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中小企業向けの施策 少額減価償却資産の特例、中小企業経営強化・投資促進税制

1.少額減価償却資産の特例

取得価額が 30万円未満の減価償却資産を導入した場合、合計額 300万円を限度として、全額損金に算入することができます。

 

(1)対象となる方

青色申告書を提出する、資本金又は出資金の額が1億円以下の法人等又は常時使用する従業員の数が1,000人以下の個人

 

資本金又は出資金の額が1億円以下の法人等であっても、次の法人は本税制の適用を受けることができません。

①大規模法人(資本金又は出資金の額が1億円超の法人、大法人の100%子法人等)から2分の1以上の出資を受ける法人

②2以上の大規模法人から3分の2以上の出資を受ける法人

③常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人

④税制の適用を受けようとする事業年度における平均所得金額(前3事業年度の所得金額の平均)が年15億円を超える法人

 

大法人とは、資本金5億円以上の法人、相互法人・外国相互会社(常時使用する従業員が1,000人超のもの)又は受託法人 をいいます。

 

(2)対象となる設備

取得価額が30万円未満の減価償却資産

 

(3) 措置の内容

30万円未満の減価償却資産を取得した場合、当該減価償却資産の合計額300万円を限度として、全額損金算入することができます。

 

(4)手続の流れ

確定申告書に必要事項を記載し、最寄りの税務署に申告します。

 

(5)適用期間

令和2年3月31日まで

 

2.中小企業経営強化税制

中小企業等経営強化法に基づき、認定を受けた経営力向上計画に従って行われた、一定の設備投資について、即時償却又は税額控除の適用を受けることができます。

 

(1)対象となる方

青色申告書を提出する、資本金又は出資金の額が1億円以下の法人等又は常時使用する従業員の数が1,000人以下の個人であって、中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けたもの

 

(2)対象となる設備

下記の設備であって、指定事業の用に供するものが対象となります。

 

【設 備】

①生産性向上設備(A類型)

・旧モデルと比較し、生産性 が年平均1%以上向上する設備投資

 

・機械装置(160万円以上) 測定工具及び検査工具 (30万円以上) 器具備品(30万円以上 ) 建物附属設備(60万円以上) ソフトウェア(70万円以上)

 

②収益力強化設備(B類型 )

・収益率が年平均5%以上の投資計画に係る設備

 

・機械装置(160万円以上) 工具(30万円以上) 器具備品(30万円以上 ) 建物附属設備(60万円以上) ソフトウェア(70万円以上)

 

【確認者】

工業会等 経済産業局

 

【その他要件】

①生産等設備を構成するものであること(事業の用に直接供される設備が対象)

②国内への投資であること

③中古資産・貸付資産でないこと 等

 

 【指定事業】

中小企業投資促進税制及び商業 ・サービス業 ・農林水産業活性化税制のそれぞれの対象事業に該当する全ての事業

 

(3)措置の内容

即時償却又は取得価額の10%の税額控除 (資本金又は出資金の額が3千万円を超える法人は7%)の適用を受けることができます。

なお、所有権移転外ファイナンス・リース取引により導入した設備は、税額控除の適用のみ受けることができます。

 

(4)適用期間

令和 3 年 3 月 31 日まで

 

3.中小企業投資促進税制

 

機械装置等を導入した場合、特別償却又は税額控除の適用を受けることができます。

 

(1)対象となる方

青色申告書を提出する、資本金又は出資金の額が1億円以下の法人等又は常時使用する従業員の数が1,000人以下の個人

 

資本金又は出資金の額が1億円以下であっても、次の法人は本税制の措置を受けることができません。

①大規模法人(資本金又は出資金の額が1億円超の法人、大法人の100%子法人等)から2分の1以上の出資を受ける法人

②2以上の大規模法人から3分の2以上の出資を受ける法人

③適用を受けようとする事業年度における平均所得金額(前3事業年度の所得金額の平均)が年15億円を超える法人(平成31年4月1日以降に開始する事業年度決算から適用されます。)

 

大法人は、資本金5億円以上の法人、相互法人・外国相互会社(常時使用する従業員が1,000人超のもの)又は受託法人をいいます。

 

(2)対象となる設備

下記の設備であって、指定事業の用に供するものが対象となります。

・機械装置(160万円以上)

・測定工具及び検査工具(120万円以上又は30万円以上かつ複数台計120万円以上)

・一定のソフトウェア(70万円以上又は複数合計70万円以上 )

・普通貨物自動車 (車両総重量3.5t以上 )

・内航船舶 (対象は取得価額の75%)

※ 中古品、貸付の用に供する設備は対象外です。

 

【指定事業】

製造業、建設業、鉱業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業 、小売業、料理店業その他の飲 食店業 (料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業を除く)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業及び沿海運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、こん包業、郵便業、損害保険代理業、情報通信業、駐車場業、学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業、洗濯・理容・美容 ・浴場業、その他の生活関連サービス業、映画業、教育、学習支 援業、医療、福祉業、協同組合、サービス業 (廃棄物処理業、自動車整備業、機械等修理業、職業紹介・労働者派 遣業、その他の事業サービス業 )、農業、林業、漁業、水産養殖業 (注 風俗営業法上の性風俗関連特殊営業に該当するものを除く)

 

(3)措置の内容

取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除の適用を受けることができます(ただし、資本金又は出資金の額が3千万円を超える法人は、特別償却の適用のみ受けることができます)。

なお、所有権移転外ファイナンス・リース取引により導入した設備は、税額控除の適用のみ受けることができます。

 

(4)手続の流れ

確定申告書等に必要事項を記載し、最寄りの税務署に申告します。

 

(5)適用期間

令和 3 年 3 月 31 日まで

 

中小企業向けの施策 事業再生保証制度、事業再生円滑化関連保証制度

事業再生支援制度を利用することにより、法的手続や公的機関を利用した私的整理手続による再建計画の途上にある中小企業者に対して信用保証協会が保証を行うことによって、事業再生の円滑な進ちょくを図ることができます。

 

Ⅰ 事業再生保証制度(DIP保証制度)

1.対象となる方

次の(1)、(2)及び(3)のいずれにも該当する中小企業者の方

 

