投資判断に用いるROIC(投下資本利益率) | 社外財務部長 原 一浩
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投資判断に用いるROIC(投下資本利益率)

投資判断に用いるROIC(投下資本利益率)

1.ROICとは

 

ROIC(Return on Invested Capital)は、投下資本利益率です。

 

企業は、事業を行うための資本を有利子負債と株主資本から調達しており、この調達した資本を効率的に運用しているかを測る指標がROICです。

 

ROICは、以下の算式で計算します。

 

RIOC=税引き後営業利益÷投下資本(有利子負債+株主資本)

 

ROICは、事業活動の成否を見るための指標なので、営業利益が使用されます。

株主への分配や借入金の返済は、税引き後のキャッシュからなされるので、税引き後営業利益が使用されます。

この場合、税金の額は、便宜的に損益計算書上の税金の額を使う場合や実効税率を用いる場合があります。

 

2.営業利益と減損損失

 

減損損失は、投下した資本が回収できなくなる見込みの時に、回収できなくなる金額を損失計上する会計処理です。

 

日本の会計基準では、減損損失は、特別損失に計上される場合が多くなっています。

 

減損損失は、まさに、事業活動の失敗によるものといえます。

ROICは、事業活動の成否を見るための指標ですので、減損損失を、営業利益に全く影響させなくてよいのかという議論が生じます。

 

減損損失を営業利益に負担させることが考えられますが、減損損失を計上した期のみに負担させると、本来の収益力がわからなくなるという懸念があります。

 

この場合には、減損損失を営業利益に負担させた後の営業利益の3年から5年の平均値を用いることが考えられます。

 

3.ROIC、ROE、ROA

 

ROICについては、前述しました。

ROEは、株主資本利益率です。当期純利益を株主資本で割ったものになります。

ROAは総資本利益率です。当期純利益を総資産で割ったものになります。

 

ROEは調達資本の構成によって左右されるため、比較的操作がしやすいと言われています。

ROAは、総資産なので、操作はされにくくなっています。ただし、資金調達面では投下資本に加えて、事業負債も考慮しなければなりませんが、このあたりの事情を反映できないと言われています。

 

ROICは、「営業利益÷投下資本」 ですので、資本構成の影響を受けません。

また、事業負債を除いた投下資本を用いているので、資本提供者から見た適切なリターンとなっています。

ROICは、ROEとROAの欠点を解決したものとなります。

 

 

4.ROICとWACC

 

WACCは、加重平均資本コストで、有利子負債のコストと株主資本のコストを加重平均したものです。

 

資本の調達コスト(WACC)以上に、資本を使って利益を得ることができれば、すなわち、ROICがWACCを上回っていれば、企業に利益が残ることになります。

 

企業の利益指標としてROICがWACCを超えているかを判断する場合、簿価ベースの株主資本と時価ベースの株主資本では様子が違ってきます。

 

上場している企業の場合、株主は現在の株価水準に対してのリターンを求めます。

つまり時価総額は、純資産×PBRとなり、株主が要求するリターンの水準が異なってきます。

 

必要なリターンは、以下のようになります。

必要なリターン=(有利子負債+純資産×PBR)×WACC 

 

この場合の必要なROICは、以下のようになります。

必要なROIC=必要なリターン÷(有利子負債+株主資本)

 

これを単純化すると、以下のようになります。

修正ROIC=税引き後営業利益÷(有利子負債+時価総額)

 

この修正ROICとWACCを比較して資本効率を判断することになります。

 

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