社内におけるコミュニケーション~会計監査人及び内部監査部門との連携~「公認会計士社外監査役等の手引き」より | 社外財務部長 原 一浩
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社内におけるコミュニケーション~会計監査人及び内部監査部門との連携~「公認会計士社外監査役等の手引き」より

社内におけるコミュニケーション~会計監査人及び内部監査部門との連携~「公認会計士社外監査役等の手引き」より

2020年7月に日本公認会計士協会社外役員会計士協議会から「公認会計士社外監査役等の手引き」が公表されました。

その中から「社外監査役等の社内におけるコミュニケーション」を見てみましょう。

 

1.コミュニケーションの対象者

 

社外監査役等は次のように多様な関係者とのコミュニケーションを図ることが重要です。

 

・経営陣(社長・CEO、CFO 等)

・部門責任者、子会社経営者

・社内取締役、社外取締役

・常勤監査役等他の社内監査役等、社外監査役等

・親会社や子会社の監査役等

・内部監査部門

・従業員

・その他関係者

 

2.コミュニケーションの場

 

(1)コミュニケーションの形態

 

コミュニケーションの場として、取締役会等の会議、個別面談、懇談会等、様々な形態があります。

 

(2)連絡会等

 

社外役員連絡会、グループ監査役等連絡会等を設けている会社もあります。

会社の状況に応じて、これらの機会を適宜利用するとともに、これらの場を設けるように自ら働きかけることも考えられます。

 

3.三様監査

 

(1)三様監査の担い手

 

監査役等に内部監査部門、外部監査人を加えた三様監査(監査役等の監査、内部監査、外部監査)の連携がコーポレートガバナンスのモニタリング機能の核になります。

 

三様監査の担い手は次のように立場が異なります。このような立場の違いをふまえた連携がお互いの監査に有益となります。

 

①監査役等

非業務執行役員として経営者の職務執行を監督・監査

 

②内部監査人

通常、経営者直属

 

③外部監査人

経営者から独立した会社外部の第三者

 

(2)企業グループの場合

 

企業グループの場合には、グループ本社及び各グループ会社において三様監査が重層的に存在します。

 

グループの組織構造に応じて企業グループ全体及び各グループ会社のレベルで三様監査の連携体制を構築する必要があります。

 

4.監査役等と内部監査部門との連携

 

監査役等の監査で実務上極めて重要な課題が内部監査部門との連携です。

 

(1)監査委員会、監査等委員会

 

監査委員会と監査等委員会の場合には常勤委員の選任は求められておらず、内部統制システムを通じた監査、すなわち内部監査部門との連携による監査が想定されています。

 

(2)監査役

 

監査役の場合には、独任制による自ら実施する監査を基本とし、監査役会設置会社の場合には常勤監査役設置が法定されていることから、内部監査部門との連携が制度上担保されているわけではありません。

監査役の場合には、個社ごとに内部監査部門と連携について合意しておく必要があります。

 

5.監査役等と会計監査人の連携

 

(1)監査役等の会計監査人に対する責任と権限

 

①会計監査人の評価、独立性と専門性の確認(コーポレートガバナンスコード 補充原則 3-2①)

 

②会計監査人の品質管理・監査実施状況の監視・検証

 

③会計監査人の監査の方法・結果の相当性判断

 

④会計監査人の監査報酬についての同意権

 

⑤会計監査人の選解任・不再任議案の内容決定権

 

(2)会計監査人の対応

 

会計監査人は上記のような監査役等の権限行使に適切に対応しなければなりません。

同時に、不正リスクについて、会計監査人は監査役等に対して次の義務を持つことに留意して、主体的に対応する必要があります。

 

①会計監査人は、監査の各段階において適切に監査役等と協議する等、監査役等と連携を図らなければなりません。

 

②会計監査人は、不正や違法行為の疑義がある場合、速やかに監査役等に報告し、必要となる監査手続等について協議しなければなりません。

 

③会計監査人は、経営者の関与が疑われる不正を発見した場合、監査役等に報告し、協議の上、経営者に適切な措置を求めなければなりません。

 

(3)金融商品取引法上の内部統制監査

 

監査役等は、その多くが会社法上の会計監査人でもある金融商品取引法上の監査人による内部統制監査における統制環境及びモニタリングの評価の一環として、その監査の状況の評価を受けることになります。

 

(4)監査役等と会計監査人の相互評価

 

上記のように、監査役等と会計監査人は相互評価する立場にあります。

この立場関係を理解の上連携を図ることがお互いの監査にとって有益でありコーポレートガバナンスの強化にも貢献することになると考えられます。

 

(5)監査役等と会計監査人との連携

 

監査役等と会計監査人は、以下のような場面を利用して連携を取ります。

 

①会計監査人の監査報告(計画・期中・期末)

 

②定例会議(月次ミーティング又は四半期毎等)

 

③お互いの監査に影響する事項( KAM その他)についての情報交換・意見交換

 

④不正リスクについての協議

 

⑤その他、随時、情報交換・意見交換

 

6.監査役等と内部監査部門の連携

 

(1)監査役等と内部監査部門の連携の必要性

 

内部監査には、経営への貢献と同時にガバナンスへの貢献も求める動きが世界的に強まっています。

 

社内の監査実行部隊である内部監査部門を監査役等の監査で活用することは、監査役等の監査の実効性を高める上で重要です。

 

内部統制を通じた組織的監査を想定した監査委員会及び監査等委員会の監査はもとより、監査役の監査においても内部監査部門との連携は必須となっています。

 

(2)監査役等と内部監査部門との連携のポイント

 

①定期的な情報交換

 

・定例会議や個別案件ごとの情報交換会を実施する。

 

②計画段階での連携

 

・監査役等の要望事項を内部監査部門に伝える。

 

・必要に応じて往査先や往査日程について調整する。

 

③内部監査実施段階における連携

 

・事前の意見交換会、監査終了時の講評会に監査役等も参加する。

 

④監査報告段階における連携

 

・監査結果についてお互いに伝達し、意見交換を行う。

 

(3)監査役等と内部監査部門の信頼関係

 

監査役等と内部監査部門の連携には信頼関係に基づく緊密なコミュニケーションが重要です。

 

内部監査人の信頼を得るためには、監査役等の監査についての知見と監査役等の経営者に対する姿勢が重要であると言われています。

 

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