(1)次の①又は②のいずれかに該当する方

①再生事件又は更生事件が係属している方

②民事再生法(平成 11 年法律第 225 号)第 188 条第 1 項の規定に基づき再生手続終結の決定を受けた方(再生計画が遂行された場合その他の経済産業省令で定める場合を除く)

 

(2)再生計画の認可又は更生計画の認可の決定が確定した後 3 年を経過していない方

 

(3)次の①及び②のいずれにも該当する方

①金融機関及び取引先から取引の支援が得られており、事業の再建に合理的な見通しが認められること

②償還が見込まれること

 

2.支援内容

民事再生法等の法的手続によって再生を行う中小企業の方に対する事業資金の融資を円滑かつ迅速に行うための保証制度です。

民事再生法等の申立から開始決定までに申し込まれた融資についても対応することが可能です。

 

(1)保証限度額・保証割合

保証限度額 :2億円

保証割合:100%

 

(2)保証料率

年率 2.2%

 

(3)担保・保証人条件

原則として法人代表者以外の保証人は徴求しません。

担保が必要になる場合があります。

 

(4)保証期間

10 年以内

 

3.利用方法

保証申込みは、金融機関を通じて申し込むことになります。

民事再生法等の手続開始申立書などの添付書類が必要になります。

 

Ⅱ 事業再生円滑化関連保証制度(プレDIP保証制度)

 

1.対象となる方

金融機関の支援が得られており、事業の再建に合理的な見通しが認められ、次の(1)及 び(2)のいずれかに該当する方

(1)特定認証紛争解決手続(事業再生ADR手続)によって事業再生を図ろうとする方

(2)中小企業基盤整備機構や認定支援機関(中小企業再生支援協議会等)の指導又は助言を受け事業再生を図ろうとする方

 

2.支援内容

民事再生法等の法的手続によらずに再生を行う中小企業の方に対する事業資金の融通を 円滑かつ迅速に行うための保証制度です。

(1)保証限度額・保証割合

保証限度額 :2億8,000万円

普通保険にかかる保証 2億円

無担保保険にかかる保証 8,000万円

特別小口保険にかかる保証 2,000万円以内

中小企業者が組合等の場合 4億8,000万円以内

 

保証割合:80%(部分保証)

特別小口保険の対象となる中小企業者は100%(全額保証)とします。

 

(2)保証料率

年率 1.76%

 

(3)担保・保証人条件

原則として法人代表者以外の保証人は徴求されません。

担保が必要になる場合があります。

 

(4)保証期間

保証期間 3 年以内

 

3.利用方法

保証申込みは、 金融機関を通じて申し込むことになります。

特定認証紛争解決事業者が手続を実施していることが確認できる書面又は中小企業基盤整備機構や認定支援機関が事業再生計画の作成について指導又は助言を開始したことを証する書面等の添付書類が必要になります。

 

中小企業向けの施策 事業再生支援資金、企業再建資金

民事再生などの法的再生や自主再建を図るために必要な資金の融資を受けることができます。

 

1.事業再生支援資金【日本公庫(中小企業事業)】

①対象となる方

(ア)民事再生法の規定による再生手続開始の申立て等を行った方であって、認可決定前の方のうち、一定の要件を満たす方

(イ)民事再生法等に基づく再生計画等の認可等を受けた方及び私的整理に関するガイドラインに沿って私的整理を行う方で、一定の要件を満たす方

 

②支援内容

a)貸付限度

7億2,000万円(うち長期運転資金2億5,000万円)

 

b)貸付利率

上記(ア)基準利率(上限利率3.0%)

上記(イ)基準利率(上限利率3.0%)

 

※基準利率(平成31年1月17日時点。貸付期間5年の場合。) 中小企業事業1.11%

上記利率は、標準的な貸付利率です。適用利率は、信用リスク(担保の有無を含む。)等に応じて所定の利率が適用されます。

 

c)貸付期間

上記(ア)1年

上記(イ)設備資金10年以内、長期運転資金5年以内

 

d)据置期間

上記(ア)1年以内

上記(イ)2年以内

 

2.企業再建資金【日本公庫(中小企業事業・国民生活事業)】

 

①対象となる方

(ア)経営改善、経営再建等に取り組む必要が生じている方であって、一定の要件を満たす方

(イ)金融機関からの事業資金の借入について、弁済に係る負担の軽減を目的とした条件の変更 を行っている方

(ウ)民事再生法に基づく再生計画の認可等を受けた方

(エ)次のいずれかに該当する方

a:中小企業等経営強化法第 26 条第 1 項に定める認定経営革新等支援機関による経営改善計画策定支援事業を利用して経営改善に取り組んでいること。

b:過剰債務の状況に陥っている方が経営改善計画の策定を行い、認定経営革新等支援機関による指導及び助言を受けており、かつ、同計画に対する関係金融機関の合意が確認できる こと。

 

日本公庫(中小企業事業)は、(ア)、(イ)、(エ)を取り扱い、 日本公庫(国民生活事業)は、(ア)~(エ)を取り扱っています。

 

②支援内容

a)貸付限度額:

【日本公庫(中小企業事業)】7億2,000万円

【日本公庫(国民生活事業)】 7,200万円(うち運転資金4,800万円)

 

b)貸付利率:

【日本公庫(中小企業事業)】

(ア)基準利率

再生支援機関の関与の下で事業の再生を行う場合、基準利率-0.4%

産業競争力強化法の認定を受けた中小企業承継事業再生計画に従って事業の再生を行う場合、基準利率-0.65%

(イ)基準利率

(エ)基準利率-0.4%

 

上限利率は、3.0% 、特別利率の適用を受けられる限度額は2億7,000万円 です。

 

【日本公庫(国民生活事業)】

(ア)基準利率

  • 再生支援機関の関与の下で事業の再生を行う場合又は一 定の要件を満たす小規模事業者に対し民間金融機関と日本公庫(国民生活事業)が協調融資を行う場合:基準利率-0.4%
  • 産業競争力強化法の認定を受けた中小企業承継事業の再生計画に従って事業の再生を行う方:基準利率-0.65%

 

(イ)(ウ)基準利率

(エ)基準利率-0.4%

基準利率(平成31年1月17日時点。貸付期間5年の場合。):

中小企業事業1.11%

国民生活事業1.76%

 

