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【財務諸表を理解するための基礎知識】監査報告書の記載事項が変わります~KAMの記載

監査報告書の改訂

 

監査上の主要な検討事項(Key Audit Matters:KAM)の記載

 

2018年7月5日に、企業会計審議会は、「監査基準の改訂に関する意見書」を公表しました。

主な改訂点は、次の2点です。

1.監査上の主要な検討事項(Key Audit Matters:KAM) の導入

2.KAM以外の監査報告書の記載内容の改訂

  • 記載順序・記載区分
  • 継続企業の前提に関する事項

 

監査基準の改訂により、「監査上の主要な検討事項」が監査報告書に記載されることになりました。

 

監査の信頼性を確保するための取組の一つとして、監査プロセスの透明性を向上させることを目的として、監査人が当年度の監査において特に重要であると判断した事項(監査の主要な検討事項)を監査報告書に記載する監査基準の改訂が国際的に行われてきています。

 

監査上の主要な検討事項を記載することにより、以下のような効果が期待されています。

 

・財務諸表利用者に対して監査のプロセスに関する情報が監査の品質を評価する検討材料として提供されることにより、監査の信頼性向上に資する

・財務諸表利用者の監査や財務諸表に対する理解が深まり、経営者との対話が促進される

・コーポレートガバナンスの強化や効果的な監査の実施につながる

 

これらの効果が発揮されるためには、監査人、監査役等、経営者といった各関係者が今回の改訂の趣旨をよく理解した上で、監査の内容に関する情報が適切に伝わるように運用を図ることが重要であるとされています。

 

「監査上の主要な検討事項」の決定

監査人は、監査の過程で監査役等と協議した事項の中から

・特別な検討を要するとするリスクが識別された事項または重要な虚偽表示のリスクが高いと評価された事項

・見積もりの不確実性が高いと識別された事項を含め、経営者の重要な判断を伴う事項に対する監査人の判断の程度

・当年度において発生した重要な事象または取引が監査に与える影響

 

等について、特に注意を払った事項を決定しさらに、職業的専門家として特に重要であると判断した事項に絞り込んで決定します。

 

KAMは、監査報告書の一貫性・比較可能性と、目的適合性・有益性のバランスを踏まえた上で、個々の会社の監査に特有の事項が記載されます。

① 会社間における記述の違い

類似項目であっても、それぞれの状況に即した各社特有の内容を記載します。同じ業種であっても、会社間で共通する項目もあれば、各社に特有の項目もあることになります。

② 時系列に見た場合の記述

同じ項目が毎年KAMとして選定される可能性もあります。

 

【会社の価値を上げるために経営者が考えること】ESG投資とは?

ESG投資

ESGとは

ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字をとったものです。

企業の長期的な成長のためには、ESGが示す3つの観点が必要であるという考えが、世界的に広がっています。

企業の価値を計る尺度として、従来の業績や財務情報だけは不十分で、ESGといった非財務情報も企業評価に取り入れようとする動きです。

 

機関投資家が投資の意思決定をする際に、ESGも考慮にいれる動きが急速に広まっています。

社会や環境を意識した投資は、財務リターンが高く投資リスクが小さいという実証研究も研究者等から発表されています。

企業経営においても、「サステナビリティ」という概念が普及し、社会や環境を意識した経営戦略は企業利益や企業価値向上につながる、との認識がされるようになりました。

 

ESG投資は、国連責任投資原則により大きな流れとなりました。1,500以上の年金基金などのアセットオーナーや運用会社がESG投資を推進していくことを表明しています。

日本でも、GPIFがこの投資原則に参加することの署名をしています。

 

日本でも、「スチュワードシップ・コード」、「コーポレートガバナンス・コード」を定め、ESG投資の概念を推進しています。

 

企業とESG・SDGs

なぜ、ESGやSDGsに企業が取り組む必要があるのでしょうか。

機関投資家がESG投資を行う場合の、企業価値を評価する際の共通言語がSDGsであるといわれているからです。

財務情報に加えてESG、SDGsに関する情報開示によって投資家等は、投資判断を行うことになる、という大きな流れが出来つつあります。

 

