自社利用のソフトウェアの会計処理 | 社外財務部長 原 一浩
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自社利用のソフトウェアの会計処理

自社利用のソフトウェアの会計処理

自社利用のソフトウェアに関する会計処理は、平成10年3月13日に企業会計審議会により「研究開発費等に係る会計基準」(以下、本基準)が公表されています。

また、日本公認会計士協会は、平成11年3月31日(最終改正:平成26年11月28日)に「研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針」(以下、本実務指針)を公表しています。

 

1.ソフトウェアの定義

ソフトウェアとは、コンピュータを機能させるように指令を組み合わせて表現したプログラム等を言います。その範囲としては、以下になります。

(1)コンピュータに一定の仕事を行わせるためのプログラム

(2)システム仕様書、フローチャート等の関連文書

 

なお、ソフトウェアがコンピュータに一定の仕事を行わせるプログラム等であるのに対し、コンテンツはその処理対象となる情報の内容であり、それぞれ別個の経済価値を持つものであることから、コンテンツはソフトウェアに含めないこととされています。

 

コンテンツの例としては、データベースソフトウェアが処理対象とするデータや、映像・音楽ソフトウェアが処理対象とする画像・音楽データ等が挙げられています。

 

2.研究開発費に係る会計処理

研究開発費はすべて発生時に費用処理しなければならず、ソフトウェア制作費のうち、研究開発に該当する部分も研究開発費として費用処理します。

 

3.研究開発費に該当しないソフトウェア制作費にかかる会計処理

ソフトウェアの制作費は、その制作目的により、将来の収益との対応関係が異なること等から、ソフトウェア制作費に係る会計基準は、取得形態(自社製作、外部購入)別ではなく、制作目的別に設定することとしています。

 

研究開発費に該当しないソフトウェア制作費の会計基準を制作目的別に定めるにあたっては、販売目的のソフトウェアと自社利用のソフトウェアとに区分し、販売目的のソフトウェアをさらに受注制作のソフトウェアと市場販売目的のソフトウェアに区分することとしています。

 

これは制作目的に応じて、将来の収益との対応関係が異なることに着目しているためといえます。

 

4.自社利用ソフトウェアにかかる会計基準

 

(1)資産計上の要件

ソフトウェアの提供または利用により、将来の収益獲得または費用削減が確実であると認められる場合には、適正な原価を集計して当該ソフトウェアの製作費を無形固定資産として資産計上するか、または、取得に要した費用を無形固定資産として資産計上しなければならない、としています。

 

機械装置に組み込まれているソフトウェアは、当該機械装置に含めて処理します。

 

制作途中のソフトウェアは、無形固定資産の仮勘定として計上されます。

 

ソフトウェアが資産計上される場合の一般的な例示は、以下のとおりです。

 

① 通信ソフトウェア又は第三者への業務処理サービスの提供に用いるソフトウェア等を利用することにより、会社が、契約に基づいて情報等の提供を行い、受益者からその対価を得る場合

 

② 自社で利用するためにソフトウェアを制作し、当初意図した使途に継続して利用することにより、利用する前と比較して会社の業務を効率的又は効果的に遂行することができると明確に認められる場合

 

③ 市場で販売しているソフトウェアを購入し、かつ、予定した使途に継続して利用することによって、会社の業務を効率的又は効果的に遂行することができると認められる場合

 

(2)資産計上の考え方

将来の収益獲得又は費用削減が確実である自社利用のソフトウェアについては、将来の収益との対応等の観点から、その取得に要した費用を資産として計上し、その利用期間にわたり償却を行うべきと考えられます。

したがって、ソフトウェアを用いて外部に業務処理等のサービスを提供する契約が締結されている場合や完成品を購入した場合には、将来の収益獲得又は費用削減が確実と考えられるため、当該ソフトウェアの取得に要した費用を資産として計上することとしています。

 

また、独自仕様の社内利用ソフトウェアを自社で制作する場合又は委託により制作する場合には、将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められる場合を除き費用として処理することとなります。

 

ソフトウェアを用いて外部へ業務処理等のサービスを提供する契約等が締結されている場合のように、その提供により将来の収益獲得が確実であると認められる場合には、適正な原価を集計した上、当該ソフトウェアの制作費を資産として計上しなければなりません。

 

 

(3)資産計上の開始時点

 

資産計上の開始時点は、将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められる状況になった時点であり、そのことを立証できる証憑に基づいて決定します。

 

立証できる証憑の具体例としては、ソフトウェアの制作予算が承認された社内稟議書、ソフトウェアの制作原価を集計するための制作番号を記入した管理台帳等が挙げられます。

 

なお、ソフトウェアの制作開始時点においては、将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められず費用処理していたものの、その後一定時点で将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められた場合には、その一定時点以降に発生した制作費についてソフトウェアとして資産計上することとなります。

過去に費用処理された部分については資産計上しません。

 

(4)資産計上の終了時点

 

資産計上の終了時点は実質的にソフトウェアの制作作業が完了したと認められる状況になった時点であり、そのことを立証できる証憑に基づいて決定します。

 

立証できる証憑の具体例としては、ソフトウェア作業完了報告書、最終テスト報告書等が挙げられます。

 

(5)自社利用ソフトウェアの償却

 

資産計上された自社利用のソフトウェアについては、その利用の実態に応じて最も合理的な減価償却の方法を採用すべきとされています。一般的には定額法が合理的とされています。

 

耐用年数は、当該ソフトウェアの利用可能期間によるべきですが、原則として5年以内の年数としており、5年を超える場合には、合理的根拠に基づくことが必要とされます。

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