上記利率は、標準的な貸付利率です。適用利率は、担保の有無等に応じて所定の利率が適用されます。

 

c)貸付期間:

【日本公庫(中小企業事業)】

設備資金20年以内(うち据置期間2年以内)

長期運転資金15年以内(一定の要件を満たす場合は20年以内、うち据置期間2年以内)

 

【日本公庫(国民生活事業)】

設備資金20年以内(うち据置期間2年以内)

運転資金15年以内(一定の要件を満たす場合は20年以内、うち据置期間2年以内)

 

③取扱金融機関

株式会社日本政策金融公庫(中小企業事業、国民生活事業)、沖縄振興開発金融公庫

 

④利用方法

各機関に必要書類を提出。

 

中小企業向けの施策 IT導入支援事業、競争力強化・経営革新支援事業

1.サービス等生産性向上IT導入支援事業

サービス業を中心とした中小企業、小規模事業者が、新たに生産性向上に貢献する IT ツー ル・ソフトウェアを導入する際に、補助を受けることができます。

 

(1)対象となる方

中小企業、小規模事業者等(飲食、宿泊、小売・卸、運輸、医療、介護、保育等)

 

(2)支援内容

補助対象経費は、 ITツール(ソフトウェア、サービス等) で、ハードウェアは対象外です。

例えば、パッケージソフトの本体費用、クラウドサービスの導入・初期費用等 となります。

 

(3)補助率等:

1/2(上限450万円、下限40万円)

 

(4)募集期間:

令和元年5月27日(月)開始

 

(5)利用方法

①補助事業者(中小事業・小規模事業者)において事業計画を策定

②自分の事業エリアをカバーする、または改善に必要な業務に対応するITツールを取り扱っているIT導入支援事業者をURLで検索

③IT導入支援事業者と相談しつつ、もっとも適したITツール等を決定

④IT導入支援事業者のサポートを受け、申請(電子申請)

⑤交付決定の通知後に、契約・導入の実施

⑥支払い完了後、完了報告を作成・提出

 

 

2.商業・サービス競争力強化連携支援事業

 

地域経済を面的に底上げするため、中小企業者が行う新しいサービスモデルの開発等に対する支援があります。

 

(1)対象となる方

中小企業等経営強化法に基づく「異分野連携新事業分野開拓計画(新連携)」の認定を受け、産学官で連携し、「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」に沿って行う新しいサービスモデルの開発等を行う中小企業者

 

(2)支援内容

サービスモデルの開発等に係る経費 (機械装置費、人件費、マーケティング調査費等)の補助を受けることができます。

 

(3)交付元:経済産業局

①補助金額

初年度3,000万円以下

②補助率

1/2以内 (IoT、AI等の先端技術活用の場合は2/3以内 )

③事業期間

2年 (2年目は、初年度の補助金交付決定額と同額を上限として補助)

 

(4)利用方法

①経済産業局に対し、公募期間中に提案書を提出

②外部有識者で構成される全国採択審査委員会において提案内容が審査され、採択先を決定

③経済産業局から補助金の交付決定通知後、サービス開発等を実施し、終了後、成果を報告

④経済産業局から補助金を受給

 

3.経営革新支援事業

 

中小企業者が、経営の向上を図るために新たな事業活動を行う経営革新計画の承認を受け ると日本政策金融公庫の特別貸付制度や信用保証の特例など多様な支援を受けることができます。

 

(1)対象となる方

事業内容や経営目標を盛り込んだ経営革新計画を作成し、新たな事業活動を行う中小企業者、組合等。

 

なお、経営革新計画は、以下の内容を満たすことについて、都道府県知事又は国の承認を受けることが必要です。

①事業内容

以下の4つのいずれかに該当する取組であること。 (自社にとって新しいものであれば、他社で採用されているものも対象になります。)

-新商品の開発や生産

-新役務 (サービス)の開発や提供

-商品の新たな生産方式や販売方式の導入

-役務 (サービス)の新たな提供方式の導入その他の新たな事業活動

 

②経営目標

3~5年間の事業計画期間であり、付加価値額又は従業員一人当たりの付加価値額が年率3%以上伸び、かつ経常利益が年率1%以上伸びる計画となっていること。

付加価値額は、営業利益+人件費+減価償却費となります。

 

(2)支援内容

経営革新計画の承認を受けると、以下のような支援策が利用できます。

ただし、別途、利用を希望する支援策の実施機関による審査が必要となります。

 

①政府系金融機関の特別利率による融資制度等(海外展開に伴う資金調達支援を含む)

基準利率-0.65%

 

②信用保証の特例

 

③中小企業投資育成株式会社法の特例

 

④販路開拓コーディネート事業

 

(3)利用方法

①経営革新計画を作成する際には、近くの都道府県経営革新計画担当課または経済産業局等に相談します。

②経営革新計画を作成後、都道府県経営革新計画担当課または経済産業局に申請します。

③計画内容を審査後、承認された場合には承認書が交付されます。なお、承認書は、上記の支援策を利用する際に必要になります。

 

中小企業向けの施策 ものづくり等高度連携促進補助金・生産性向上促進補助金

1.ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金

「コネクテッド・インダストリーズ」の取組みを広く普及させるため、また、地域経済を牽引する事業がもたらす地域経済への波及効果をより高めるため、複数の中小企業・小規模事業者等が連携して取り組む生産性向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援する制度です。

 

(1)対象となる方

認定支援機関の全面バックアップを得た事業を行う中小企業・小規模事業者等であり、以下の要件のいずれかに取り組むものであること。

 

①「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」で示された方法で行う革新的なサービスの創出・サービス提供プロセスの改善であり、3~5年で、「付加価値額」年率3%及び「経常利益」年率1% の向上を達成できる計画であること。

 

②「中小ものづくり高度化法」に基づく特定ものづくり基盤技術を活用した革新的な試作品開発・生産プロセスの改善であり、3~5年で、「付加価値額」年率3%及び「経常利益」年率1%の向上を達成できる計画であること。

 

(2)支援内容

中小企業・小規模事業者等が連携して行う新たな付加価値の創造や生産性の向上を図る取組に必要な設備投資等について支援されます。

 

 ①補助金上限額

企業間データ活用型 :2,000万円

地域経済牽引型 :1,000万円

 

②補助率

a)企業間データ活用型:

先端設備等導入計画の認定又は経営革新計画の承認を取得して一定の要件を満たす者は、 補助率 2/3 以内。それ以外の者は補助率 1/2 以内。

 

b)地域経済牽引型 :

地域経済牽引事業計画の承認を取得して一定の要件を満たす者は、補助率 2/3 以内。それ以外の者は補助率 1/2 以内。

 

(3)利用方法

①各地域事務局に、公募期間中に申請書を提出

②外部有識者で構成される審査委員会において提案内容が審査され、採択先が決定

③各地域事務局から補助金の交付決定通知後、試作品・新サービス開発、設備投資等を実施し、終了後、成果を報告

④地域事務局による検査後、全国事務局から補助金を受給

⑤事業終了後5年間の成果を毎年報告

 

2.ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

足腰の強い経済を構築するため、生産性向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行う中小企業・小規模事業者等の設備投資等を支援します。

 

(1)対象となる方

認定支援機関の全面バックアップを得た事業を行う中小企業・小規模事業者等であり、以下の要件のいずれかに取り組むものであること。

 

①「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」で示された方法で行う革新的なサービスの創出・サービス提供プロセスの改善であり、3~5年で、「付加価値額」年率3%及び「経常利益」年率1% の向上を達成できる計画であること。

 

②「中小ものづくり高度化法」に基づく特定ものづくり基盤技術を活用した革新的な試作品開発・生産プロセスの改善であり、3~5年で、「付加価値額」年率3%及び「経常利益」年率1%の向上を達成できる計画であること。

 

(2)支援内容

中小企業・小規模事業者等が行う革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善に必要な設備投資等について支援されます。

 

①補助上限額

一般型 :1,000万円

小規模型:500万円

生産性向上に資する専門家を活用する場合は、補助上限額 30 万円増額します。

 

 ②補助率

a)一般型

先端設備等導入計画の認定又は経営革新計画の承認を取得して一定の要件を満たす者は、 補助率 2/3 以内。それ以外の者は補助率 1/2 以内。

 

b)小規模型

小規模企業者・小規模事業者または常時使用する従業員が 20 人以下の特定非営利活動法人である場合は、補助率 2/3 以内。それ以外の者は補助率 1/2 以内。

 

(3)利用方法

①各都道府県の地域事務局に、公募期間中に申請書を提出

②外部有識者で構成される審査委員会において提案内容が審査され、採択先を決定

③各都道府県の地域事務局から補助金の交付決定通知後、試作品・新サービス開発、設備投資等を実施し、終了後、成果を報告

④地域事務局による検査後、全国事務局が補助金を受給

⑤事業終了後5年間の成果を毎年報告

 

 

中小企業向けの施策 小規模事業者融資制度等の金融サポート(マル経融資等)

1.小規模事業者経営改善資金融資制度(マル経融資)

 

小規模事業者は、経営改善のための資金を無担保・無保証人・低利で融資を受けることができます。

 

(1)対象となる方

常時使用する従業員が20人(商業・サービス業 (宿泊業・娯楽業を除く)の場合は5人 )以下 )の法人・個人事業主の方で、以下の要件をすべて満たす方

 

①商工会・商工会議所の経営指導員による経営指導を原則6カ月以上受けていること

②所得税、法人税、事業税、都道府県民税などの税金を原則として完納していること

③原則として同一の商工会等の地区内で1年以上事業を行っていること

④商工業者であり、かつ、日本政策金融公庫の融資対象業種を営んでいること

 

(2)支援内容

①通常枠

【対象資金】

設備資金 、運転資金

 

【貸付限度額】

2,000万円 (1,500万円超の貸付を受けるには、貸付前に事業計画を作成し、貸付後に残高が1,500万円以下になるまで、経営指導員による実地訪問を半年毎に1回受ける必要があります。)

 

【貸付金利】

平 成31年4月1日 現在 1.21%

金利は変動します。

 

【貸付期間】

設備資金10年以内 (据置期間は2年以内)、 運転資金7年以内 (据置期間は1年以内)

 

【担保・保証人】

不 要

 

②東日本大震災対応特枠、平成28年熊本地震対応特枠、平成30年7月豪雨対応特枠

東日本大震災 、平成28年熊本地震及び平成30年7月豪雨により直接又は間接被害を受 けた小規模事業の方は、上記の通常とは別枠の貸付限度額と、更なる金利引き下げ措置を利用することができます。

 

(3)利用方法

①主たる事業所が所在する地区の商工会・商工会議所へ申込みます。

②申込みを受け付けた商工会・商工会議所において審査し、日本政策金融公庫に融資の推 薦をします。

③日本政策金融公庫の審査を経て、融資が実施されます。

 

 

2.小規模事業者経営発達支援融資制度

 

一定の要件を満たす小規模事業者は、事業の持続的発展のための取組に必要な設備資金及びそれに付随する運転資金について低利で融資を受けることができます。

 

(1)対象となる方

常時使用する従業員が20人(商業・サービス業 (宿泊業・娯楽業を除く)の場合は5人 )以下)の法人・個人事業主の方で、以下の要件をすべて満たす方

 

①経営発達支援計画の認定を受けた商工会 ・商工会議所から、売上の増加や収益の改善、 持続的な経営のための事業計画策定にあたり助言とフォローアップを受けること

 

②地域経済の活性化のために、一定の雇用効果(新たな雇用または雇用の維持 )が認められること

 

③経営者及び従業員の知識、技能、管理能力の向上を図る研修に参加するなど人材の確保・育成に努めていること

 

④商工業者であり、かつ、日本政策金融公庫の融資対象業種を営んでいること

 

(2)支援内容

①対象資金

設備資金及びそれに付随する運転資金

 

②貸付限度

7,200万円(運転資金は4,800万円)

 

③貸付利率

特別利率 (金利は変動します)

 

④貸付期間

設備資金:20年以内(うち据置期間2年以内)

運転資金 :8年以内 (うち据置期間2年以内)

 

小企業者(従業員5人以下)については、設備資金、運転資金とも据置期間3年以内

 

(3)利用方法

①主たる事業所の所在する地区の商工会・商工会議所へ申込みします。

②申込みを受け付けた商工会・商工会議所が日本政策金融公庫に融資の推薦をします。

③日本政策金融公庫の審査を経て、融資が実施されます。

 