ESG投資

世界のESG投資の統計を発表しているGSIA(Global Sustainable Investment Alliance)は、ESG投資を7つの種類に分類しています。

 

  • ネガティブ・スクリーニング

特定の業界の株式や債券を投資対象から除外する投資手法。武器、たばこ、ギャンブルアルコール製品など。

  • 国際規範スクリーニング

業界横断で環境破壊や人権侵害などの国際的な規範を基に、最低限の基準を満たしていない株式等を投資対象から除外する手法。ILO、OECDなどが定める規範。

  • ポジティブ・スクリーニング/ベスト・イン・クラス

ESGに優れた銘柄のみに投資する手法。人権、環境、ダイバーシティなどの基準。

  • サステナビリティ・テーマ投資

社会や環境に関する特定のテーマに関連する企業の株式等に投資を行う手法。エコ、再生エネルギーなど。

  • インパクト・コミュニティ投資

社会的インパクトや環境インパクトを重視した投資手法。非上場企業や特定プロジェクトなどに投資を行うことが主流。

  • ESGインテグレーション

投資判断の中に、財務情報だけでなく、非財務情報(ESG情報)をともに織り込んで判断する手法。

  • エンゲージメント/議決権行使

エンゲージメントとは、投資先企業や投資を検討している企業に対して、株主・投資家の立場から企業に対して特定のアクションやポリシーを採るように働きかける手法。

議決権行使とは、株主総会の場で、議決権を行使して企業の意思決定に対して力を行使する手法。

【会社をしっかりコントロールしていますか?】内部統制フレームワークとは?

COSOの内部統制フレームワーク

 

内部統制構築において参考になるのが、COSOの「内部統制-統合的フレームワーク」(以下、フレームワーク)です。

 

一部を引用すると;

内部統制は、順を追ったプロセスではなく、動的かつ統合されたプロセスである。

フレームワークは、規模の大小、営利・非営利、政府機関を問わずすべての事業体に適用される。各組織が選択し、実行する内部統制は異なりうる。

中小規模の事業体の内部統制システムはそれほど形式張っておらず、簡易な構造なものであるかもしれないが、それでも内部統制としては有効なものである。

 

内部統制の定義

内部統制とは、事業体の取締役会、経営者及びその他の構成員によって実行され、業務、報告及びコンプライアンスに関連する目的の達成に関して合理的な保証を提供するために整備された1つのプロセスです。

 

内部統制の目的

3つの視点から見た内部統制の目的になります。

  • 業務目的:業績目標及び財務業績目標の達成、資産の保全を含む事業体の業務の有効性と効率性に関連
  • 報告目的:内部及び外部の非財務項目の報告に関連。信頼性、適時性、透明性を含む。
  • コンプライアンス目的:事業体が法律及び規則を遵守することに関連

 

内部統制の構成要素

内部統制の構成要素として5つをあげています。

 

  • 統制環境:組織全体にわたって内部統制を実行するための基礎となる1組の基準、プロセス及び組織構造です。
  • リスク評価:目的の達成に対するリスクを識別し、評価するための動的で反復的なプロセスを伴います。リスク評価は、どのようにリスクを管理するかを決定する基礎を形成します。
  • 統制活動:目標の達成に対するリスクを低減させる経営者の指示が確実に実行されるのに役立つ方針及び手続きを通して確立される行動です。
  • 情報と伝達:情報は、事業体が内部統制の目的を達成することを支援するための内部統制に関する責任を遂行するために必要なものです。伝達は、必要な情報を提供し、共有し、入手する継続的かつ反復的なプロセスです。
  • モニタリング活動:日常的評価、独立的評価、または両者の一定の組み合わせは、各構成要素における原則を実行する統制を含む内部統制の5つの各構成要素が、存在し、機能しているかを確かめるために利用されます。

 

目的と構成要素

事業体が達成しようとする目的、目的を達成するために必要とされるものを示す構成要素及び事業体の組織構造の間には、直接的な関係が存在しています。よく目にする、立方体です。

 

