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取締役会の活性化と監査役の役割~取締役会評価の視点から

取締役会の活性化と監査役の役割~取締役会評価の視点から

1.取締役の業務執行の監査

 

監査役の権限と責務は、取締役の職務執行を監査することです(会社法381条1項)。

従って、監査役としては、個別に事業部門の業務監査を行うことにとどまらず、取締役会における業務執行の意思決定の適正性や取締役が他の取締役の職務執行を監督する善管注意義務を果たしているかについても、業務監査の一環として監視・確認する必要があります。

このために、監査役は取締役会に出席し意見陳述する義務が規定されています(会社法383条1項)。

また、取締役の不正の行為や法令・定款違反等の事実を認めるときには、取締役に対して、取締役会の招集請求や自ら取締役会を招集する権利も付与されています(会社法383条2項・3項)。

このように、監査役は取締役会とは深い関わりがあることから、自社の取締役会がガバナンスの視点から有効に機能しているか否か、その評価の観点からも関わりを持つことが大切です。

 

2.取締役会評価と監査役の関わり

 

(1)コーポレートガバナンス・コードの原則

 

コーポレートガバナンス・コードでは、「取締役会は、取締役会全体としての実効性に関する分析・評価を行うことなどにより、その機能の向上を図るべきである」(原則4-11)とした上で、「取締役会は、毎年、各取締役の自己評価なども参考にしつつ、取締役会全体の実効性について分析・評価を行い、その結果の概要を開示すべきである」(補充原則4-11③)と記載しています。

 

(2) 取締役会評価のポイント

 

取締役会の活性化は、ガバナンスの観点から重要なことであり、監査役の視点から自社の取締役会の評価に積極的に関わっていく姿勢が必要です。

評価に当たって考慮すべきポイントとしては、以下の点が考えられます。

 

①取締役会において、質疑が活発に行われているか否か。

 

特に、社外役員が積極的に発言するための体制整備が出来ているかが評価のポイントとなります。

取締役会における社外役員の有益な発言による取締役会の活性化のためには、重要な議題・議案について社外役員に対する事前説明が行われていることが重要となります。

また、資料そのものについても、社内特有の表現や業界用語を多用するのではなく、社外役員が理解できるような工夫がされていることにも留意する必要があります。

さらに、取締役会の場において、社外役員が必ず発言する機会を確保するために、取締役会議長から社外役員に対して、議題ごとに発言の有無を確認するなど、必要に応じて発言を促すような取締役会運営が行われているかも評価のポイントとなります。

 

②議題の選択と審議状況。

 

取締役会において、ガバナンス関係や重要な経営方針についての審議が十分に時間をかけて行われているかということになります。

報告事項に時間を取られて、本来十分に審議すべき議題・議案が表面的な説明と承認・決議とならないことが大切です。

このためにも、取締役会で十分な意見交換や審議を行うべき事項について、社外役員を含めて役員間で共有化されていることが重要です。

取締役会で時間をかけて審議すべき重要項目を、あらかじめ取締役会で確認している会社もあります。

 

③報酬諮問委員会や指名諮問委員会等の任意の委員会の答申に対して、取締役会が尊重する体制となっているか。

 

近頃は、任意の諮問委員会を設置する会社数が増加していますが、委員会での答申を踏まえて取締役会で十分に議論し活用するということが重要になります。

 

(3)取締役会評価

 

取締役会評価の方法については、アンケート方式(質問形式)、役員への個別ヒアリング方式、第三者委員会に評価を委ねる方式が考えられます。

どの方式を採用するにしても、あらかじめ取締役会の評価基準を取締役会で十分に審議し、その評価基準に基づいて毎年確認するという手順が確立し、最終的にはその概要を開示する実務が定着すれば、取締役会の活性化に向けて前進するものと思われます。

 

3.取締役会の活性化

 

監査役(会)と取締役会は、会社のガバナンス機関として両輪となるものです。

監査役は取締役会が適切に運用されているかを再確認し、監査役としてガバナンスの視点から、取締役会の活性化に向けた評価に積極的に関わっていくことが期待されています。

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