中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等

中小企業・小規模事業者等による経営力向上に係る取組を支援するために、中小企業等経営強化法(経営力向上計画)があります。

事業者は事業分野別指針に沿って、「経営力向上計画」を作成し、国の認定を受けた事業者は、税制や金融支援等の措置を受けることができます。

1.対象となる方

中小企業・小規模事業者等

 

2.支援内容

(1)中小企業等の生産性を高めるための政策的な枠組みである「中小企業等経営強化法」では、生産性向上策 (営業活動、財務、人材育成、IT投資等 )を業種毎に 「事業分野別指針」として策定しています。

 

平成31年3月までに製造業の他、卸 ・小売、外食・中食、旅館業、医療、介護、建設など20分野で策定されています。

 

(2)支援措置として、中小企業等強化税制 (即時償却等 )、事業承継等に係る登録免許税・不動産取得税の特例、業法上の許認可の承継の特例等の法的支援、金融支援、補助金との連動があります。

 

3.中小企業等経営強化法に基づく各種の金融支援措置

政策金融機関の低利融資、民間金融機関の融資に対する信用保証、債務保証等により 円滑な資金調達を支援しています。

 

 (1)日本政策金融公庫による低利融資

経営力向上計画の認定を受けた事業者が行う借入について、低利融資(設備資金につい ては特別利率)を受けられます。

 

(2)商工中金による低利融資

経営力向上計画を策定した場合、商工中金の独自の融資制度により、低利融資を受けら れます。

 

(3)中小企業信用保険法の特例

中小企業者は、経営力向上計画の実行にあたり、民間金融機関から融資を受ける際に、 信用保証協会による信用保証のうち、通常の保証とは別枠での保証や保証枠の拡大が受けられます。

 

(4)中小企業投資育成株式会社法の特例

経営力向上計画の認定を受けた場合、通常の投資対象(資本金3億円以下の株式会社)に加えて、資本金額が3億円を超える株式会社も中小企業投資育成株式会社からの投 資を受けることが可能になります。

 

(5)日本政策金融公庫によるスタンドバイ・クレジット

経営力向上計画の認定を受けた中小企業者(国内親会社)の海外支店又は海外現地法人が、日本公庫の提携する海外金融機関から現地通貨建ての融資を受ける場合に、日本公庫が信用状を発行して、当該債務の保証を実施できます。

①補償限度額:1法人あたり最大4億5000万円

②融資期間 :1~5年

 

(6)中小企業基盤整備機構による債務保証

中堅クラスの企業等、信用保険法の特例が措置されていない中小企業者以外の者が、経営力向上計画を実施するために必要な資金について、保証額最大25億円(保証割合50%、 保証料率 有担保0.3%、無担保0.4%)の債務の保証を受けられます。

 

中堅クラスの企業は、以下のように定義されています。

・中堅企業:資本金10億円以下の会社又は従業員数2000人以下の会社及び個人(中小企業者に該当する者を除く)

・医業・歯科医業を主たる事業とする法人(医療法人等)、社会福祉法人、特定非営利活動法人で資本金若しくは出資の総額が10億円以下又は従業員数2000人以下(資本・出資を有しない場合)の法人

 

(7)食品流通構造改善機構による債務保証

食品製造業者等は、経営力向上計画の実行にあたり、民間金融機関から融資を受ける 際に、食品流通構造改善機構による債務の保証を受けられます。

 

監査報告書の記載事項の改訂~記載区分、文例の紹介

Ⅰ.はじめに

「監査基準の改定について」が、2018年7月5日に企業会計審議会から公表されました。

 

経緯の中で、改訂事項について以下のように述べられています。

 

2  報告基準に関わるその他の改訂事項について

国際的な監査基準では、 「監査上の主要な検討事項」 の記載以外にも、 監査報告書の記載内容の明瞭化や充実を図ることを目的とした改訂が行われている。

当審議会は、 我が国においても、 財務諸表利用者の監査及び財務諸表への理解を深めるとともに、 国際的な監査基準との整合性を確保する観点から、 これらの点についても監査基準の改訂を行うこととした。

 

(1)  監査報告書の記載区分等

現行の我が国の監査基準では、監査報告書には、監査の対象、経営者の責任、監査人の責任、 監査人の意見を区分した上で記載することが求められている。

この点に関して、以下の通り改訂を行うこととする。

  監査人の意見を監査報告書の冒頭に記載することとし、記載順序を変更するとともに、新たに意見の根拠の区分を設ける

 経営者の責任を経営者及び監査役等の責任に変更し、 監査役等の財務報告に関する責任を記載する

 

 

また、改訂後の監査基準の報告基準では、以下のように規定されています。

 

第四  報告基準

監査報告書の記載区分

 

1   監査人は、監査報告書において、監査人の意見、意見の根拠、経営者及び監査役等の責任、 監査人の責任を明瞭かつ簡潔にそれぞれを区分した上で、 記載しなければならない。 ただし、 意見を表明しない場合には、 その旨を監査報告書に記載しなければならない。

 

2   監査人は、次に掲げる事項を監査報告書に記載するに当たっては、別に区分を設けて、 意見の表明とは明確に区別しなければならない。

 

(1)継続企業の前提に関する事項

 

(2) 当年度の財務諸表の監査の過程で監査役等と協議した事項のうち、 職業的専門家として当該監査において特に重要であると判断した事項(以下「監査上の主要な検討事項」 という。)

 

(3) 財務諸表の記載について強調する必要がある事項及び説明を付す必要がある事項

 

Ⅱ.監査報告遺書の文例

日本公認会計士協会 監査基準委員会報告書700「財務諸表に対する意見の形成と監査報告」(以下、監基報700)も、監査基準の改定にあわせて改訂されました。監基報700の内容を見てみましょう。

 

1.監査報告書の記載事項

 

監査報告書の記載事項は、以下のようになりました。

 

・監査意見

 

・監査意見の根拠

 

・継続企業の前提に関する重要な不確実性(該当する場合)

 

・監査上の主要根検討事項

 

・追記情報(強調事項、その他の事項)(該当事項がある場合)

 

・財務諸表に対する経営者及び監査役等の責任

 

・財務諸表監査に対する監査人の責任

 

 