構成要素および原則

各構成要素に関連する基本概念を表す17の原則を提示しています。

事業体は、すべての原則を適用することによって有効な内部統制を達成することが出来ます。

すべての原則は、業務、報告及びコンプライアンスの目的に適用されます。

 

【経営者の出口戦略として考えること】事業承継、M&A、廃業について

経営者の方は、何時かは経営から卒業するときが来ます。

自分は死ぬまで経営者でいるから後のことはどうでもいい、という方もいるかもしれませんが、多くの方は、自分が経営から退くときのことを考えているのではないでしょうか。

いわゆる出口戦略というものです。

出口戦略には、どのようなものがあるのでしょうか。

出口戦略は、一般に3つです。

一つ目は、事業承継

二つ目は、M&A

三つ目は、廃業です

 

それぞれを順番に見ていきましょう。

まず、事業承継です。

最近、事業承継という言葉を目にしたり耳にしたりする機会が増えているのではないでしょうか。

300万社を超える中小企業がありますが、経営者の高齢化が進んでいて、このままでは、大廃業時代になるとの心配から、国をあげて対策をとっています。

事業承継とは、親族あるいは役員・従業員のかたにその経営者の地位を譲り、併せて自社株の承継も行うこと、ということが出来ます。

この場合の課題は、後継者の決定と自社株式の承継です。

税制や民法相続法などの改正により、中小企業の経営者が後継者に自社株を引き継ぎやすくなるように、いろいろと優遇策や対応策がとられています。

 

次に、M&Aを見てみましょう。

M&Aという言葉も、よく耳にするのではないでしょうか。親族や社内に適当な後継者がいない場合などは、M&Aが検討対象になります。

Mは、マージャーで合併のことです。Aは、アクイジションで買収のことです。

買い手が、買いたい会社をどのように取得するのかを表しています。

今では、M&Aといった場合、買収をイメージすることが多いようです。

M&Aの場合には、株式を取得する場合と事業を取得する場合に分かれます。事業には、営業権や事業用資産などが含まれます。

M&Aの課題は、売却する相手を見つけることと売却価額です。

最近では、中小規模の会社のM&Aの仲介をする制度も整ってきています。

売却価額を決めるためには、企業価値や事業価値の評価が必要です。評価方法にはDCF法をはじめとしていろいろな方法があります。評価は、専門家に頼むことが有用でしょう。

 

最後が廃業です。

廃業には、2種類あります。

自主的に廃業する場合と、赤字で廃業を余儀なくされる場合です。

前者は解散、後者は破産ということも出来ます。

解散の場合には、解散決議から清算手続きに入り、債権債務を整理して清算決了となります。

破産の場合には、債務超過の場合ですから法的な手続きに沿って処理していくことになります。

廃業の課題は、関係者との調整です。特に、金融機関、従業員、取引先との調整が挙げられます。

 

【中小企業の経営改善に必要な知識】会計からのアプローチ

経営改善のためには、

 

  • 会社の現状把握
  • 問題点の抽出
  • 解決策の策定
  • 実行
  • 結果測定・分析
  • 改善

 

というサイクルが必要です。いわゆる、PDCAサイクルです。

 

経営改善のための会計

会社の現状把握を、会計の面から見てみましょう。

まずは、中小会計要領等に従った会社決算が必要です。月次決算は必須になります。

正しいルールに拠った会計処理によって、決算数値の信頼性が増します。

また、迅速な対応・意思決定のためには、月次決算が不可欠であり、遅くとも翌月半ばまでには、月次決算が行われるようにしなければなりません。

 

月次決算

月次決算が遅い場合には、何がネックになっているかを分析し、解決策を策定しなければなりません。

 

管理会計

管理会計とは、経営に役立つ情報を提供する会計です。

帳簿作成のために入力したデータを管理会計用に加工することになります。

 

直接原価計算、変動損益計算書

管理会計の多くの手法では、費用を変動費と固定費に分解します。

直接原価計算では、売上高から変動費を控除して限界利益を計算し、固定費については製造に係る固定費も含めて期間費用として取り扱います。

直接原価計算の手法で作成した損益計算書が、変動損益計算書です。

 

費用の分解方法

変動費と固定費に分解する方法は、主に4つです。

 

