業の数が極めて少数となっていることから、企業の立場が著しく不利になると予想できる場合、係争の全般的な内容と情報を開示しなかった旨及びその理由を記載した上で、開示を免除するというような配慮を定めることも有用である可能性がある旨が記載されています。

 

適用時期等

研究報告は、実務指針と異なり、規範性はないため、あくまで参考としての位置付けとなります。

また、研究報告という性格から適用時期は特に示されていませんが、公表日から適用となるものと考えられます。

 

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