2.監査基準委員会報告700「財務諸表に対する意見の形成と監査報告」の文例の前提

《文例1》では、以下の状況を前提として、監査報告書の文例を示しています。

 

・上場企業の適正表示の枠組みに準拠して作成された完全な一組の一般目的の財務諸表の監査である。

 

・当該監査は、グループ監査ではない。

 

・監査契約書において、監査基準委員会報告書210の財務諸表に対する経営者の責任が記載されている。

 

・監査人は、入手した監査証拠に基づいて、無限定適正意見が適切と判断している。

 

・監査人は、入手した監査証拠に基づいて、監査基準委員会報告書570に従って、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関連する重要な不確実性は存在 しないと判断している。

 

・監査基準委員会報告書701に従って、監査上の主要な検討事項を報告することが求められている。

 

・会社は監査役会設置会社である。

 

・監査人は、財務諸表の監査に加えて、法令等に基づくその他の報告責任を有する。

 

 

3.改訂後の文例

 

文例のうち、赤字の箇所が追加記載項目となります。

 

 独立監査人の監査報告書

[宛先]

[監査報告書の日付]

[○○監査法人]

 [事業所名]

[監査人の署名]

 

監査意見

(省略)

 

監査意見の根拠

(省略)

 

監査上の主要な検討事項

監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専 門家として特に重要であると判断した事項である。

監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。

 [監査基準委員会報告書 701 に従った監査上の主要な検討事項の記載]

 

 

財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任

経営者の責任は、[適用される財務報告の枠組み]に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。

これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、[適用される財務報告の枠組み]に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の 執行を監視することにある。

 

 

財務諸表監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤 謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において 独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。

 

虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

 

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程 を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

 

・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。

 

・ 財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、 監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、 監査に関連する内部統制を検討する。

 

・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。

 

経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。

 

継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。

 

監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

 

財務諸表の表示及び注記事項が、[適用される財務報告の枠組み]に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

 

監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で 求められているその他の事項について報告を行う。

 

監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関 する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去又は軽減するためにセーフガードを講じている場合はその内容について報告を行う。

 

監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特 に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。

(以下、省略)

 

 

利害関係

(省略)

 

 

監査上の主要な検討事項(KAM)の記載と関連する監査人と監査役等とのコミュニケーション~

監査基準の改定により「監査上の主要な検討事項」の記載が導入されました。

これを受けて、日本公認会計士協会は、関連する監査基準委員会報告書を改訂しました。

一連の改定の中で、監査人と監査役とのコミュニケーションについても改訂されています。

 

1.「監査基準委員会報告書701 監査上の主要な検討事項」における取り扱い

 

(1)「監査計画」について

監査人は、計画した監査の範囲とその実施時期の概要について、監査役等とコミュニケー ションを行わなければなりません。これには監査人により識別された特別な検討を必要とするリスクが含まれます。

 

(2)「監査上の重要な発見事項」について

監査人は、以下の監査上の重要な発見事項について、監査役等とコミュニケーションを行わなければなりません。

 

① 会計方針、会計上の見積り及び財務諸表の表示及び注記事項を含む、企業の会計実務の質的側面のうち重要なものについての監査人の見解

 

②監査期間中に困難な状況に直面した場合は、その状況

 

③監査の過程で発見され、経営者と協議したか又は経営者に伝達した重要な事項

 

④監査人が要請した経営者確認書の草案

 

⑤監査報告書の様式及び内容に影響を及ぼす状況

 

⑥監査の過程で発見され、監査人が、職業的専門家としての判断において財務報告プロセスに対する監査役等による監視にとって重要と判断したその他の事項

 

 

(3)「監査上の主要な検討事項」について

監査人は、以下に関して監査役等とコミュニケーションを行わなければなりません。

 

① 監査人が、監査上の主要な検討事項と決定した事項

 

②企業及び監査に関する事実及び状況により、監査報告書において報告すべき監査上の主要な検討事項がないと監査人が判断した場合はその旨

 

 

(4)「経営者との協議事項又は伝達した重要な事項」について

経営者との協議事項又は伝達した重要な事項には、例えば、以下の事項が含まれます。

 

・ 会計年度中に発生した重要な事象又は取引

 

・ 企業に影響を与える産業の状況、及び重要な虚偽表示リスクに影響を与える可能性がある事業計画や予算等

 

・ 会計上、監査上の事項に関して経営者が他の会計の専門家に照会している事項に対する 懸念

 

・ 監査契約の新規の締結又は更新時に行った、会計実務、監査基準の適用、又は監査若しくはその他の業務報酬に関する協議又はやりとり

 

・ 経営者の見解と相違がある重要な事項。ただし、不完全な事実又は不確定な情報に基づいていたために当初は見解の相違があったが、追加的な関連する事実又は情報入手により事後的には解決したものは除く。

 

 

(5)監査役等とのコミュニケーション

 

①監査役等とのコミュニケーション

監査基準委員会報告書260第20項は、監査人が監査役等とのコミュニケーションを適時に行うことを求めています。

 

監査上の主要な検討事項に関するコミュニケーションの適切な時期は、業務の状況により様々ですが、監査人は、計画した監査の範囲と実施時期についてコミュニケーションを行う際に、通常、監査上の主要な検討事項となる可能性がある事項についてもコミュニケーションを行います。

 

また、これらの監査上の主要な検討事項となる可能性がある事項については、監査の過程で新たに追加したものを含め、監査上の発見事項を報告する際に更にコミュニケーションを行うこととなります。

 

これらにより、財務諸表の発行に向けた最終段階における、監査上の主要な検討事項についての議論がより円滑になります。

 

②監査上の主要な検討事項に関するコミュニケーション

 

監査人とのコミュニケーションを通じて、監査役等は、監査人が監査報告書において報告することを想定している監査上の主要な検討事項を認識し、必要に応じて理解を深める機会を得ることができます。

 

監査役等との協議を促進するために、監査報告書の草案を監査役等に提示することは有用です。

 

そのような監査人とのコミュニケーションにより、監査役等は、監査上の主要な検討事項に関する監査人の判断の根拠及び当該事項が監査報告書において、どのように記述されているかを理解することができ、それが、監査役等が財務報告プロセスを監視する重要な役割を果たすことにつながります。

 