  • 勘定科目法
  • スキャッターチャート法
  • 高低点法
  • 最小自乗法

 

これらの中では、最小自乗法が最も理論的とされていますがある程度のデータ数が必要となりますので、簡単ではありません。

中小企業の実務として、簡便かつ有効性が高い方法は、勘定科目法でしょう。

これは、勘定科目ごとに変動費か固定費かを判断する方法です。通常は、売上高を基準に考えます。

勘定科目によっては、両方の性格を有するものがありますので、ある程度の仮定が必要でしょう。

 

変動損益計算書

変動損益計算書の特長として、以下の点が上げられます。

 

  • 損益分岐点の把握
  • 限界利益の把握

 

限界利益と固定費が同額となる点を損益分岐点といいます。収支トントンとなる売上高を簡単に計算できるようになります。

売上の増減によって、利益がどのくらい変動するのかがすぐわかります。

商品や製品あたりの限界利益も計算できるので、数量ベースでの増減による利益の変動もすぐにわかります。

 

限界利益と固定費

限界利益は、「売上数量✕売上単位あたり限界利益」です。自社の製品・商品やサービスが、どの程度、顧客や市場に支持されたかが表されます。

 

限界利益から固定費を控除すると経常利益となります。

注意しなければならないことは、固定費は、決して管理不能費ではないことです。

例えば、試験研究費などは、予算によるコントロールが可能です。人件費や家賃なども同様です。

 

 

経営改善のための変動損益計算書

経営改善のための変動損益計算書について考慮すべき5つの事項です。

 

  • 売上高
  • 限界利益率
  • 固定費
  • 労働分配率
  • 経常利益

 

1.売上高

  • 販売数量、販売単価を前年と比べる
  • 部門別に比べる
  • 目標・予算と比べる
  • 生産性を比べる

 

2.限界利益

  • 前年と比べる
  • 他社と比べる

 

3.固定費

  • 前年と比べる
  • 限界利益と比べる
  • 増減の理由を調べる
  • 部門ごとに比べる

 

4.労働分配率

  • 前年と比べる
  • 他社と比べる
  • 一人あたり人件費と比べる

 

5.経常利益

  • 前年と比べる
  • 部門ごとに比べる
  • 目標・予算と比べる
  • 当期の着地点を予想する

 

【会社をコントロールするために行うこと】内部統制の目的と基本的要素とは?

内部統制とは

 

内部統制の定義

内部統制とは何でしょうか。

我が国の会社法では、取締役の業務執行において、「取締役の業務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社からなる企業集団の業務の適性を確保するための必要なるものとして法務省令で定める体制の整備」として、いわゆる内部統制の整備を義務づけています。

 

会社法の規定

会社法及び会社法施行規則では、内部統制について、以下のように規定しています。

 

会社法第348条第3項第4号

取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社からなる企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備

 

会社法施行規則第98条

第1項

  • 当該株式会社の取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
  • 当該株式会社の損失の危険の管理に関する規程その他の体制
  • 当該株式会社の取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
  • 当該株式会社の使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
  • 次に掲げる体制その他の当該株式会社並びにその親会社及び子会社からなる企業集団における業務の適正を確保するための体制
    • 当該株式会社の子会社の取締役等の職務の執行に係る事項の当該株式会社への報告に関する体制
    • 当該株式会社の子会社の損失の危険の管理に関する規程その他の体制
    • 当該株式会社の子会社の取締役等の職務の体制が効率的に行われることを確保するための体制
    • 当該株式会社の子会社の取締役等及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制

第2項

取締役が2人以上ある株式会社である場合には、前項に規定する体制には、業務の決定が適正に行われることを確保するための体制を含むものとする

 

 

会社法は、内部統制システムの構築とコンプライアンスを重視しています。

「職務執行が法令及び定款に適合する」とは、文字通り、違法なことなしないということです。

「業務の適正を確保する」とは、業務における意思決定の内容の妥当性を確保する体制ということができます。

 

具体的に内部統制をどう構築をするのかは、会社の規模、業種などの実態などを勘案した経営判断になります。適切な内部統制の構築は、取締役等の善管注意義務・監督義務として求められています。

