1.跡継ぎ問題
中小企業庁の調査によると、中小企業の経営者の年齢分布は、66歳がピークとなっています。
引退する平均年齢は、70歳前後ですので、
ここ数年で多数の方が、後継者問題、事業の引継問題に直面することになります。
後継者が決まっておらず、
廃業を視野に入れている企業も、法人では3割に上っています。
これらの企業のなかには、黒字の企業も多数あり、
また、特別な技術を有している企業も多々あります。
このままでは、
雇用の確保や技術の伝承に支障を来すことになり、
事業を次世代に引き継ぐことは、日本社会全体にとっての大きな課題となっています。
廃業を考えている理由としては、
当初からそのつもりだったが4割くらいありますが、
後継者が確保できないとの理由も3割ほどあります。
7割の会社は、なにがしかの手当をすれば、
事業を次世代に引き継ぐことができる可能性があると考えられます。
2.後継者の選定
後継者を選定するための検討項目としては、以下の項目があります。
(1)後継者候補のリストアップ
(2)現経営者の意向
(3)経営者の家族の意向
(4)役員・幹部従業員の意向
(5)親族内に候補者はいるか
(6)役員・従業員に候補者はいるか
(7)親族以外の場合、所有と経営の分離の検討
(8)適切な候補者が見つからない場合、外部招聘あるいは第三者への譲渡の検討
後継者を決める際には、以下のポイントを考慮する必要があります。
●後継者の資質等
●後継者決定のタイミング
●後継者候補が複数いる場合の対応
後継者の資質等では、以下ような資質が事業の承継において必要となります。
(1)経営に関する意思・意欲
(2)実務能力
(3)現経営者の経営理念・ビジネスモデルの理解と継承
(4)親族・十五湯イン・取引先・金融機関等の理解
(5)経営権(代表権)の確保
(6)会社支配権(議決権)の確保
また、経営をバトンタッチするタイミングについては、以下の点が考慮されます。
(1)現経営者の年齢
(2)後継者の年齢
(3)後継者の経験・経営能力
(4)自社株式の評価額
(5)業績動向
(6)負債・債務保証の動向
3.後継者の教育
後継者が意欲を持って、
経営に関する知識や実務経験の習得に取り組む必要があります。
そのためには、現経営者とのコミュニケーションや計画的な引継ぎが必要となります。
企業経営に必要な分析・判断能力としては、以下のものがあげられます。
◆業界の動向・見通しなどの経営環境分析能力
◆経営戦略・マーケティング分析能力
◆経営計画策定能力
◆リスクマネジメント能力
また、後継者が求められる実務スキルとしては、以下のものがあげられます。
◆財務の知識
◆税金の知識
◆企業法務の知識
◆人事・労務の知識
◆コンプライアンスの知識
経営に必要な分析・判断能力、実務スキルを
身につけるための教育方法としては、社内教育と社外教育があげられます。
社内教育としては、社内の各部門のローテーション、
精勤ある地位・役職に就ける、現経営者のより指導などがあげられます。
社外教育としては、他社勤務、子会社・関連会社の経営、社外セミナー・社外教育機関の利用などがあげられます。