また、監査人とのコミュニケーションによって、監査役等は、監査上の主要な検討事項が監査報告書において報告されることを踏まえて、当該事項に関連する追加的な情報を開示することが有用かどうかの検討に役立てることができます。

 

 

2.「監査基準委員会報告書260 監査役等とのコミュニケーション」における取り扱い

(1) 財務諸表監査に関連する監査人の責任の説明

監査人は、以下の事項について監査役等と適切なコミュニケーションを行います。

 

・ 一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠した監査の実施に関する監査人の責任は、財務諸表に対する意見の表明であること

 

また、監査基準委員会報告書等がコミュニケーションの実施を要求する事項は、財務諸表監査から生じた、財務報告プロセスを監視する監査役等に関連する重要な事項であること

 

・ 一般に公正妥当と認められる監査の基準は、監査人に、監査役等とコミュニケーション を行うために、特段の追加的な手続を立案することを要求していないこと

 

・ 監査基準委員会報告書701「独立監査人の監査報告書における監査上の主要な検討事項の報告」に基づき、法令又は任意で監査上の主要な検討事項を監査報告書に記載する場合、 監査上の主要な検討事項を決定し、報告する監査人の責任

 

・ 該当する場合、法令、企業との合意、又は日本公認会計士協会の報告書等の業務に適用 される追加的な要求事項によって求められる、コミュニケーションに対する監査人の責任

 

 

(2)監査役等とのコミュニケーションを行う事項

コミュニケーションを行う事項には、例えば、以下が含まれます。

 

・ 不正又は誤謬による、重要な虚偽表示に係る特別な検討を必要とするリスクへの監査人 の対応

 

・ 特別な検討を必要とするリスク以外に識別している重要な虚偽表示リスクが高い領域へ の監査人の対応

 

・ 監査に関連する内部統制についての監査人の監査アプローチ

 

・ 監査に適用される重要性の概念(監査基準委員会報告書320「監査の計画及び実施における重要性」参照)

 

・ 監査人の利用する専門家の業務の利用を含む、計画した監査手続の実施又はその結果の 評価において必要となる、特定分野での技能又は知識の内容及び範囲(監査基準委員会報告書620「専門家の業務の利用」参照)

 

・ 監査基準委員会報告書701が適用となる場合、監査において監査人が特に注意を払う領域であり、監査上の主要な検討事項となる可能性がある事項に関する監査人の見解

 

・ 適用される財務報告の枠組みの改正、並びに企業環境、事業活動及び財務状況における 重要な変更が個々の財務諸表や注記事項に与える影響に対する、監査人が計画した監査アプローチ

 

 

(3) 監査上の重要な発見事項 に関するコミュニケーション

監査上の発見事項について行うコミュニケーションにおいて、監査人は、入手した監査証拠を補強するため、監査役等に追加の情報を求めることがあります。

 

例えば、監査人は、特定の取引又は事象に関連する事実と状況について監査役等に質問し、監査役等の理解が監査人と同じであることを確かめることがあります。

 

監査基準委員会報告書701が適用される場合、監査上の主要な検討事項は監査人が特に注意を払った事項から決定するため、以下の事項に関する監査役等とのコミュニケーションは、監査上の主要な検討事項を決定する際、特に有用です。

 

・ 識別した特別な検討を必要とするリスク

 

・ 監査上の重要な発見事項

 

事業報告の内容と監査役の監査について

株式会社は、各事業年度の事業報告及びその附属明細書を作成しなければなりません。

公開会社、かつ、会計監査人設置会社を、前提として、記載事項を見てみましょう。

 

会社法は、まず、すべての会社に共通して記載すべき事項を規定したうえで、公開会社(株式に譲渡制限を定めていない会社)における記載事項、会計監査人設置会社における記載事項を規定しています。

 

1.すべての会社に共通して事業報告に記載すべき事項

 

(1)株式会社の状況に関する重要な事項のうち、計算書類およびその附属明細書ならびに連結計算書類の内容となる事項以外のもの

 

(2)業務の適正を確保するための体制の整備についての決定または決議があるときは、その決定または決議の内容の概要及び当該体制の運用状況の概要

 

(3)株式会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めているときは、その基本方針の概要、取り組みの具体的な内容の概要、取締役または取締役会の判断および理由等

 

(4)株式会社に特定完全子会社がある場合には、その名称、帳簿価額、当該子会社の資産額等

 

(5)株式会社とその親会社等との間の取引であり、当該株式会社の事業年度に係る個別注記表において関連当事者注記を要する取引がある場合には、当該取引に関する事項

 

 

1-(2). 株式会社の業務の適正を確保するための体制

大会社である取締役設置会社は、取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するための体制を決定しなければなりません。

 

その決定内容及び当該体制の運用状況の概要を事業報告に記載する必要があります。

 

なお、大会社以外でも当該事項について決定した会社であれば、事業報告への記載が必要となります。

 

取締役会設置会社において決定すべき体制の内容は、以下のとおりです。

 

1.取締役の職務の執行に係る情報の保存および管理に関する体制

 

2.損失の危険の管理に関する規程その他の体制

 

3.取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制

 

4.使用人の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制

 

5.当該株式会社ならびにその親会社および子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制

子会社の取締役等の業務の執行に係る事項の当該株式会社への報告に関する体制
子会社の損失の危険の管理に関する規程その他の体制
子会社の取締役等の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
子会社の取締役等及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制

 

 

1-(2)-(2)さらに、監査役設置会社である場合には、以下の体制が必要です。

 

1.監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する事項

 

2.1. の使用人の取締役からの独立性に関する事項

 

3.使用人に対する指示の実効性の確保に関する事項

 

4.監査役への報告に関する体制

取締役及び会計参与並びに使用人が監査役に報告するための体制
子会社の取締役等または取締役等から報告を受けた者が監査役に報告するための体制

 

5.監査役に報告した者が不利な扱いを受けないことを確保するための体制

 

6.監査に要する費用の処理に係る方針に関する事項

 

7.その他監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制

 

 

1-(3). 支配に関する基本方針

基本方針について開示すべき事項は以下のとおりです。いわゆる買収防衛策に関する開示もここに含まれます。

(1)基本方針の内容の概要

 

(2)基本方針の実現のための具体的取り組み
(ア)会社財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取り組み
(イ)基本方針に照らして不適切なものによって会社の支配を獲得することを防止するための取り組み(いわゆる買収防衛策)