 

 

内部統制の目的と基本的要素

内部統制については、「財務報告に係る内部統制の評価および監査の基準」(企業会計審議会)で以下のように定義されています。

 

内部統制とは、基本的に、

  1. 業務の有効性及び効率性、財務報告の信頼性、事業活動に関わる法令等の遵守並びに資産の保全の4つの目的
  2. 目的が達成されているとの合理的な保証を得るために、業務に組み込まれ、組織内のすべての者によって遂行されるプロセス
  3. 統制環境、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達、モニタリング及びITへの対応の6つの基本的要素から構成される。

 

4つの目的と6つの基本的要素

4つの目的とは、内部統制を適切に構築することにより達成することの出来る目標です。

6つの基本的要素とは、内部統制を構築する上で不可欠な部品です。

 

4つの目的

  1. 業務の有効性及び効率性

業務の有効性とは、事業活動や業務の目的が達成される程度、業務の効率性とは、組織が目的を達成しようとする際に、組織内外の資源が合理的に使用される程度をいいます。

 

  1. 財務報告の信頼性

企業には、多くのステークホルダーがいて、各ステークホルダーは、企業の財政状態や経営成績といった財務報告に基づいて、それぞれの立場から意思決定を行います。財務報告に信頼がなければ、円滑な事業活動を行うことが出来なくなります。

 

  1. 事業活動に関わる法令等の遵守

法令や規則といった社会のルールを守ることは、企業活動の基本です。重大な法令違反を起こしたために、企業の存続が危うくなった例は、少なくありません。

 

  1. 資産の保全

企業は、多額の資産を保有して事業活動を行っています。資産が適切に取得され、使用され、処分されないと企業の事業活動や社会的信用に大きな損害や影響を与えることになります。

 

4つの目的は、独立しているのではなく、それぞれ重なり合い関係し合っています。

 

6つの基本的要素

 

  • 統制環境

統制環境とは、組織の気風を決定し、組織内のすべての者の統制に対する意識に影響を与えるとともに、他の基本的要素の基礎をなし影響を及ぼす基盤をいいます。

 

  • リスク評価と対応

リスク評価とは、リスクの発生可能性と発生したときの影響度を考慮して対応すべき優先順位を決定することです。

リスク対応とは、優先順の高いリスクに対して、回避、受容、低減又は移転等の手立てを行うことです。

 

  • 統制活動

統制活動とは、経営者の命令及び指示が適切に実行されることを確保するために定められる方針及び手続きをいいます。

 

  • 情報と伝達

情報は、識別・把握・処理され、その情報を組織内又は組織外に適切に伝えることが重要になります。

 

  • モニタリング

ここでのモニリングとは、内部統制がきちんと機能しているかを確認するプロセスをいいます。

 

  • ITへの対応

ITへの対応とは、組織目標を達成するために予め適切な方針及び手続きを定め、それを踏まえて、業務の実施において組織内外のITに対して適切に対応することをいいます。

【自分の会社をもっとよく知ってもらうための方法】統合報告書とは?

2013年12月に、国際統合報告委員会(IIRC)が「国際統合報告フレームワーク」を公表しました。

全世界では1,600社、日本では2017年度に400社を超える企業が統合報告書を発行しているという調査結果があります。

主に、上場会社が統合報告を行っていますが、中小企業でも自分の会社を顧客、株主、金融機関等の外部にアピールするために参考となる事項が多々あると思います。

「国際統合報告フレームワーク」における「統合報告」の概要について見てみましょう。

 

統合報告の狙い

統合報告の狙いは、4点です。

1.より効率的で生産的な資本の配分を可能とするために、財務資本の提供者が利用可能な情報の質を改善する

 

2.複数の異なる報告を基礎に、組織の長期にわたる価値創造能力に強く影響するあらゆる要因を伝達する企業報告に関して、よりまとまりのある効率的なアプローチを促す

 

3.広範な資本に関する説明責任及びスチュワードシップを向上させるとともに、資本間の相互関係について理解を深める

 

4.短、中、長期の価値創造に焦点を当てた統合思考、意思決定及び行動に資する

 

