有価証券報告書において開示される「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」~改正開示府令 | 社外財務部長 原 一浩
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有価証券報告書において開示される「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」~改正開示府令

有価証券報告書において開示される「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」~改正開示府令
  1. 「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に関する改正開示府令の内容

 

(1)金融庁ディスクロージャー・ワーキング・グループ報告(以下、DWG報告)の指摘

 

① 経営方針及び経営戦略に関する開示は、全体としてみると、企業の中長期的なビジョンに関する具体的な記載が乏しい

 

② MD&Aやリスク情報との関連付けがない等の企業が相当程度みられる

 

(2)改正開示府令での対応

 

有価証券報告書の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」で記載が求められる経営方針・経営戦略等の記載に当たっては、経営環境についての経営者の認識の説明を含めた上で、事業の内容と関連付けた記載を求めることとされました。

 

(経営環境)

企業構造

事業を行う市場の状況

競合他社との競争優位性

主要製品・サービスの内容

顧客基盤

販売網等

 

2. 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等に関する「記述情報の開示に関する原則」の内容

 

(1)経営方針・経営戦略等

 

① 法令上記載が求められている事項

 

経営方針・経営戦略等の記載においては、経営環境(例えば、企業構造、事業を行う市場の状況、競合他社との競争優位性、主要製品・サービスの内容、顧客基盤、販売網等)についての経営者の認識の説明を含め、企業の事業の内容と関連付けて記載することが求められています。

 

② 考え方

ア) 経営方針・経営戦略等は、企業がその事業目的をどのように実現していくか、どのように中長期的に企業価値を向上するかを説明するものです。

 

イ) 経営方針・経営戦略等については、投資家がその妥当性や実現可能性を判断できるようにするため、企業活動の中長期的な方向性のほか、その遂行のために行う具体的な方策についても説明することが求められます。

 

ウ) また、経営方針・経営戦略等については、背景となる経営環境についての経営者の認識が併せて説明される必要があります。

これにより、投資家は、以下の点を評価することが可能となります。

 

・当該認識の妥当性

・経営方針・経営戦略等の実現可能性

 

③ 望ましい開示に向けた取組み

 

ア) 経営方針・経営戦略等

記述情報の中でも特に経営判断の根幹となるものであり、開示に当たっては、以下の点が期待されます。

 

・経営者が作成の早期の段階から適切に関与すること

・取締役会や経営会議における議論を適切に反映すること

 

イ) 経営方針・経営戦略等におけるセグメントごとの記載

事業全体の経営方針・経営戦略等と併せて、それらを踏まえた各セグメントの経営方針・経営戦略等を開示することが期待されます。

セグメントの記載に当たっては、各セグメントにおける具体的な方策の遂行に向け、資金を含めた経営資源がどのように配分・投入されるかを明らかにすることが望まれます。

 

ウ) 経営環境についての経営者の認識の説明

投資家がセグメントごとの経営方針・経営戦略等を適切に理解できるようにするため、各セグメントに固有の経営環境についての経営者の認識も併せて説明されることが望まれます。

例えば、企業構造、事業を行う市場の状況、競合他社との競争優位性、主要製品・サービスの内容、顧客基盤、販売網等。

 

(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 

① 法令上記載が求められている事項

 

優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題の開示においては、その内容・対処方針等を経営方針・経営戦略等と関連付けて具体的に記載することが求められています。

 

② 考え方

 

ア) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は、事業を行う市場の構造的変化や、事業に与える影響が大きい法令・制度の改変など、経営成績等に重要な影響を与える可能性があると経営者が認識している事柄を説明するものです。

 

イ) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題の開示により、投資家は、経営者による課題認識の適切性や十分性、経営方針・経営戦略等の実現可能性を評価することが可能となります。

 

③ 望ましい開示に向けた取組み

 

ア) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題の説明は、その課題の重要性を明らかにするため、経営方針・経営戦略等との関連性の程度や、重要性の判断等を踏まえて記載することが考えられます。

 

イ) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題については、当該課題決定の背景となる経営環境についての経営者の認識を説明することも考えられます。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 

① 法令上記載が求められている事項

 

経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等(いわゆるKPI)がある場合には、その内容を開示することが求められています。

 

② 考え方

 

ア) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等(KPI)

ROE、ROICなどの財務上の指標(いわゆる財務KPI)のほか、契約率等の非財務指標(いわゆる非財務KPI)も含まれます。

 

イ) 開示に当たっては、企業は経営方針・経営戦略等に応じて設定しているKPIを開示に適切に反映することが求められます。

 

ウ) KPIの開示は、投資家が企業の経営方針・経営戦略等を理解する上で重要であり、これが開示されることにより、経営方針・経営戦略等の進捗状況や、実現可能性の評価等を行うことが可能となります。

 

③ 望ましい開示に向けた取組み

 

ア) KPIを設定している場合には、その内容として、目標の達成度合いを測定する指標、算出方法、なぜその指標を利用するのかについて説明することが考えられます。

 

イ) また、合理的な検討を踏まえて設定された経営計画等の具体的な目標数値を記載することも考えられます。

 

ウ) セグメント別のKPIがある場合には、その内容も開示することが望まれます。

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