 

(3)具体的な取り組みに対する取締役等の判断およびその理由
(ア)具体的な取り組みが基本方針に沿うものであること
(イ)株主の共同利益を損なうものではないこと
(ウ)会社役員の地位の維持を目的とするものではないこと

 

1-(4). 特定完全子会社に関する事項

特定完全子会社とは、事業年度の末日において、当該子会社等の株式の帳簿価額が、当該株式会社の当該事業年度に係る貸借対照表の資産の部の合計額の5分の1を超え、かつ、その株式等の全部を保有する子会社等をいいます。

 

いわゆる多重代表訴訟において、責任追及の対象となる子会社を明確にするために、特定完全子会社がある場合には、事業報告において以下を記載します。

 

①特定完全子会社の名称及び住所

 

②株式会社及びその完全子会社等における当該特定完全子会社の株式の当該事業年度の末日における帳簿価額の合計額

 

③株式会社の当該事業年度に係る貸借対照表上の総資産額

 

 

1-(5). 株式会社とその親会社等との取引

当該株式会社とその親会社等との一定の利益相反取引のうち、当該事業年度に係る個別注記表において関連当事者取引注記を要するものについて、事業報告において以下を記載します。

 

①当該取引をするに当たり当該株式会社の利益を害さないように留意した事項(当該事項がない場合にあっては、その旨)

 

②当該取引が当該株式会社の利益を害さないかどうかについての当該株式会社の取締役会の判断及びその理由

 

③社外取締役を置く株式会社において②の取締役会の判断が社外取締役の意見と異なる場合には、その意見

 

2.公開会社における事業報告の記載事項

公開会社の事業報告には、(1)株式会社の現況に関する事項、(2)会社役員に関する事項、(3)株式に関する事項、(4)新株予約権等に関する事項を記載しなければなりません。

 

(1) 株式会社の現況に関する事項

 

①当該事業年度の末日における主要な事業内容

 

②当該事業年度の末日における主要な営業所、工場並びに使用人の状況

 

③当該事業年度の末日における主要な借入先、借入額

 

④当該事業年度の事業の経過及び成果

 

⑤当該事業年度の末日における重要な資金調達、設備投資の状況、及び合併、会社分割、事業譲渡等の状況

 

⑥直前3事業年度の財産及び損益の状況

 

⑦重要な親会社及び子会社の状況

 

⑧対処すべき課題

 

⑨その他会社の現況に関する重要な事項

 

※連結計算書類を作成している会社は、これらの事項を、当該会社及び子会社からなる企業集団ベースで記載することができます。

 

(2) 会社役員に関する事項

 

①役員の氏名、地位及び担当、重要な兼職の状況

 

②役員と責任限定契約を締結しているときは、当該契約の内容の概要

 

③役員の報酬等に関する事項

 

④辞任した又は解任された役員に関する事項

 

⑤監査役等の財務及び会計に関する知見の記載

 

⑥常勤の監査等委員、監査委員の選定の有無及びその理由

 

⑦その他役員に関する重要な事項

 

 

 

(2)-(2)社外役員がいる場合には、次の事項を記載する必要があります。

 

・重要な兼職

 

・社外役員の主な活動状況

 

・社外役員の報酬等

 

・社外取締役を置いていない場合、置くことが相当でない理由

 

(3) 株式に関する事項

 

①保有株式数上位10名の株主

 

②その他株式に関する重要な事項

 

(4) 新株予約権等に関する事項

 

①役員が有する職務執行の対価として交付された新株予約権等の概要

 

②事業年度中に使用人等に対して職務執行の対価として交付された新株予約権等の概要

 

③その他新株予約権等に関する重要な事項

 

 

. 会計監査人設置会社が記載すべき事項

会計監査人設置会社の事業報告には、以下の事項を記載なければなりません。

 

①会計監査人の氏名または名称

 

②会計監査人の報酬等の額及び報酬等について監査役等の同意理由

 

③非監査業務の対価を支払っている場合には、非監査業務の内容

 

④会計監査人の解任又は不再任の決定の方針

 

⑤会計監査人が現に業務の停止の処分を受け、その停止期間を経過しない者であるときは、当該処分に係る事項

 

⑥会計監査人が過去2年間に業務の停止の処分を受けた者である場合における当該処分に係る事項のうち、当該株式会社が事業報告の内容とすることが適切であると判断した事項

 

⑦会計監査人と責任限定契約を締結している場合は、その概要

 

⑧会社が有価証券報告書提出の大会社である場合には、当該株式会社および子会社が支払う金銭その他財産上の利益の合計額、及び当該株式会社の会計監査人以外の公認会計士または監査法人が子会社の計算関係書類の監査を実施しているときは、その事実

 

⑨会計監査人が辞任又は解任された場合には、当該会計監査人の氏名又は名称、解任の理由、会計監査人の意見等

 

⑩剰余金の配当等を取締役会が決定する旨の定款の定めがあるときは、取締役会に与えられた権限の行使に関する方針

 

 

. 事業報告の附属明細書

事業報告の附属明細書には、事業報告の内容を補足する重要な事項を記載するものとされています。

 

公開会社においては、役員の他の会社の業務執行取締役など重要な兼職の状況を記載します。

 

なお、会計監査人設置会社以外の公開会社において、親会社等との一定の関連当事者取引について個別注記表での注記を省略する場合、事業報告の附属明細書において、一定事項の記載を行うことになります。

 

 

5.事業報告等の監査

監査役が事業報告及びその附属明細書を受け取った場合には、以下の事項を内容とする監査報告を作成しなければなりません。

 

・監査役の監査の方法及び内容

 

・法令定款に従い会社の状況を正しく示しているか

 

・取締役の職務遂行に関し、不正の行為又は法令もしくは定款に違反する重大な事実

 

・監査のために必要な調査ができなかったとき

 

・会社の業務の適正を確保するための体制が相当でないとき

 

・その他

 

 

監査役会は、監査役が作成した監査報告をもとに監査役会監査報告を作成しなければなりません。

 

内容は、上記監査役監査報告と同じになります。

 

監査役は、監査役会報告と当該監査役の監査役報告の内容が異なる場合には、監査役会監査報告に、当該監査役報告の内容を付記することができます。