統合報告の要旨

 

統合報告は、企業報告に関して、よりまとまりのある効率的なアプローチを促すとともに、財務資本の提供者が利用可能な情報の質を改善することによって、より効果的で生産的な資本配分を可能とするものです。

IIRCは、統合報告が企業報告の規範となることを目指しています。

 

統合報告書の目的

財務資本の提供者に対し、組織がどのように長期にわたり価値を創造するかを説明することを目的としています。

 

国際統合報告書フレームワーク

原則主義に基づく。組織それぞれに大きな違いがあることを認めつつ、情報ニーズを満たす上で十分な比較可能性を確保し、柔軟性と規範性との適切なバランスをとることを目的としています。

統合報告書の基礎概念

統合報告書は、組織が利用し、影響を与える資源及び関係(資本)についての洞察を提供することを目的としています。

また、組織が、短、中、長期的に価値を創造するために、外部環境及び資本と、どのように相互作用するかについての説明を目指しています。

資本は、価値の蓄積であり、財務資本、製造資本、知的資本、人的資本、社会・関係資本、自然資本から構成されるとしています。

 

統合報告書のフレームワーク

フレームワークの目的は、統合報告書の全般的な内容を統括する指導原則及び内容要素を規定し、それらの基礎となる概念を説明することです。

フレームワークは、組織の価値創造能力を分析する上で利用可能な、統合報告書に含まれるべき情報を提供します。

 

統合報告書の指導原則

指導原則は、報告書の内容及び情報の開示方法に関する情報を提供することによって、統合報告書作成の基礎を提供するものです。

 

1.戦略的焦点と将来志向

2.情報の結合性

3.ステークホルダーとの関係

4.重要性

5.簡潔性

6.信頼性と安全性

7.首尾一貫性と比較可能性

 

統合報告書の内容要素

統合報告書は、以下の8つの要素を含みます。

 

1.組織概要と外部環境

2.ガバナンス

3.ビジネスモデル

4.リスクと機会

5.戦略と資源配分

6.実績

7.見通し

8.作成と表示の基礎

 

【経営改善をしたいと思っている中小企業経営者のための情報】早期経営改善計画策定支援制度

早期経営改善計画策定支援

 

国が認める士業等専門家の支援を受けて資金実績・計画表やビジネスモデル俯瞰図などの早期の経営改善計画を策定する場合、専門家に対する支払い費用の3分の2(上限20万円)を国が負担する制度があります。

 

制度の特徴

  • 条件変更との金融支援を必要としない簡潔な計画
  • 計画策定から1年後に、フォローアップで進捗状況を確認
  • 計画策定により自社の状況を客観的に把握
  • 必要に応じ本格的な経営改善や事業再生の支援策を紹介

 

制度の手続きの流れ

この制度を利用するための、手続きを事業者、認定支援機関、経営改善支援センター、金融機関という登場人物に分けて概要を説明します。

 

ローカルベンチマーク活用

ローカルベンチマークを活用することにより、企業の経営状況を分析することが可能であり、ローカルベンチマークを参考にすることで、より具体的な早期経営改善計画を策定することが可能になるほか、計画策定後もさらに計画を掘り下げて分析することが可能になるので、ローカルベンチマークの活用が推奨されています。

 

【どんな会社にも不正が発生するリスクがあります】不正リスク管理とは?

不正リスク管理

 

COSOの「不正リスク管理ガイド」の邦訳が、2017年10月に発行されました。

「不正リスク管理ガイド」についてみてみましょう。

 

不正とは、他人を欺くために仕組まれた作為または不作為であって、被害者への損失および/または不正実行犯たる加害者への利得をもたらす行為、と定義されています。

 

あらゆる組織が不正リスクにさらされており、すべての組織のすべての不正を撲滅することは不可能であるが、このガイドの原則を実施することにより不正を適時に防止・発見する可能性を最大限に高め、強力な不正抑止力を形成することが出来るだろう、としています。

 

COSOの「内部統制-統合的フレームワーク」は、5つ内部統制の構成要素と17の原則を取り入れました。不正リスク管理の5つの原則は、17の原則を全面的に支援し、それと完全に整合する同等の内容としています。

