中小企業の事業承継計画“5つのステップ” | 社外財務部長 原 一浩
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中小企業の事業承継計画“5つのステップ”

中小企業の事業承継計画“5つのステップ”

.事業承継のステップ

事業の引継は、通常、5つのステップで行われます。

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ステップ1:事業引継の着手、後継者の選定

 

ステップ2:経営状況・経営課題の把握(見える化)

 

ステップ3:経営改善(磨き上げ)

 

ステップ4:事業承継計画作成、またはM&Aの準備

 

ステップ5:実行

 

ポスト事業引継:事業の永続的な成長・発展

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後継者を選定することは、事業引継の第1歩です。

親族や社内ではどうしても適任者がいない場合には、社外招聘やM&Aも視野に入れます。

 

事業引継の最終目標は、事業を次世代に引継いで、

その事業を将来に渡って永続的に成長・発展させていくことです。

 

この目標に向かって、準備をしていくことになります。

 

.事業の見える化

まず、自社の経営状況・経営課題の把握から始めます。

 

見える化の目的は、

・経営者及び後継者の経営に関する理解を促進すること

・関係者に対して自社の状況を開示すること

 

などがあげられます。

 

このためには、

・正確で適正な決算書

・外部環境・内部環境の分析

・知的資産の適切な評価等が必要になります。

 

正確で適正な決算書とは、

例えば、中小会計要領や中小会計指針などに準拠して作られた決算書ということができます。

 

外部環境・内部環境の分析や知的資産の評価ための手法としては、

各種分析ツールの利用、財務分析、趨勢分析などがあげられます。

 

 

各種分析ツールとしては、以下のものがあります。

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・外部環境分析:PEST分析、5フォース分析

 

・内部環境分析:バリューチェーン分析、PDCA、問題解決の手順

 

・マーケティング分析:3C分析、4P/4C

 

・事業戦略:競争の基本戦略、アンゾフの成長戦略

 

・まとめ:SWOT分析

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.事業の磨き上げ

事業の磨き上げのポイントとして、以下の点が上げられます。

 

(1)経営理念の確立と浸透

 

(2)ビジネスモデルの確認

 

(3)経営理念及びビジネスモデルを体現できる人材の育成

 

(4)経営管理組織(社内規程の整備、管理会計の導入、規程等の文書化)の構築

 

(5)事業規模の適正化(人材、市場規模等を勘案)

 

(6)企業体質の強化(債権管理・在庫管理、不良資産・滞留在庫の処理、遊休資産の処理等)

 

(7)経営の効率化(固定費管理、予算統制、不採算部門の処理等)

 

(8)資金力の強化(キャッシュフローの把握)

 

(9)個人資産と会社資産の区別

 

 

.事業承継計画書策定に必要な事項

事業承継の目的は、事業を次世代にバトンタッチし、事業を永続的に発展させることです。

 

会社がこれまで培ってきた財産(人、物・金、知的資産)を上手に引き継ぐことが、

事業を承継した後の経営を安定させ発展させるために重要となります。

 

事業承継計画とは、

事業における重要な業務や地位を引き継ぐ準備であり、

経営者と後継者が「事業承継」という共通の目標に向かって、具体的な計画を策定することということができます。

 

事業承継計画策定にあたり、以下の事項が必要となります。

 

(1)自社の現状分析:経営の見える化を通じて事業の現状を把握する

 

(2)今後の予測:事業の継続的発展のために今後の環境の変化を予測し対応策を検討する

 

(3)中長期の経営方針:現在の事業を継続するのか事業の転換を図るかなど自社の事業領域を明確にし、経営方針を検討する

 

(4)事業の承継時期の決定:事業承継の時期、方法等を決定する

 

(5)中長期の目標の設定:売り上げ、利益、シェア等の具体的な指標ごとの中長期的な目標を設定する

 

(6)課題の整理:後継者を中心とする経営体制に移行する際の具体的課題を整理する

 

 

 

.事業承継計画作成における確認事項

事業承継計画を作成するにあたり、以下の7つの項目を決めなければなりません。

 

(1)何を:人、物・金、知的資産

 

(2)誰から:現経営者、親族、役員・従業員 等

 

(3)誰に:後継者、親族、役員・従業員 等

 

(4)どれだけ:全部、一部

 

(5)いくらで

 

(6)何時:短期・中期・長期、相続時

 

(7)どのように:一体・分割、同時・時間差

 

 

6.事業承継計画策定のポイント

事業承継計画を策定する際のポイントとして、以下の項目が挙げられます。

 

(1)課題・目的が明確となっているか

 

(2)計画全体が相続税対策や株価対策に偏っていないでバランスがとれているか

 

(3)課題解決の対応策はリスクと効果を考慮しているか

 

(4)上記確認事項が考慮されているか

 

(5)対応策はシミュレーションしているか

 

(6)関係者の状況に配慮しているか

 

(7)専門家のアドバイスを受けているか

 

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