 

COSOフレームワークと不正リスク管理の原則との関連性

両者の関係は以下のようになっています。

 

不正リスクのガバナンス

組織は、取締役会および上級経営者の期待と彼らの不正リスク管理に関する高度な誠実性と倫理観に対するコミットメントを表明する不正リスク管理プログラムを確立し伝達する

 

不正リスク評価

組織は、具体的な不正スキームとリスクを識別し、不正の発生可能性と影響度を測定し、既存の不正統制活動を評価し、不正の残存リスクを低減する対策を講じるために、総合的な不正リスク評価を実施する。

 

不正統制活動

組織は、発生する、または適時に発見されることのない不正のリスクを低減するための予防的・発見的な不正統制活動を選定、開発、実施する。

 

不正調査と是正措置

組織は、潜在的な不正についての情報を入手するための情報伝達プロセスを確立し、不正に適切かつ適時に対処するために調整の図られた方法による調査および是正措置を活用する。

 

不正リスク管理のモニタリング活動

組織は、不正リスク管理の5つの各原則が存在し、機能し、不正リスク管理プログラムの不備を、上級経営者と取締役会を含む是正措置の実施に責任を負う当事者に適時に伝達しているかを確認するための日常的な評価方法を選定、開発、実施する。

 

有効な不正リスク管理

不正リスク管理ガイドは、内部統制のフレームワークを支援し、その内容と整合することを意図しているので、組織が不正リスク評価を実施する際に従うべきベストプラクティスの指針として役立つとしています。

 

自分の会社の現状を知るための月次決算の方法

月次決算の位置づけ

経営における「PDCAサイクル」は、計画・実行・チェック・改善(対応)という4つのサイクルにより行われます。

月次決算は、業績のチェックのために用いられる管理会計の手法です。月次決算は、毎月の営業成績や財政状態を明らかにして、経営管理に有効な情報を提供するものです。

 

月次決算の効果

月次決算をタイムリーに行うことにより、以下の効果が期待できます。

 

1.経営判断に役立つ会社の現状をタイムリーに把握できる

2.予算、計画と実績を対比することにより、経営課題に対して素早く適切な対応策を打つことができる

3.適切な月次決算は、決算見通しを立てることができ、決算対策等を余裕をもって行うことができる

4.金融機関との交渉において、自社の状況や見通しを説明することに役立つ

 

月次決算の導入の留意点

月次決算を導入する場合には、4つの留意点があります。

  • 適時・正確な記帳

適時とは、自社で経理処理を行うことによって、タイムリーに情報を得ることができるようにすることです。

正確な記帳とは、中小会計要領等の認められた会計処理方法に従って、会計帳簿を作成することです。

  • 月次決算の早期化

経営判断に役立つためには、タイムリーな状況把握が必要です。翌月10日以内に報告ができる態勢作りが目標です。

  • 費用等の概算計上

月次決算をタイムリーに行うために、金額的に大きな差異がなければ、費用等は概算で計上します。

また、在庫などを予定原価等で計上することも考えられます。

  • 減価償却費等の月次計上

減価償却費が比較的多額に発生し、経営判断に影響を与えるような会社では、年間の減価償却費を見積もり、その12分の1を月次決算で計上します。

同様に、賞与などの引当金、租税公課、消費税、労働保険料なども月次で概算計上することが有効です。

 

月次決算と業績改善

月次決算は、管理会計の手法ですので、損益計算書は、直接原価計算の手法を用いて作成することもあります。

直接原価計算では、会社の販売単位あたりの利益(限界利益)を把握できるので、業績改善のために、有益な情報を提供します。

直接原価計算の手法による損益計算書は、売上高や販売量に比例して発生する変動費と固定的に発生する固定費に原価を分類して、売り上げ高から変動費を控除して限界利益を算定します。

業績改善のためには、以下の項目が重要ですが、これらの項目の、現状を把握するためには、直接原価計算の手法による損益計算書は有効です。

 

・売り上げを増やす

・限界利益率をあげる

・固定費を減らす